急激に注目を浴びている「5G」をゼロから知っていく本連載。今回は「5G」に向けた大手キャリアの取り組みについて、「周波数帯」と「基地局」の2つのキーワードから紹介します。
周波数帯は電波の通り道
「周波数帯」とは、例えるなら電波の通り道のこと。スマホなどの通信機器は、この道をデータが行き来することで通信しています。周波数帯を使う人が多いと道が混雑し、読み込みが遅くなったり、つながりにくくなったりするのです。
従来の4Gや3Gでは3.6GHz以下の周波数帯が使われていましたが、5Gでは3.7GHz帯/4.5GHz帯(サブ6帯)や28GHz帯(ミリ波帯)とこれまでよりも高い周波数の電波が使われることになっています。
ここで重要なのが、周波数が高いほど「帯域幅」が広くなること。「帯域幅」とは、周波数帯(=通り道)の幅を意味します。道幅が広ければ、たくさんの人がスムーズに通れますよね? つまり、帯域幅が広くなる5Gでは、いまよりも高速かつ大容量の通信が行えるのです。
使用する周波数帯は総務省によって決められるのですが、今年4月に各キャリアの周波数帯の割り当て結果が発表されました。サブ6帯では、ドコモとKDDIが2枠、ソフトバンクが1枠。ミリ波帯では、1枠ずつという割り当てになりました。また、新規参入の楽天も、それぞれ1枠ずつ割り当てられています。5Gに向けて本格的に動き出した、という感じです。
周波数帯を通ったデータは、まず「基地局」にたどり着きます。「基地局」とは、通信機器の電波を受信する装置で、鉄塔のような大きなものや、ビルの屋上や電柱に設置されているものなど種類はさまざまです。
基地局からスマホに電波の届く範囲が、通信可能なエリア。基地局を中心に円が広がっているイメージです。中心から遠いと電波は届きにくくなりますが、基地局が密に設置されていれば、安定して通信できます。
キャリア4社が総務省に申請した計画書には、2024年までに開設を目指す基地局の数が明記されており、そこから各社のねらいを読み取ることができます。
「基盤展開率」とは、日本全国を10km四方で区切った場合にどれだけの基地局をメッシュ(網目)に設置できるかを示す数字。最も高いのはドコモの97%。ドコモは設備投資額もトップで、全国をくまなくカバーしようとしています。
KDDIは、展開率こそドコモを下回りますが、基地局数は圧倒的。多くの基地局を設置することで、安定した通信を保証しようとしているのでしょう。
ソフトバンクと楽天モバイルは、展開率や投資額では他社に劣ります。しかし、基地局数の内訳を見ると、関東や東海、近畿など都市圏に集中しており、まずは人口の多い地域で展開し、5Gサービスを提供しようという意図が見えてきます。
ソフトバンクは7月末に開催された音楽イベント「FUJI ROCK FESTIVAL ’19」にブースを出展し、5Gを体験できるイベントを行いました。9月には、ドコモが「ラグビーワールドカップ2019 日本大会」の開催時に5Gプレサービスを提供する予定です。5Gへの取り組みはどんどん活性化しています。
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