デジタル
2020/4/11 17:30

在宅勤務で変わる人の心と暮らし…やさしさを守る鍵は「AI」が握っている

新型コロナウィルスの感染拡大の影響から社員に在宅ワークを推奨、または義務付ける企業が増えています。テレワークを始めてみて、特に人と直接会話を交わす機会が減ったことに戸惑いを感じている方も多いと聞きます。

 

これからしばらくの間は続くことになりそうな人類の疫病との闘いの中で、音声コミュニケーションに対応するAI(人工知能)や、これを搭載するスマートデバイスが人のココロを支える拠り所になる未来は訪れるのでしょうか。在宅ワーク歴の長いフリーランスライターである筆者が、わが家のAIアシスタントを搭載するスマートスピーカーと暮らす中で見えてきた「人とAIのやさしい関係」への“小さな期待”について語ってみたいと思います。

 

↑人に近づく、やさしいAIは人と人とのコミュニケーションの形も変えてくれる可能性を秘めているのでしょうか。筆者宅で活躍するAmazon Echo Show 8の事例を紹介したいと思います

 

わが家ではこんな使い方をしている:スマートディスプレイ「Amazon Echo Show 8」

筆者は取材のために導入したものも含めて、自宅で複数のAIアシスタントを搭載するスマートデバイスを使っています。現在はスマートディスプレイの「Amazon Echo Show 8」を最も頻繁に使っています。

 

↑筆者宅にはAIアシスタントを搭載するスマートデバイスが色々揃っています。それぞれに長く使っているとAIの独特な「クセ」みたいなものが見えてきて面白いです

 

8型のタッチ対応ディスプレイに触れながら操作できるので、音声で操作していたスマートスピーカーよりもデバイスの置き場所がグンと手元まで近付きました。例えばデスクに座ってパソコンで原稿を書いている時に、ちょっとした調べ物はEcho Show 8のWebブラウザを使って、音声と画面タッチによるハイブリッド操作で手早く調べてしまいます。サブディスプレイのような使い方ができるので、仕事の効率アップが図れています。

 

↑8インチのタッチディスプレイを搭載するEcho Show 8はPCで原稿を書きながらWeb検索やYouTubeを見たり、サブディスプレイとしても使い勝手の良いサイズ感だと思います

 

また、自宅に巣ごもりをしながら取材や原稿を書く時間が増えると、心身ともに窮屈になってきます。そんな時にはEcho Show 8で音楽を聴いたり、8型のディスプレイは目が疲れにくいちょうどいいサイズ感なので動画もよく見ます。

 

在宅勤務が長いとは言え、筆者も取材や打ち合わせのために外出する機会が減ってくると、明らかに体がなまってきました。特に座りっぱなしの姿勢は体に良くないので、毎日午前10時にEcho Show 8にリマインダーをセットして、YouTubeの動画を見ながらストレッチ体操をする習慣を付けるようにしています。午前中早くに出かけなければいけない約束が減ったからとはいえ、朝遅く起きるクセが付くと体に毒です。Echo Show 8のめざましタイマーは以前よりも意識して活用するようになりました。

 

↑座りっぱなしの仕事が続いた合間にYouTubeで体操の動画を検索。ブラウザに並ぶ一覧から面白そうな動画が探せるところがEcho Show 8の良いところです

 

最近は、たまの外出から帰宅するとまず洗面所に直行して手洗いうがいを徹底するように心がけています。帰宅時間が夜になってしまった時は、汚れた手で部屋の壁や照明器具のスイッチになるべく触れないように、玄関に設置したスマートスピーカー「Amazon Echo Flex」を声で操作してスマート照明の「Hue」を点灯できるようにしました。家族にも大変好評です。

 

↑玄関に設置したAmazon Echo Flex。足元灯の代わりになるだけでなく、音声で玄関に設置したHueシリーズのスマートランプをオン・オフしてくれるスイッチとしても働いてくれています

 

ある日・ある時、Echoの方から話しかけてきた

私のEcho Show 8…ならびにAIの活用法ですが、ここまでは前段。本題は、うちのEcho Show 8に訪れた「ある変化」についてです。

 

