デジタル
パソコン
2021/4/7 18:15

ノートPC「VAIO Z」の頭一つ抜けた「高性能と軽量性の両立」は、ユーザーに何をもたらすのか?

去る2月18日に発表され、早くも話題沸騰中のハイエンドモバイルノートPC「VAIO Z」(3月5日発売)。モバイルマシンとは思えない驚異的なスペックと、直販価格27万2580円(税込)からという強気の価格設定でも注目を集めている本機ですが、その価値はそういった分かりやすい部分だけでは語り尽くせません。そこで今回では、「VAIO Z」の商品企画を担当したVAIO株式会社PC事業本部PCビジネス統括部事業企画グループ商品企画課の原田真吾氏に、同社がこの製品に込めた想いを語ってもらいました。

↑VAIOのフラッグシップモデルとして発表されたVAIO Z

 

【VAIO Zの細部を写真で見る】※画像をタップすると閲覧できます。一部SNSからは表示できません。

 

↑リモート取材に応じるVAIO株式会社PC事業本部PCビジネス統括部事業企画グループ商品企画課の原田真吾氏。VAIO Zの商品企画担当として企画から製品化までを主導する

 

なお、VAIO Zの製品概要はGetNavi webでもすでに紹介済み。ぜひこちらもご一読ください。

至高のモバイルPC「VAIO Z」ーー比類なきパワー、スタミナ、強靭さを「軽く」仕上げたフルカーボンボディの魅力は?

 

VAIO Zは極上の環境をどこにでもモバイルできることを目指した

 

ーーまずはVAIO Zという製品の位置付けから教えて下さい。

 

原田:VAIOにおけるフラッグシップという位置付けです。モバイルノートPCにはパフォーマンスや薄さ、軽さ、バッテリー駆動時間などさまざまな要素が求められていますが、VAIO Zは、それらを1つとして妥協せず、高次元で融合した製品だと自負しています。

 

また、そうした基本性能だけでなく、使い勝手やデザイン性などもしっかり追求。PCを長年使っていると、我慢できる範囲ですが、ちょっと使いにくいと感じる部分や、そもそも不便に気がついていないところも多いんですよね。VAIO Zではそういう部分も積極的に改善しており、ユーザーがより高いレベルでアウトプットできるようにしています。

 

ーーそんなVAIO Z、最大の特長がボディ全体をカーボン素材で覆った「立体成型フルカーボンボディ」ですが、これはどういったものなのでしょうか?

 

原田:まずカーボンという素材の特性について説明します。これまでのノートPCで使われてきたマグネシウムやアルミニウムなどの金属素材には素材ごとの物性があり、それを変えることはできません。薄くすればその分、弱くなりますし、強くするには厚くしなければなりませんでした。

 

それに対してカーボンは、カーボンファイバー(炭素繊維)をどの方向に何層重ねるか、どのグレードのカーボンを使うかによって、物性を変えることができる極めてユニークな素材。例えばVAIO Zの場合、パームレスト面と底面は同じ構成のカーボンを使っているのですが、強度が求められるディスプレイ背面はより剛性の高い構成のものを採用しています。

↑VAIO Zの最大のトピックはボディ全面を覆うカーボン製ボディ。極めて強度が高く、かつ軽く仕上がっています

 

ーー本体の全面をカーボン化しただけでなく、部位ごとに最適な素材を使い分けているんですね。

 

原田:はい。さらに今回は、そのカーボンパネルを曲げることにもチャレンジしました。板状の素材を曲げて立体的にすることで形状的に剛性を高めることができるので、軽量化と剛性向上を両立させることが可能になるんです。本来カーボンは曲げるのがとても難しい素材なのですが、国内の製造メーカー各社にご協力いただき、なんとか実現することができました。

↑カーボンを立体的な形状に加工することで剛性を高める工夫をしています

 

↑ディスプレイ部分は180°まで開くようになりました

 

こうしたカーボンの使いこなしは、業界に先駆けてカーボン素材をモバイルノートPCに採用してきたVAIOだからできたこと。長年この素材に取り組んできたからこそ実現できたと思っています。

 

ーーただ、そうした夢の軽量素材を使ったわりにVAIO Zはそこまで軽くないですよね(最軽量構成で約958g)。これにはなにか理由や狙いがあるんでしょうか?

