9月6日〜11日に、ドイツ・ベルリンで世界最大級の家電展示会「IFA2019」が開催されました。白物家電やAV機器の出展が多い展示会ですが、スマートフォンの新機種も出展されます。今年は、ソニーがXperiaシリーズの新モデル「Xperia 5」を発表し、今秋以降に日本でも発売されることが発表されました。
その他にも日本での発売は未定ながら、ぜひ日本でも発売してほしいと思う注目モデルも数多く出展。本記事では、その中から筆者が選んだ5モデルを紹介させていただきます。
【その1】画面を折りたためる「Galaxy Fold」が遂に発売!
IFA2019に出展されたスマホの中で最も注目を集めていたのが「Galaxy Fold」。ディスプレイを折りたためるスマホです。
Galaxy Foldは今年の2月に発表され、当初は4月から販売が開始される予定でした。しかし、発売前にレビュアーに貸し出した端末で不具合が発見され、改良のために発売が延期。IFAでは、改良によって完成度を高めたGalaxy Foldを9月6日から発売することを発表。サムスンのブースには同モデルが触れる状態で展示され、連日行列ができていました。筆者は、ブースとは別の場所で、報道向けに用意された端末に触れてきました。
Galaxy Foldは開いた状態では7.3インチ(2153×1536ドット)のディスプレイを利用でき、折りたたんだ状態でも4.6インチ(1280×720ドット)のディスプレイが見られるという画期的なモデル。開いた状態での利便性は想像していた通りでしたが、折りたたんだ状態でも使いやすいことにビックリ。横幅が約62.9mmになるので、片手で持ちやすく、電話をかけたり、メールを入力したりするのも、フツーのスマホよりも使いやすく感じました。
開いた状態では、大画面が見やすいことは言うまでもなし。さらに、画面を最大3つに分割できるマルチウィンドウも利用できます。動画を見ながらTwitterを更新したり、ブラウザを同時に起動することもできるので、3つのWebページを見比べたり、いろいろな使い方ができそうです。3つの表示領域を調整したり、表示位置を変更したりといった操作も直感的に行えます。
サムスンの説明によると、ディスプレイの下にメタルシートを追加したり、ヒンジ部の密閉性を向上させるなどの改良を行い、端末の強度も向上したとのこと。実際、開いたり閉じたりする操作に不安を感じることはなく、手帳を開くような感覚で使えそうな印象でした。
Galaxy Foldの韓国での販売価格は239万8000ウォン(約22万1000円)。もし、日本で発売されたとしても、20万円を超える価格になるでしょう。されど、これ1台でスマホ、タブレット、デジカメの3役をこなすと考えると、妥当な価格かもしれません。
【その2】ミドルレンジながら4眼カメラを備えた「motorola one zoom」
モトローラ・モビリティは、クアッドカメラを搭載する「motorola one zoom」を発表しました。4つのカメラは、標準(48メガピクセル/F1.7)+望遠(8メガピクセル/F2.4)+超広角(16メガピクセル/F2.2)+深度センサー(5メガピクセル)という構成です。
今年はトリプルカメラを搭載するハイエンドモデルが続々とリリースされていますが、日本で買えるモデルで、深度センサーを含むクアッドカメラを搭載する機種は、ファーウェイのフラッグシップ「HUAWEI P30 Pro」だけ。つまり、motorola one zoomは、カメラのスペックでは大きな優位性を持つモデルです。されど、価格は429ユーロ(約5万1700円)。決して高くはないんです。
motorola one zoomのディスプレイは6.39インチ(1080×2340ドット)。CPUはSnapdragon 675(2.0GHz)で、RAM(メモリ)は4GB。ミドルレンジの仕様で、日常的な用途で不便を感じることはないはず。3Dグラフィックのゲームをしたり、動画を編集したりといった、ヘヴィーな使い方をしないのであれば、十分すぎるスペックです。されど、カメラには妥協したくない! もっと映える写真を撮りたい! という欲張りさんには格好の選択肢になるでしょう。
【その3】2画面を自在に使い分けられる「LG G8X ThinQ」
LGエレクトロニクスは、専用のケースに収めることで “2画面スマホ” に変身する「LG G8X ThinQ」を発表しました。これは、韓国で5G対応モデルとして発売されている「LG V50 TinkQ 5G」の後継にあたるモデルです。LG G8X ThinQは4G版と5G版が発売され、韓国では5G版が「LG V50S TinkQ」というモデル名で発売されるそうです。