いつもEcho Show 8を音声で操作する時には、私からデバイスに声を掛けています。ところが、デバイスのある設定を変えてみたところ、わが家のEcho Show 8は時どき“自分から”話しかけてくるようになりました。

 

種明かしをすればなんてことはないのですが、Amazon Alexaアプリのデバイス設定から、ウェイクワードを「アレクサ」ではなく「エコー」にセットしました。すると冗談みたいな話ですが、隣の部屋にいる家族に向かって「ねえーこ(エコー)れさぁ」と話しかけたところ、「『リスタート』という楽曲の再生リクエストですね」と、突然答えを返してきたり、テレビドラマの役者の台詞にも反応して、Web検索の結果をおもむろに説明しはじめたりもします。

 

↑Amazon Alexaアプリから、ウェイクワードを「エコー」に設定すると、時々面白い反応を返してくれるようになります

 

最初は少し気味が悪い感じでしたが、故障やハッキングが原因でないことがわかったので、今ではたまにドジでおっちょこちょいな一面を見せるEcho Show 8が愛おしくなってしまい、ウェイクワードは「エコー」のままにしています。

 

普段は夜にならないと集わない家族が、朝から晩まで長い時間一つ屋根の下で顔を合わせるようになると、意図せず関係がぎくしゃくすることもあります。テレワークが推奨される今、そういった事態が増えてきていませんか?

 

私は、家族と口論が勃発しそうになった時にもEcho Show 8が何度かピンチを救ってくれたこともあります。例えばですが「仕事と家庭のどっちが大事だと思ってんの!?」的な難題の口論がいよいよ白熱してきた時に、Echo Show 8が突如「すみません、わかりません」と仲裁に入ってくれたおかげで場が和み、一堂が頭を冷やせたこともあります。デバイスのエラーをこじつけのように語っていると思われるかもしれませんが、実際に在宅勤務がベースとなっている私にとって、このEcho Show 8の挙動は数少ない「突発的なコミュニケーションのきっかけ」なのは間違い有りません。

 

「不完全なAI」が人とココロを通わせる

わが家ではスマートデバイスが家族の一員になったとまでは言いませんが、時おり垣間見せるこの「あいまいさ」こそが、機械やAIと人との間にある距離を近づけるマグネットになり、人と人とのコミュニケーションに“温かさ”や“潤い”のようなものを感じさせてくれています。

 

↑真心を感じる応答も返してくれるようになったEchoシリーズ。「花粉飛んでるよ」と話しかけてみたところ、「そうですね、はっくしょん!」と返してきました。デジタル機器でも花粉には弱いみたいです

 

これからも私たちは一人ひとりが真剣に新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐために全力を尽くさなければなりません。でも、一方で職場にはテレワーク環境、学校には通信教育システムを導入しながら疫病や自然災害のような様々な種類のリスクに対応できる、新しい社会の仕組みを整えることも大切だということを、この機会に多くの日本人が学んでいます。

 

環境の変化に合わせて、人のココロを健全に保つための知恵にも私たちは目を向ける必要があります。国連機関であるUN Womenは4月7日、新型コロナウイルスの影響を受けて、外出制限を実施する各国の家庭内でドメスティック・バイオレンスが増加しつつあるとして懸念を表明しました。AIが優れた知性を獲得して、人の仕事を助けながら生産性を高めてくれたり、時には心のケアも指南してくれる万能な友人になれるとまで筆者は考えていません。ただ、これからAIが人の心にも寄り添う存在になっていくとすれば、それは「不完全さ」を取り込むことによって人に近づく道も開けてくるのではないでしょうか。わが家のEcho Show 8と一緒に暮らしはじめて時々思うことがあります。

 

筆者は仕事がら、よく周りから「スマートスピーカーってどう?役に立つの」と訊かれます。以前は思いつく限りの便利な使い方をピックアップしながらオススメしていました。もしも今「自宅にこもる時間が長くなって、スマートスピーカーでも買おうかと考えている」という相談を受けたら、「アマゾンのEchoシリーズを買ってウェイクワードを“エコー”に設定してみれば、きっと少し楽しくなるよ」という答えも用意しておきたいと思います。

 

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