iPhoneが発売されてから15年が経ちましたが、それ以前にも最も普及していたPDA(携帯情報端末)はPalm社が販売していたPalmでしょう。その基礎となる「Palm OS」は他社にもライセンス供与され、IBMやソニーからも互換機が発売されていました。
そんな懐かしのPalmアプリ数百本が、インターネット・アーカイブにてエミュレーター込みで公開され、スマートフォン上で実用ソフトやゲームが手軽に楽しめるようになっています。
コンピューター関連の資料を保存する(「アーキビスト」と呼ばれる)ジェイソン・スコット氏は、約560本ものPalm OSアプリをインターネット・アーカイブ上で公開しました。まだ準備中にすぎないため「誰にも言わないで、OK?」といいつつ、Twitterで大っぴらに告知しています。
Hey, so, don't tell anyone, but I'm announcing PalmPilot emulation at Internet Archive for the holidays, probably next week. All the currently-working items need descriptions, so it's not quite ready. Don't tell anybody, OK? https://t.co/ye9z4iTPsx pic.twitter.com/0SNRVJw0Kp
— Jason Scott (@textfiles) November 24, 2022
このデータベースはPalmが登場した1996年から、2011年に親会社のヒューレット・パッカードがPalm関連部門(正確にはPalm OS後継のWebOS事業)を閉鎖するまでのアプリが幅広く網羅。かつてPalmユーザーだった人は懐かしく、そうでない人もPalmの歴史のあらましをざっと確認することができます。
これらPalmアプリは、Webブラウザー上のエミュレーター「CloudpilotEmu」上で動作します。「一時的にスマホ上のメモリーに読み込み、アプリ終了すればそれっきり」という仕様で、途中セーブやロードもなし。そのため、麻薬売人ロールプレイの「DopeWars」や宇宙貿易シミュレーション「SpaceTrader」など長時間が溶けるゲームはあまりお勧めしません。
The Vergeのインタビューでスコット氏は、CloudpilotEmu をインターネット・アーカイブで動作させるのに半年ほどかかったと述べています。Palmの手書き認識システムGraffitiも完全にサポートされており、調整に時間がかかったのも納得のできばえです。
ただ、まだやるべきことは残っています。より無名なアプリの中には、説明やメタデータが欠けているものもあり、それを補ってやる必要があります。またスコット氏は、各アプリのマニュアルを書きたいと考えているそうです。プロジェクトを支援したいと思う人は、TwitterかDiscordで連絡してくれと呼びかけられています。
日本でもソニーがPalm OSを搭載した「CLIE」を開発・製造・販売していたこともあり、なじみ深い人も少なくないはず。「長時間プレイは保存できない」と頭の片隅に置きつつ、思い出に浸ってもよさそうです。
Source:Software Library: Palm and Palmpilot
via:Engadget