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2022/3/8 18:45

あえてPCを自作する理由。”大人のプラモデル”としての自作PCの魅力に迫る

IT機器の小型化、高性能化が進んで久しいいま、グラフィックボードを搭載したゲーミングノートパソコンでも持ち運びしやすいサイズ・重さのものが増えてきました。ゲーム用途以外のモバイルノートパソコンも、高性能なモデルが数多く発売されています。それゆえ、デスクトップパソコンを利用する人は減少傾向にあります。

 

そんな時勢にあって、デスクトップPCを自作する、という選択肢をとる人たちが根強くいることをご存知でしょうか。PCの自作には、何から何まで自分好みのPCを”作れる”ことによる満足感に加え、実用的な利点もあります。

 

そこで今回は、既製品にはない「自作PC」ならではの魅力、いまのトレンドやPCパーツの選び方、PCを初めて自作する人が注意すべきポイントなどを記事3本立てでお届けします。

 

1本目となるこの記事では、ノートPCがどれほど便利であってもデスクトップPCを自作したくなってしまう、魅力の入り口をご紹介します。なお、2本目と3本目の記事はこちらです。

 

関連記事:実はいまメモリーが爆安!? 自作PCのパーツの選び方をプロに聞いてきた

関連記事:「これが出てから、ほかのCPUをおすすめできなくなった」プロが語る、自作PCパーツの最新トレンド

 

「PCを自作する」とは?

PCはさまざまな部品から成り立っています。PCの頭脳ともいえるCPUや、短期記憶を司るメモリー、画像処理を担うグラフィックボード(GPU)、膨大なデータを保存するストレージ。これらのワードはメーカー既製品のPCを選ぶ際にも目にするものですし、ほとんどの方が聞いたことはあるでしょう。しかし、実物を見たことのある人は少数派ではないでしょうか。

 

PCの自作とは、こういったパーツひとつひとつを自分で選び、組み立てていくことを指します。

 

先に挙げた部品以外にも、既製品を買う際にはあまり気にしないであろうマザーボード、電源、ファン、さらにはそれらのパーツを組み込むPCケースなどの部品についても細かい選択肢があるため、完成品のバリエーションはまさに無限大。特に、外観は既製品ではほとんどカスタマイズができませんが、自作PCであれば個性的なPCケースやファンなどがあり、これらを組み合わせることで、唯一無二な1台を作ることができます。

 

選べるPCケースのなかには、スタイリッシュでインテリア性の高いもの、LEDが仕込まれていてカラフルに光るもの、これがPCなのか! と目を疑うような奇抜な形のものなど、多くの人をビックリさせるであろう製品が幅広く存在しています。筆者も、初めてPCパーツショップを訪れた際に、その数の多さ、個性の強さに驚かされました。

 

組み立てや初期設定には一定の知識が必要になるものの、スペックだけにとどまらない幅広いカスタマイズ性が得られることが、自作PCの大きな特徴です。

↑たとえばファンひとつとっても、回転数や静粛性といった性能面、外観などが異なる、幅広い選択肢があります

 

自作PCは”大人のプラモデル”だ! 3つのイイところを解説

ここまでは主にカスタマイズ性について語ってきましたが、自作PCの良さはなにもそれだけではありません。ここからはその良さを3つに分けて整理してみます。

 

1.使いながらカスタマイズできるから、長く使える

自作PCには組み立ての手間こそありますが、スペックから外観まで、あらゆる面で自分好みな1台を作れます。既製品ですと100%満足できる1台を探すのは大変ですが、自作であればあなたの要求を完全に満たしうる逸品が手に入ります。

 

また、メモリーやSSD、GPUなどについては、それらを接続するマザーボードに増設の余地がある製品を選んでおけば、いざ使い始めてからのスペック向上も容易です。予算次第ではありますが「もう少し高性能なものを買えばよかった」と後悔した場合に後から対応できるのも、自作PCのメリットといえます。

 

CPUやマザーボードなどに当初からある程度の投資をしておく必要はあるものの、使いながらのカスタマイズが容易なおかげで、結果的に長く使えるものが仕上がるというわけです。

 

なお、マザーボードや電源の選択によっては、事後の増設が難しいケースも発生してしまいます。初心者の方であれば、自作経験者やPCパーツショップのスタッフに相談するなどして決めたほうが良いでしょう。

↑CPUやメモリー、GPUといったあらゆるパーツを差す、PCパーツの母艦となるマザーボード。モデルによって対応するCPUが異なるほか、SSDやメモリー、GPUを差し込めるスロットの数など、多様な選択肢があります

 

2.自室で異彩を放つ唯一の存在は、所有欲を確実に満たしてくれる

個性的なケースやファンを採用すれば、インテリアとしても映えるものにできる自作PC。自室で異彩を放つ自分好みのPCは、ユーザーの所有欲を満たしてくれます。

 

ちなみに、自作PCユーザーのなかにはケースから自作する人や、透明なPCケースの中にLEDを仕込んで好みのフィギュアをライトアップする人もいます。そこまで尖ったものを作ろうとすると組み立ての手間は増えますが、そんな1台であればモノとしての魅力はオンリーワン。これが、自作PCの最たる魅力かもしれません。

↑透明なケースを採用すれば、動作中のPCパーツの様子を見ることができます。自分で作ったモノが動いている様子が見えるうれしさは格別です

 

3.PCパーツ選びや組み立て作業が楽しくなる “大人のプラモデル”としての魅力

これまで、組み立て作業について「手間」と書いてきましたが、PCを自作しているとその手間すら楽しいものになってきます。その点で、自作PCはプラモデルやミニ四駆のカスタマイズと似ているといえるでしょう。

 

それどころか、自作PCの場合、パーツ単位で好みのものを選べるわけですから、カスタマイズ性の面ではプラモデル以上に魅力があるかもしれません。さらに、飾るだけでなく実際に使う存在になるので、愛着も生まれます。また、初めての1台を自分で組み、それがちゃんと動いたときの達成感は格別です。プラモデル好きな人なら、その深い魅力にきっとハマるでしょう。自作PCは、まさに”大人のプラモデル”なのです。

 

作る前に知っておきたい、自作PCの注意点

ここまで自作PCのメリットばかりを語ってきましたが、もちろんデメリットも存在します。最後に、それについて触れておきます。

 

まずは、PCに関する知識が最低限必要だという点。ですが、現代ならインターネットで調べれば確実に情報が見つかりますし、エンジニアレベルに詳しい知識が必要というわけでもありません。ショップのスタッフに聞けば助言もしてもらえますから、乗り越えやすい壁です。また、その知識を得た先には、PCがトラブルを起こした際の修理・部品交換を自分でできるようになる知見もたまります。

 

そして、各パーツは精密機械であるため雑に扱わず、注意を払いながら組み立てる必要があります。特に、半導体は静電気に弱いので、組み立て作業時はゴム手袋をするなどの配慮も必要です。

 

なお、自作PCは、その構成次第では価格が既製品と比べて高くなることもあります。特にいまは世界的な半導体不足のためGPUの値上がりが顕著。コスパだけを考えて選ぶとしたら既製品からチョイスしたほうが良い場合も少なくないため、注意が必要です。

 

ここまで、自作PCの魅力について語ってきました。本稿に続く2本目、3本目の記事では、PCパーツ選びのコツや初めて自作をする際のポイントをPCパーツショップのスタッフに取材していきます。この記事で自作PCに興味を持たれた方は、ぜひ2本目以降もお読みください!