デジタル
2020/2/21 19:15

4Gで約1分が「5Gだとおよそ数秒」に! 5Gの速さを体感したXRイベント/【ゼロから知れる5G】第12回

誰かと待ち合わせる人であふれるハチ公前広場。きらめく看板や大型ビジョンの下、無数の人が行きかうスクランブル交差点。金曜日の夕方だからか、渋谷の街はいつにもまして人が多いように見えます。

 

まさに2020年の「TOKYO」を象徴する風景ですが、同じくオリンピックが開催された1964年の東京は、いったいどんな街並みだったのでしょうか。そんなタイムスリップ体験として、KDDIは1月24日に、5GとXR技術を組み合わせて昔の渋谷の街並みをスマホで体験できるイベントを開催しました。

 

5Gでこの渋谷の街がどう変わるのか。筆者も体験してきたので、レポートしていきます!

 

4Gで約1分のダウンロード時間がほんの数秒に

会場はハチ公前広場、東急百貨店の前に建てられた特設ブース。KDDIはこのイベントのために5Gの可搬型基地局を設置し、局所的に5Gエリアを構築しました。ブース内の階段を上ると、やぐらのような場所から渋谷の街を眺められます。

↑ハチ公前広場の特設ブース。右側の高い場所で体験できる

 

↑振り返ると、ブース後方に5Gの基地局が見える

 

体験には、ソニーモバイル製の5G対応の試作機を使用します。画面上部には「5G」のピクトグラムがしっかりと表示されていました。

↑「5G」のピクトグラム

 

「STYLY」というアプリを起動してQRコードを読み取ると、体験コンテンツのダウンロードが始まります。ダウンロードは数秒で完了したのですが、スタッフの説明によると、「4Gでは1分ほどかかる」とのこと。さっそく5Gの速さを体験できました。

↑「STYLY」は株式会社Psychic VR Labが配信する、ARコンテンツを鑑賞するアプリ。同社はVR/ARコンテンツを制作するプラットフォームも提供している

 

↑「SHIBUYA 1964 to 2020」というコンテンツをダウンロード

 

こう言ってはあれですが、5Gってやっぱり速いんだなと思いました。事前に4Gで同じコンテンツをダウンロードした場合には約1分かかると説明を受けましたが、5Gでダウンロードしたところ体感で約7、8秒といったところ!

 

これまで5Gプレサービスなどを取材するなかで、5Gで実現するサービスやコンテンツは見てきましたが、5Gそのものを体感することはあまりなかったんです。

 

5Gの特徴は「高速・大容量通信」「超低遅延通信」「多数同時接続」ですが、一番身をもって体感できるのはやっぱり「速さ」でしょう。今回の拡張コンテンツでいえば、4G通信の10分の1以下の時間でダウンロードできたのです。5Gの速さ、おそるべし。

 

過去と現在を行ったり来たり

コンテンツの内容は、スマホを渋谷の街にかざし、画面内のスライダーを動かすと昔の街並みが現れるというもの。スクランブル交差点にスマホを向けて、スライダーを「1964」のほうに動かすと、ぐーんと渋谷の街が変化していきます。

↑大勢の人々がサーっといなくなることに妙な快感をおぼえる筆者。スライダーを動かすと街並みが変わっていく

 

白丸をタップすると、そのスポットについての説明が表示されます。1964年のハチ公像はスクランブル交差点のほうを向いていたんだとか。また、広場には噴水もあったようです。よく見ると、建物の広告などはおそらく当時のものが再現されており、こういった細かいところを見ていくのも楽しいですね。

↑1964年のハチ公像は交差点のほうを向いている。余談だが、筆者の祖父は子どもの頃、駅前にいたハチ公にあんぱんをあげたことがあるらしい

 

↑噴水広場もあったのだとか

 

もちろん、1964年の渋谷駅も見られます。カラーで表示されたら、当時の趣きがもっと伝わったような気がします。

↑広告も何もない駅舎

 

こういったARコンテンツは、学校や博物館などさまざまな場所で活用できそうです。街の変遷を見せたり、現存しない城の天守閣を再現したり(この城をどう攻略するかを考えたり)。5Gなら学校のクラス単位で同時に展開できるし、歴史や地理の学習がもっと楽しくできるのではと思います。

 

第10回で説明したように、5G通信はエリアを限定して開始されます。つまり、5Gがスタートしてからは、今回のような体験が提供されていくはずです。

 

実際にこのイベントは、KDDIが企業や団体と始動した「渋谷5Gエンターテインメントプロジェクト」の取り組みの1つ。5Gを用いて渋谷を創造文化都市として発展させていくことを目的としており、今後もさまざまな取り組みを実施するとしています。

 

5G開始が目前に迫る今年。5Gで何が変わるの? と感じている人はそういったイベントにぜひ参加してみてはいかがでしょうか。