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2016/10/28 22:00

【西田宗千佳連載】「一家に一台AIロボット」の時代は来るのか

「週刊GetNavi」Vol.48-1

↑シャープ「ホームアシスタント」

 

家電を買い替えずにAIoTを導入する秘密兵器

「CEATEC JAPAN 2016」で、シャープは新しいロボット端末「ホームアシスタント」を発表した。発売は2017年前半を予定しており、価格は「数万円台の前半(5万円以下)、できるだけ安くしたい」(シャープ関係者)とする。

 

シャープは昨年来、「AIoT」を合言葉に、人工知能とネットワーク機能を盛り込んだ家電を多く発表している。例えば、「プラズマクラスターエアコン〈Xシリーズ〉」は、「COCORO AIR」というクラウドサービス連携機能があり、使う人の好みに合わせた温度設定を覚えたり、エアコンが設置された地域の気候を自動的に取得し、それに合わせた空調を行ったりするようになっている。

 

一方で、こうした家電には大きな問題もある。“買い替え”が必要、という点だ。家電メーカーとしては買い替えを促したいところだが、家電の買い替えサイクルはどんどん長くなっている。エアコンや冷蔵庫といった、住宅に紐づく性質の家電については、10年単位でしか買い替えない人も多い。また、買い替える場合も大抵は“順番に”買い替えるもので、一気にひとつのメーカーに揃えてもらう、というのは現実的ではない。

 

「まだ家電を買い替えられない人にどう受け入れてもらうかが、我々の課題だった。また、すべての家電をシャープ一色、というのも無理がある」

 

「ホームアシスタント」開発の経緯を、シャープの関係者はそう説明する。「ホームアシスタント」にはWi-Fiでシャープ製家電と連携する機能のほかに、赤外線で他の家電を動かす仕組みもある。要は、リモコンの代わりに動いて適宜家電をコントロールするわけだ。多機能リモコンのロボット版、といえるものであり、非常にシンプルな仕組みだが、「これでもかなり面白いことができる」とシャープは胸を張る。要は、クラウド上のAIを活用し、リモコンを適切なタイミングで動かすことで、機器側にクラウドやAI連携の機能が搭載されていなくとも、AIの価値を見出せるのではないか……という発想だ。

 

RoBoHoNで代用はできないのか?

もうひとつ疑問がある。シャープにはコミュニケーションロボット「RoBoHoN」がある。あれではダメなのだろうか?

 

「もちろんRoBoHoNで対応、も可能ですが、携帯電話として使うこと・歩くことなどを前提にしているのでどうしても高価になる。一家に何台も、というわけにはいきません。棲み分けられます」(シャープ)

 

実際、ホームアシスタントは非常にシンプルな製品であり、手足はないし動くこともできない。だが、声を発してコミュニケーションをしながら命令を実行していく、という部分は「RoBoHoN」に似ている。よりシンプルで、ほとんどの機能はクラウド側のプラットフォームで実現されているという。すなわち、ネットワークにつながらなければなにもできないのだ。

 

こうした考え方は、シャープだけのものではない。Googleなどの“ネットの巨人”は、すでにこうした方向性の「家庭向け端末」を手がけている。

 

では、シャープのアプローチとはどこが違うのか?

 

そのあたりは次回のVol.48-2以降で解説する。

 

※Vol.48-2は10月31日(月)更新予定です。

 

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