デジタル
2022/4/27 16:00

「iOSのアプリ追跡制限は広告ビジネスで儲けるためじゃない」との研究結果が発表される

アップルはiOS 14.5以降でアプリトラッキング透明性(ATT)、つまり「アプリが異なるWebやアプリをまたいでユーザーを追跡するときは、ユーザーの許可を取るべし」というルールを導入しています。具体的にはアプリがユーザーを追跡する前に「追跡していいですか?」というプロンプトを表示するよう義務づけています。

 

そうしたATTがアップル自らの広告ビジネスを儲けさせるためでは? などの批判を否定する研究が発表されました。

 

この研究は、コロンビア・ビジネス・スクール(経営大学院)でマーケティング部門の教授をつとめるKinshuk Jerath博士が、アップルの資金提供を受けて行ったものです。主な目的は、ATTの影響について流布されてきた疑いを晴らそうとすることにあります。たとえばApp Storeの検索広告(App Store Search Ads)ビジネスが成長していることも、ATTとは「無関係な様々な理由」のためだと主張されています。

 

これは、ATTによって他社のアプリ内にあるターゲティング広告が効果を無くして、おかげで一部の開発者がアップルの検索広告への出費を増やさざるを得なかった、という声に対する反論です。

 

また「アップルがATTのおかげで他社から数十億ドルの広告費を取り込んだ」との説(FacebookやSnapなどが主張)にも触れられています。

 

こちらは「もしATTが多くの有名な広告プラットフォームにとって大幅な収益減につながったとしても、アップルが大きな利益を得られるとは思えません」とのこと。なぜなら「失われた収益の大部分アップルの競合他社に流用される」可能性が高いとして、iOSと競合するAndroidに広告費が流れたと仄めかしているようです。

 

では、なぜアップルのApp Store検索広告は成長しているのか。1つには、2016年に始まった比較的新しいサービスであり、伸びしろが見込みやすいこと。また、モバイル広告の「タップ」単価がしだいに高くなっていると推定され、広告主がApp Store検索広告を評価していることが窺えます。これらの傾向が2021年以降にさらなる成長に繋がらない根拠を見たことがない、ということで、「2021年以降」のATTとは関係ないというわけです。

 

さらに、2021年以降は一般的にモバイル広告とアプリインストール広告の成長が全体的に続いており、しかも中国でもApp Store検索広告が始まったという事情が指摘されています。アプリ広告市場が成長しているし、アップルが中国の広告市場に参入したこともあり、ATTによりFacebookなど他社から広告収入を奪ったのではない、と示唆している模様です。

 

米9to5Macは、アップルがこの研究に資金を提供したのは、3つの明らかな理由があると指摘しています。1つは、Facebookなどの批判をかわすため。本研究では、ATTがプライバシー情報の管理がしやすくなっただけで、依然としてターゲティング広告を打つのは可能であり、他社の主張は「憶測」だとしています。

 

第2に、アップルが世界中でさらされている独占禁止法からの圧力対策です。その一環としてApp Storeの検索広告ビジネスも監視の対象となっていますが、疑いを(確かなデータなしに)払拭しようとしている、とのことです。

 

最後に、論文が「アップルの自社製アプリがATTよりも厳しいプライバシー保護を提供している」と主張していることから、「広告ビジネスに利益をもたらすためにATTを導入した」という考え方を否定するためです。

 

かつてFacebookも、アップルのアプリ追跡制限を批判する論文に資金を提供していました。「どっちもどっち」というわけではなく、あらゆる企業がプライバシー侵害で稼がないよう、消費者は目を光らせるべきかもしれません。

Source:Apple

via:9to5Mac

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