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2020/2/18 21:00

ゲーミングスマホだからといって「キラキラ」する必要はない。「AQUOS zero2」開発陣が注力した「軽さ」という“答え”

作り手の“見ている世界”がそのまま“ユーザーの目”に届く

SH 最後が、ゲーム画質ですね。ここは重要な部分になります。zero2は10億色を表現できる端末ですが、特に画質のチューニングに力を入れています。実際にゲームメーカーさんやゲームクリエイターさんのお話を聞く機会があり、それぞれ立場もあると思いますが、画質やポリシーに違いがあるのがわかりまして、ぜひとも“作り手の想いを伝えたい”ということで、今回力を入れることになりました。

 

コンテンツが進化することで、ゲーム画質も変化してきました。例えば、映像系になりますと、SDRからHDRになったり、カメラが高性能になったり。ゲームに関しても、グラフィカルなものが増えてきて、画(え)がキレイになっています。そういったところで、クリエイターさんが制作現場で見ているコンテンツをお客様にそのまま見ていただきたいと思いました。元々我々はメリハリの効いた、もっと色の濃く鮮やかなものを表現しようと思ったのですが、クリエイターさんに「色味が違う」ということを言われて考えを改めまして、直々にアドバイスをいただきながらそのままの通りになるように色味を調整しました。

↑実際にお客様が遊んでいる室内の、蛍光灯の光が入って色味がちょっと浅くなるところなど、クリエイターとお客様の環境の差も加味したと語る関氏

 

— 作り手の“想い”というか、目に見えている世界がダイレクトにユーザーさんに伝わるなんて、デザイナーさんやイラストレーターさんにとっては、この上なく幸せなことだと思います! 軽さやディスプレイだけでなく、パフォーマンスについての「こだわり」も聞かせてください。

 

SH 我々開発陣も子どものころからゲームが好きで、よく遊んでいました。しかし、端末の開発にあたって、これまでは「スマホでゲーム」という感じではなかったのですが、ここにきて漸く、スマホでがっつりゲームをするような時代が来たのかなっていう感じです。

 

「ゲーム専用機(ハード)」と「スマホでゲームをすること」、私としては両者には大きな違いがあると思っていて、もともとゲーム専用機ってのは、ハードがあって、そのハードに合わせてソフトを作っているという仕組みですが、スマホは、ソフトはiOSとかAndroidっていうベース上に作って、ハードが後から出てくる。ゲーム専用機の逆なんですね。そしてスマホのハードも大分進化しています。zero2では新しいSnapdragonを搭載したり、RAMも8GBありますし、UFSも3.0っていう従来より読み出しの速いものを使っており、そのスペックを如何に使いこなすかというところが、端末メーカー側の仕事です。

 

一方ゲームアプリを作っている側は、それほどパフォーマンスの高くない端末でも、フラッグシップ級の端末でも、スペックに関係なくどんな端末でも遊んでもらわないといけないわけです。だからアプリ内で、フレームレートとか、解像度とか、画質とかに対しての設定ができる仕組みになっています。これは大体デフォルトで起動すると、低めの設定になっています。

↑このように、オプションでグラフック品質やフレームレートの設定が可能なゲームも。(画像は最高設定にした「Call of Duty:Mobile」)

 

そして、スマホのもうひとつ大きな特徴が体感温度で、ゲーム専用機はコントローラー部分が別にあって、触っていてもあまり熱いと感じませんね。しかしスマホは、ゲームをプレイする端末を直接触るので、CPUとかGPUの熱をお客様はストレスに感じます。なので、温度は上げたくないけども、アプリで用意してる最高設定でしっかり遊ばせてあげたい、っていうところがzero2の期待値だと思いまして、体感温度をしっかり抑えて、それぞれのゲームが用意してる最高設定で、しっかりフレームレートを維持したいというところを目指しました。

↑ゲーム内の最高設定で、リズムゲームならば1曲は最後まで遊べるか、バトルロワイヤル系シューティングゲームだったら1バトルできるか、端末が適正な温度のうちに遊べるようにしたいというのが調整のポイントと語る田邊氏。せっかく240Hzで、黒フレームを挿入してしっかり見えるディスプレイがあるので、それが適切な温度でしっかり長く遊べるようにしたいという想いがあったと語りました

 

そのために、放熱構造も、どうすれば温度が下がりやすいか、単純にCPUやGPUの調整だけでなく、何パターン以上も試して、体感で1度2度下がるような調整もして、温度を抑えています。もうひとつ、初代zeroから「パラレル充電」を搭載しておりまして、充電ICを通常1つのところ2つ搭載することで発熱源を分散させるというのも引き続きzero2でも対応しているので、先ほどの放熱構造と合わせて、より発熱しにくい構造を実現しています。

 

— 熱さってバッテリーの問題だとも思うんですけど、体感の熱さって?

 

SH 社内でもいろいろ触ってもらってテストをしましたが、こればかりは千差万別ですね。なので、とある負荷の重いゲームでずっと放置して、不特定多数に触ってもらったんですよ。そしたら、全然問題なかった人と絶対触れないって人に分かれました。同じ温度でも感じ方がすごい違って、耐性のある人が設計すると高い温度まで引っ張ってしまい、冬でも手に汗をかいて、そうするとすごいストレスを感じてしまうんですよ。せっかく軽くて、ストレスないパフォーマンスを謳っているのに、端末が熱ければものすごくマイナスになるので、温度はこだわって抑えるようにしました。

 

パフォーマンスグループのメンバーは、毎日会社に来てゲームをやっております。今回240Hzをしっかり訴求したかったので、240Hzで遊べるゲームを探しました。ゲームによって遊べるフレームって違うのですが、それは一般のお客様には大抵わからないことです。しかし、それを調べながら、これは遊べる、これは出ないというのを調べ、出るものを選び、それがしっかり遊べるようにというのを、4~5人のメンバーで遊んでいます。

 

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