 

原田:我々も、軽さだけを目指せばもっと軽くすることはできました。でも、どんなに軽くても性能が不足していたら外出先で快適な作業はできませんよね? ですので、今回はボディが軽くなった分、より高性能なCPUを載せられるよう強力な冷却機構を搭載したり、大きなバッテリーを搭載(フルHDモデルで最大34時間駆動を実現)するなどして、基本性能を底上げし、どこでもオフィスや自宅と同じように作業できることを目指しています。

 

ヘビーな作業をしない人にもVAIO Zのハイパフォーマンスは価値がある

 

ーー「立体成型フルカーボンボディ」に並ぶ、VAIO Zもう1つの特長が、もっとサイズの大きなゲーミングPCやクリエイターズPC向けの爆速CPU「第11世代インテルCoreプロセッサー H35シリーズ(以下、Core H35シリーズ)」を搭載していること。ただ、一般ユーザーにそれほどのパフォーマンスが必要なのか疑問に思うところもあります。このあたり、どうお考えですか?

 

原田:一般的な使い方をするならこんなCPUパワーはいらないのではということですよね? このあたりは、VAIO Zの発表会で公開した動画でもテストしているのですが、例えばPowerPointで作った大きな資料をPDFに書き出すとか、Excelでちょっと複雑なマクロを動かしたり、大きなグラフを表示するといった、ビジネスシーンでよくある使い方でも明確な違いを感じていただけるはずです。

 

VAIO Z発表会動画

↑パフォーマンステストは8分3秒あたりから

 

また、VAIO Zでは、普段のちょっとした動作がすごく機敏です。最近のノートPCはどれも高速なので、遅いと感じることはほとんどないのですが、実際にVAIO Zでさまざまな作業を行ってみると、アプリを起動するとかデータをコピーするといった、毎日何度も繰り返す作業がとても速く感じるんです。それによって思考が中途半端に中断されることがなくなり、より作業に集中できるようになるのは大きなメリットだと思いませんか?

 

先ほど「そもそも不便に気がついていないところも多い」と言いましたが、これがまさにそうで。実はちょっとした待ち時間をストレスに感じていたんだな、と。ですので、すごく重い作業をしない方にもVAIO Zのスピードは意味があると考えています。

 

ーーなるほど。Core H35シリーズ搭載には、作業時のわずかな待ち時間を短縮することで集中力を高め、ユーザー自身の生産性を上げる効果もあるんですね。

 

原田:その通りです。なお、VAIO ZのハイパフォーマンスはCPUの力だけで実現しているわけではありません。従来とは比べものにならないほど高速な第四世代ハイスピードSSD搭載など、CPU以外の部分も同じくらい高速化することで、この速度感を実現しています。

 

ーーたしかにVAIO ZのSSDは、立ち上げなどの速度がものすごく速いですよね。大きなファイルデータがあっという間にコピーできて、ちゃんとコピーしたのか心配になるほどでした(笑)。ところで、ハイパフォーマンスCPUというと、使っているうちに本体が熱くなってきて、それを冷やすためにものすごい勢いで空冷ファンが回り始めるイメージがあるのですが、このあたりVAIO Zではどのように対策しているのでしょうか?

 

原田:VAIO Zでは高性能の空冷ファンを2つ載せるなど、冷却性能を大きく高めているので、使っていてパームレストや底面が触れなくなるほど熱くなることはありません。

 

ーー音はどうですか? リモートワークでビデオ会議をやっていると時々、話す声より空冷ファンの風切り音の方が大きい人とかいますよね。

 

原田:ビデオ会議など、日常的な用途ではCore H35シリーズを大きく発熱させるほどにはなりませんので安心してください。わずかな発熱もフル稼働時を想定した冷却性能でしっかり逃がしてくれるので、ファンもゆっくりしか回りません。快適にお使いいただけます。

 

面倒なログイン・ログアウトをノーストレスにする「VAIO User Sensing」

 

ーー先ほどVAIO Zは使い勝手にもこだわったとおっしゃいましたが、具体的にはどんなところが改善されているのでしょうか?

 

原田:大きなところでは、今回、これまでなかった新機能として「VAIO User Sensing」を追加しました。これは人感センサーとセキュリティ機能を組み合わせることで、強固なセキュリティを実現し、どうしても避けられない面倒くささやストレスを軽減しようというものです。

 

ーー人感センサーがノートPCのセキュリティにどう役立つんですか?

