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2016/10/3 18:21

【西田宗千佳連載】いまのテレビは「高付加価値路線」が主戦場

「週刊GetNavi」Vol.47-2

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テレビの現在の主戦場は、“高画質”“高級”テレビだ。「昔からそうだったんじゃないの?」と思われそうだが、実はそうでもない。たくさん売れて、より収益が上がるのは普及型であり、適度な価格の製品を量産することが重要だった。だから、少なくとも2009年頃から2013年くらいまでは、32型・37型までの画面サイズで、15万円程度の製品をいかに効率的に作るかが、テレビメーカーの命脈を握っていた。

 

しかし現在は違う。小型のテレビは売れづらくなり、利益率もまったく上がらない。一方で、家庭のリビングに置く「一家に一台」の製品は売れ行きが好調だ。こうしたものでは、より大型でより画質がいいもののうち、手が届く製品が売れる。だから、2014年以降のテレビでは、40型~55型で、20万円台のものもよく売れるようになっている。この一角を占めるのが「4Kテレビ」だ。

 

さて、テレビの主軸が高付加価値商品に移ってきたということは、より画質の良いものが売れる、ということでもある。テレビメーカーとしては、「生産量=価格」「画質」「機能」の3要素が揃っていないと生き残れない。現在日本で、その条件を満たしているのは「ソニー」「パナソニック」「東芝」、そして「シャープ」。この4社が、店頭販売のほとんど」を占めている。シャープは社内のごたごたもあり、ここ2年ほど、商品性の面では他社の後塵を拝している。そして世界的に見れば、「LG」「サムスン」の2社が、テレビメーカーとしてトレンドセッターにある。すなわち、ワールドワイドに見れば「ソニー」「パナソニック」「LG」「サムスン」が、それに日本独自の存在として「東芝」「シャープ」が付加価値を出せている、と考えていいだろう。

 

では、これらの企業はなぜ強いのだろうか?

 

ひと言でいえば、「“パネルを持ってくるだけ”以上のことができるテレビメーカー」だからだ。

 

そういう意味では、「4K」はもはや大きな差別化要因にはならない。ディスプレイパネルを購入すれば、どこでも4Kテレビを作ることはできる。そうすると、結局は価格競争になり、メーカー独自の強みはなくなる。

 

だからこそ、差別化を図るテレビメーカーは、「4Kはもはやあたりまえ」として、そのうえの要素にいこうとしたわけだ。

 

そのうえというと8K? いやいや、そうではない。シャープは8Kにご執心だが、世界的に見ると、家庭向けのテレビで8Kをがんばろうとしているところはない。当面は別の軸で戦うもの、と考えている。この辺は、総務省やNHKを中心とした「8K」路線とは異なるところである。

 

その差別化要因が「色」なのだが、どうして色が差別化要因になるのか? その辺は次回Vol.47-3で解説しよう。

 

●Vol.47-3は10月11日(火)ごろ公開予定です。