G8X ThinQは6.4インチの有機ELディスプレイ(1080×2340ドット)を搭載し、CPUはSnapdragon 855で、RAM(メモリ)は6GBというハイエンドモデルです。背面に大型センサーを採用したデュアルカメラを搭載し、単体でも十分に満足できるスペックを備えています。しかし、この機種の真骨頂は「LG DualScreen」というケースと合体したときに発揮されます。
DualScreenは本体と同じ6.4インチの有機ELディスプレイを搭載し、本体とディスプレイと連携させて使えます。例えば、ゲームをプレイする際は1つの画面に操作パッドを表示させたり、メールを入力する際に1つの画面にキーボードを表示させたり……。もちろん、2つの画面で異なるアプリを起動することもでき、両面が見える状態で卓上に立てて、2人で違う画面を見るといったこともできます。
DualScreenの背面には2.1インチのモノクロの有機ELディスプレイも搭載されています。これによって、折りたたんだ状態でも現在時刻や各種通知がわかる仕組みです。
G8X ThinQを発売する国・地域や価格についての発表はなく、日本での発売の未定とのこと。しかし、前モデルとは異なり、4Gモデルがリリースされるので、日本の事業者が取り扱う可能性はなくはないでしょう。
【その4】ツァイスレンズを採用する超コスパモデル「Nokia 7.2」
「Nokia」ブランドのスマホを製造・販売するHMD Globalのブースには、ミドルレンジの「Nokia 7.2」と「Nokia 6.2」という新モデルが出展されていました。
筆者が日本でも売ってほしいなぁと思ったのは、背面にカール・ツァイスのレンズを用いたトリプルカメラを搭載したNokia 7.2。3つのカメラは広角(48メガピクセル/F1.8)+超広角(8メガピクセル/F2.2)+深度センサー(5メガピクセル)という構成。ヨーロッパでの価格は約300ユーロ(約3万5800円)とのことなので、かなりコスパの良いモデルと言えそうです。
ディスプレイは6.3インチで、解像度は1080×2280ドット。画面上部にしずく型のノッチがあり、そこに20メガピクセルのインカメラを搭載。インカメラにもカール・ツァイス製のレンズを使っているそうです。
CPUはSnapdragon 660で、RAM(メモリ)は4GBと6GBのモデルが用意されます。画面がそこそこ大きいので、横幅は75.1mmありますが、実際に手にすると、片手でしっかりとつかめる、ちょうどいいサイズ感。デザインもシンプルかつ上品で、日本のユーザーにも支持されそうな印象を受けました。ただし、HMD Globalは日本向け製品をリリースしていないので、日本で発売される可能性が低いでしょう。
【その5】ハイスペックを極めたASUSのゲーミングスマホ「ROG Phone II」
最後に、紹介したいのがASUSが出展していた「ROG Phone II」です。日本でも発売中のゲーミングスマホ「ROG Phone」の後継モデルで、台湾で7月に発表され、9月4日からグローバルでの販売が開始されました。
ROG Phone IIは、ゲームを存分に楽しめるパワフルな仕様がセールスポイント。プロセッサーには、米クアルコム社の最高グレードであるSnapdragon 885を、さらにカスタマイズした「Snapdragon 855 Plus」を搭載し、最大2.96GHzの処理速度を得られます。RAM(メモリ)も前モデルの8GBから12GBにアップグレードしています。
グラフィック描写のスピードに影響するディスプレイのリフレッシュレートは最大120Hzとなり、タッチパネルのレスポンスも向上させたそうです。前モデルと同様に、ゲームを快適に楽しむためのアクセサリーも多数用意されています。
電池容量は6000mAhで、前モデル(4000mAh)から1.5倍も増えました。さほどゲームをしなくても、パフォーマンスと電池持ちを重視する人には魅力ある端末となるでしょう。
台湾の発表会では512GBモデルだけが発表されていましたが、新たに1TBモデルをリリースすることも発表されました。ヨーロッパでは512GBモデルが899ユーロ(約10万7000円)、1TBモデルが1199ユーロ(約14万3000円)と、それなりの価格です。日本発売を期待しましょう。
今のスマホは使いやすさやコスパが求められがちだが、やっぱり持った時、携帯している時にワクワクしたいものです。IFA2019を通して、まだまだ世界にはワクワクできる端末があると確信できました。
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