 

原田:例えば、「着席オートログオン」という機能では、スリープ状態のVAIO Zの前に人がくると人感センサーがそれを検知して自動的に顔認証がスタート、一切手を触れることなくログオンまで完了するので、すぐに作業を始められます。

 

ーーPCの前に座った後、キーを叩いてスリープを解除し、顔認証なり指紋認証なりでログオンする手間がゼロになるのは、たしかに便利ですね。

 

原田:さらに、それとは逆に「離席オートロック」という、席から離れると(人感センサーが人の不在を検知すると)自動的にVAIO Zをロックしてくれる機能や、VAIO Zの前にユーザーがいる時は、たとえ操作をしていなくてもスリープに入らないようにする「在席ノーロック」という機能も実現しました。

↑着席オートログオン機能ではユーザーがPC前に座っただけで、スリープ状態が解除されます

 

↑人感センサーを「ON」にすると、離席すれば自動的にシステムがロックされます

 

ーーPC画面を見ながら考え事などをしている時に画面がオフになると集中が削がれますから、この「在席ノーロック」はとてもうれしいですね。ちなみにこういった機能はどのように思いつくんですか?

 

原田:やっぱり自分たちが普段思っている面倒くささや、煩わしさを何とか解決したいというのがスタートです。PCがユーザーに気を遣わせる存在になってはいけないと常々考えています。

 

好評だったVAIOのキーボードがさらに快適にブラッシュアップ

 

ーーVAIO Zではキーボードやタッチパッドも大きく進化しているとお聞きしました。具体的にはどのように変わったのでしょうか?

 

原田:キーボードはPCを使う上で、最も触る部分なので、その使い勝手にはかねてよりこだわってきました。その象徴はパームレスト面がデスク面までシームレスに繫がっていく「無限パームレスト」や、ディスプレイを開いた時にキーボード奥部がせり上がってタイピングしやすい傾斜が付く「チルトアップヒンジ」なのですが、今回はキーを押し込む深さ、キーストロークを従来モデルの1.2mmから1.5mmにまで増やしています。

↑ディスプレイを開くとキーボード奥部がせり上がるチルトアップヒンジ

 

さらに押し込んだ時の感触がより心地よく感じられるよう、各キーの下に仕込まれているラバードームという部品を改善しています。また、キートップの形状もわずかに変更。これまでの製品も「ディッシュ」と呼ばれる中央に向かって窪んだ形状になっていたのですが、その深さを0.1mmから0.3mmまで大きくしています。これによってタイピング時の指の収まりがよくなるので、ミスタッチが減り、また疲れにくくもなっているんですよ。

↑キーの窪みを0.2mm深くしたことで、ユーザーの疲労を軽減し、作業効率の高さにつなげています

 

ーーたしかに、なんというか、スコッスコッと気持ちいいフィーリングでタイピングできますね。

 

原田:指をキートップに置いた時点で違いがわかりませんでしたか? 各パーツをより高精度に組み上げたことで、個々のキーの安定感が高まっており、無用なガタツキなどもありません。これによってタイプ時の打鍵音も抑えられたので、静かなカフェや図書館などでも周囲に迷惑をかけることなくタイピングしていただけます。

 

そして何よりキーストロークが深くなったことがすごく効いています。0.2mm増えたくらいで何が変わるのかと思われそうですが、これが全くの別もの。このキーボードに慣れてしまった結果、キーピッチ1.2mmの古いVAIOに戻ったらミスタッチが増えたくらいなんですよ(笑)。

 

ーー同じくらい触る時間の長いタッチパッドについてはいかがでしょうか? パッと見でものすごく大きくなって、海外製ノートPC並みのサイズになりましたね。

 

原田:そうですね。従来のものと比べて約190%、およそ倍くらいのサイズにまで大きくしています。タッチパッドが小さいと、画面の端から端までマウスカーソルを動かすのに何往復もしなければなりません。VAIO Zのディスプレイは14.0型のモバイルPCとしては比較的大きいサイズに、高解像度の4Kもラインナップしているので、それに合わせた側面もあります。

↑タッチパッドは約110mm×60mmへと拡大されました。モニターの端までカーソルを動かせます

 

ーー触り心地も従来の少しザラザラした感じから、滑らかな触感に変わりましたよね。これによってフリックやピンチなど、スマホライクな操作をしやすくなったように感じます。

 

