デジタル
2022/12/16 6:00

【西田宗千佳連載】スティック型・据え置き型それぞれに利点。映像配信用デバイスの選び方

Vol.121-4

本連載では、ジャーナリスト・西田宗千佳氏がデジタル業界の最新動向をレポートする。今回のテーマは映像配信サービスにおけるAmazonとAppleの覇権争い。どちらも専用デバイスを販売しているが、どう選んだらいいのか。

↑Amazon「Fire TV Cube」(1万9980円)。オクタコアプロセッサーを搭載し、Fire TV Stick 4K Maxの2倍のパワフルさがウリだ。Wi-Fi 6にも対応した。Fire TVシリーズでは初めてHDMI入力端子を搭載し、Fire TV Cubeと接続したブルーレイレコーダーなどを楽しんでいるときも、Alexaのサービスを利用できる

 

前回述べたように、映像配信を見るなら「映像配信専用デバイス」がオススメだ。ただし、どれを使うべきかはいろいろと好みや事情によって違いが出るだろう。

 

映像配信用デバイスは大きく「Android系」と「Apple系」に分かれる。前者はAmazonの「Fire TV」シリーズとGoogleの「Chromecast with Google TV」がある。Fire TVはAmazonのアプリストアを使い、Chromecast with Google TVはGoogle Playを使うところが違う。とはいえ、映像配信に使う場合、そこまで大きな差はない。

 

Apple系の場合には「Apple TV」一択。TVerやNHKプラスなど、日本のテレビ局系のサービスに弱いのが欠点だが、動作はもっとも快適だ。

 

Fire TVの場合、安価な「Fire TV Stick」とその上位機種で4K表示ができる「Fire TV Stick 4K Max」、さらに四角い形状でハイエンドモデルの「Fire TV Cube」がある。スティック型はどちらも数千円以内で購入できるが、「Fire TV Cube」は2万円弱と高い。Apple TVも同様に2万円弱だ。

 

スティック型は安価で小さいのが利点。旅行先などに持って行って使うこともできる。ただし動作速度は遅めで、どうしても快適さでは劣る。

 

2万円前後のハイエンドモデルは、4KやHDR、Dolby Atmosなど画質・音質面でより上位の規格に対応しているうえに、動作が快適だ。

 

実はPlayStation 4/5やXbox Series S/Xのようなゲーム機も、ハイエンドな映像配信デバイスに近い性能・機能を持っている。こちらでもいいのだが、消費電力が映像配信デバイスよりも大きくなること、リモコンで操作する際には別売の専用リモコンを購入する必要があることなどの欠点もある。

 

棲み分けとしては、「低価格ですぐに始められるスティック型」と「高価になるが画質・音質・快適さの面で優れている据え置き(ハイエンド)型」という感じだろうか。数年使い続けるなら、2万円程度のハイエンド製品を買っておいた方が後悔し辛いと思う。前回、「最新のテレビを買って内蔵機能で4年視聴し、その後の4年は映像配信機器で視聴する」という考え方をオススメしたが、このときに選ぶべきはハイエンド型、という想定なのだ。

 

一方、スティック型は気軽さが重要。リビング以外でサブ的に使うなどの用途に向く。特に最も安価な「Fire TV Stick」は、バーゲンなら2500円以下で買えるときもある。このくらいの価格になるなら、メインのほかに1本持っていてもそこまで負担にはならない。前出のように旅行先で使うとかいう形でもいいだろう。ホテルのテレビで好きな映像配信をそのまま見られる、というのは便利だ。

 

なお、Amazon・Google・Appleの映像配信デバイスは、どれも「スマートホーム」の操作デバイスにもなる。スマートホームを導入する場合にそのメーカーのプラットフォームを起点にするのかも考えて、導入を検討してほしい。

 

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