デジタル
2020/5/29 7:00

【西田宗千佳連載】PS5&Xbox Series Xがもたらす「変化」とはなにか

Vol.91-1

 

本連載では、ジャーナリスト・西田宗千佳氏がデジタル業界の最新動向をレポートする。今回のテーマは、「次世代ゲーム機」。徐々に姿を現しつつある新型ゲーム機に共通する“次なるトレンド”とは何なのか?

 

コロナの影響を受けながら見えつつある次世代機

2020年はゲーム業界にとって、大きな節目の年といえる。それは、「PlayStation 5(PS5)」と「Xbox Series Ⅹ 」という次世代ゲーム機の2台巨頭の発売が年末に予定されているからだ。

 

だが、新型コロナウィルス感染症の流行により、両機種のプロモーションはいきなり難しい局面に立たされている。発表は段階的に行われ、6月にアメリカで開催が予定されていたゲームイベント「E3」をきっかけに様々な情報が飛び出す……という予想だったが、E3のイベントとしての開催が中止になってしまった。発表会のために世界中から記者を集めるのも難しい状況のため、現在は動画配信などの形で情報を出すという、当初の想定とは異なるプロモーションが始まっている。

 

この原稿を書いている5月上旬の段階では、両製品とも、すべての情報が明らかになっているわけではない。価格や発売日が発表されるのはまだまだ先のことだろう。Xboxのほうはデザインも対応ソフトも公開されているが、PS5のほうは、執筆段階ではデザインすら公開になっていないのだ。

 

だが現段階でも、「現世代のゲーム機と比べて次世代ゲーム機はまず何が変わるのか」といった点は、明確になってきた。それは「ロード時間」だ。

 

SIE PlayStation 5 /価格未定/2020年末発売予定
2020年の年末商戦期に発売予定とされる次世代ゲーム機。高速なSSDを搭載するほか、光の屈折や反射をリアルに再現する「レイトレーシング」にも対応。感触を伝えるハプティックフィードバックを搭載した新コントローラーDualSense(写真)が公開されている

 

ロード時間短縮によりゲーム体験を改善する

従来、新型ゲーム機と言えばグラフィックや音の進化が中心だった。今回も、レイトレーシングや3Dオーディオの導入など、そうした部分においても新たなトピックはある。しかし、それらだけでは、ゲームはもはや進化しづらくなっている。

 

というと、「もうビジュアルでは従来機と差別化できないのか」と思われそうだが、そういう話でもない。問題は「データ量」なのだ。グラフィックやオーディオが進化すると、それだけデータは大きくなる。メインメモリを増やせばロード回数は短縮できるが、「大量のメモリに大量のデータをロードする」時間は必ずどこかに存在してしまう。結果として、ゲームが始まる時やシーンが変わる時には、それなりの長さのロード時間がつきまとうことになる。

 

「それなら待てばいいんでしょ?」と思うかも知れない。いやいや、そう単純な話でもないのだ。巨大なデータのロードが頻発すると待ち時間が生じ、それが増えれば増えるほどゲームの体験を悪いものにしてしまう。これを避けるためにもゲーム開発者は結局「ロードが少なくなるよう、データサイズを抑える」必要が出てくる。あるいは、ロードを感じさせないために、裏でたくさんの工夫を凝らすこともある。これは現世代ゲーム機でも課題となっていることだ。

 

そこで、新しい世代のゲーム機では、高速なSSDの搭載を基本に据えることで、ロード時間を従来と比べて最低でも数分の1へと一気に短縮する。その結果として、ビジュアルの強化も可能になるし、ゲームの体験も良くなるというわけである。

 

だが実は、ロード時間の変化は、それ以上の進化も促す。それは一体何なのか? そして、すでに見えてきつつあるPS5とXboxの違いは? こうした点についてはウェブ版で詳しく解説していこう。

 

 

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