原田:ただ、その上で変えなかったのが物理2ボタンをきちんとつけること。押し間違いを防ぐ観点からも、この点にはこだわりました。

↑物理2ボタンはVAIO SX14同様、少し固いタッチですが、クリック音は抑えられています

 

なお、触り心地の点でいうと、今回はパームレストの触感にもこだわっています。塗装メーカーさん協力のもと、パームレストを含むボディ全体に質感の高い塗装を施しており、夏場に長時間タイピングしても手のひらが汗でじっとり不愉快な感触にならないようにしています。これまでのVAIOと比べて指紋が付きにくくなったのもポイントですね。

 

細かすぎて伝わらない? VAIO Zの細部へのこだわり

 

ーーそのほか、使い勝手の点で従来のVAIOから進化している点はありますか?

 

原田:ここまででお話したこと以外にも、Wi-Fi/5Gのアンテナ配置の改善や、これまで以上に厳しい品質試験、スピーカーの音圧・音質向上など、本当に語りきれないくらいたくさんあるのですが、昨今、重要度が高まっているビデオ会議に関連する部分でいうと、内蔵マイクの構造を改良することで、より音質を高めています。

 

ーー具体的にはどのように構造を変えたのでしょうか?

 

原田:マイクは本体ディスプレイベゼル上端のフロントカメラ左右に2つ組み込まれているんですが、ベゼルに空いている孔とマイクモジュールとの間にあるわずかな隙間をしっかり密閉することで、右の孔から入ってきた音が隙間を伝って左のマイクに伝わることがないようにしました。

↑マイクの周囲には密閉性の高いゴム素材を配置し、雑音やキーボードの打鍵音を遮断しています

 

ーー音が隣のマイクに伝わるとどんな問題が起きるんですか?

 

原田:VAIO Zでは2つのマイクに入って来る音のわずかな差を元にノイズキャンセル処理を行っているのですが、音が漏れているとその効果が落ちてしまうんです。密閉度を上げたことで、キーを叩いた時などの軋みなども伝わりにくくなり、よりクリアな音声を相手に届けることができるようになりました。

 

ーー1日何件もビデオ会議をする人には地味ながらもありがたい改善ですね。

 

原田:あと個人的にすごく気に入っているのがVAIO初のモダンスタンバイ対応です。これまでのVAIOと比べて、スリープからの復帰がものすごく速くなっており、ディスプレイを開いたら、その瞬間に作業を再開できます。

 

ーー最近、徐々に対応モデルが増えているモダンスタンバイはうれしいところですね。しかし、こうして聞いてみると、新しいVAIO Zは、従来VAIOとは、丸っきり別モノになっていると感じました。こうした新しい取り組みは今後、VAIOのスタンダードモデルなどにも採用されていくんでしょうか?

 

原田:VAIOでは機種ごとにターゲットとするユーザー層が異なり、それによって立ち位置も変わってくるため、今後の新製品の何もかもがVAIO Zのようになるとは言いません。ただ、この製品で新しく生まれたエッセンスは今後の製品にも活かされていきます。

 

VAIO Zは挑戦する人のためのパートナー

 

ーー最後にGetNavi web読者に向けて、メッセージをお願いします。

 

原田:VAIO Zには、弊社が昨年11月に発表したブランドミッション「挑戦に火をともそう。」で示したように、挑戦する人のパートナーでありたいという強い気持ちがあります。では、パートナー=一緒に働く人はどんな人がいいかというと、ものすごく仕事ができる優秀な人……というだけではダメなんですよね。長く働き続けられるスタミナもあって、何でも言い合える関係が作れて、そして何よりそばにいて心地よい人であってほしいと思いませんか?

 

それを具体的にノートPCに落とし込んでいくと、キーボードの打ち心地とか、触り心地とかの価値が分かっていただけるのではないでしょうか。正直言ってVAIO Zは安い買い物ではありません。しかし、買っていただけた方にそれだけの価値を提供できると思っています。

 

ですので、機会があればぜひ実機に触れてみていただきたいですね。より快適になったキーボードなど、実際に手に取っていただければ、数字だけでは伝えることの難しい魅力を体感でき、ただ高価なだけのマシンではないことが分かっていただけるはずです。

 

【フォトギャラリー】※画像をタップすると閲覧できます。一部SNSからは表示できません。

 

構成/内山慎太郎 撮影/我妻慶一

TAG
SHARE ON