アップルのスマートフォン「iPhone 14 Pro」シリーズに搭載されている「A16 Bionic」プロセッサーにて、GPU関連の重要な機能が削除されていたことを、海外ニュースサイトのThe Informationが報じています。
A16 Bionicは前世代の「A15 Bionic」と同様のアーキテクチャ(設計)を採用しています。今年9月の発表時にも、アップルは「GPUのメモリー帯域幅が50%増加した」と触れただけで、具体的な機能拡張については明かされていませんでした。
今回の情報によると、アップルはA16 Bionicにおいて、光線の動きをシミュレートして3D映像を描画する「レイトレーシング」機能の追加を予定していたとのこと。しかしエンジニアリング上の不手際により、開発の後半になって設計に決定的にな設計ミスがあることが判明。実装は中止されたのです。
このような設計ミスが起きた原因について、The Informationは「新機能の追加に野心的すぎた」と伝えています。もともと、レイトレーシングの追加は「予備計画」にすぎなかったとのこと。しかしテスト用のハードウェアは予想を上回る電力を消費し、バッテリー寿命が短くなったり、デバイスがオーバーヒートする恐れがあったりしたとしています。さらに、アップル社内でGPU開発の方針をめぐった対立があったことも報じられているのです。
というわけで、ある意味「骨抜き」となって世に出てしまったA16 Bionic。「iPhone 15 Pro」の「A17」では、レイトレーシングを含めたGPU機能の大幅拡張に期待したいものです。
Source: Information via Engadget