LGエレクトロニクス・ジャパンは、ノートPC「LG gram」2023年モデルの日本展開を発表しました。きらびやかなデザインの「LG gram Style」などを3月下旬から順次発売します。また、USB Type-C端子搭載の高精細なモバイルディスプレイ「LG gram +view」や、PC向けディスプレイの新製品も発表されています。
LG gramは、スタイリッシュなデザインと持ち運びのしやすさ、それに大画面という共通の特徴を備えたシリーズです。
2023年モデルは、シリーズ初となる有機ELディスプレイ搭載で、デザイン面でも新たな方向性を示したLG gram Styleや、重さ約1.45kgでハイスペックなGPUも選択可能な「LG gram(17インチモデル)」などをラインナップ。プロセッサーはインテルの第13世代に更新されており、OSはWindows 11を搭載します。
さらに、最薄部は11mmと薄型設計の「LG gram ウルトラスリム(仮称)」の投入も予告されました。
【発表された2023年モデル】
・LG gram Style――オーロラカラーのおしゃれなノートPC
・LG gram――大画面と耐久性、質感にこだわったノートPC
・LG gram 2in1――ペンやタッチパネルも使えるクリエイター向けモデル
・LG gram ウルトラスリム(仮称)――有機EL搭載の超薄型ノートPC
きらびやかなデザインに有機EL搭載のLG gram Style
新たに追加されたLG gram Styleは、シリーズの中でも特にデザインにこだわって設計されたモデルで、きらびやかで独創的な仕上げが特徴となっています。14インチと16インチの2つのモデルがあり、発売は4月上旬予定。価格は29万円から32万円程度(税込)となる見込みです。
天面には、特殊な加工が施されたパネルにガラスを張り、その上からマットな質感のコーティング剤が塗布されています。この仕上げにより、まるで真珠のように、光の差し加減によって淡く輝きます。
また、パームレスト部も同様にガラス張りで、タッチパッド部分は段差がないスタイリッシュな作りとなっています。このタッチパッドは、触れるとフワッとライトアップされる仕掛けが用意されており、使うときに位置が自然にわかる仕組みです。
天面とパームレスト部のガラスには、スマホでもおなじみのブランド強化ガラス「Gorilla Glass」が採用されており、落下の衝撃や引っかき傷にも耐えられるような頑丈さも確保されています。
ディスプレイは、LG gramシリーズとして初めて、有機EL(OLED)ディスプレイを搭載。明暗の階調表現が豊かで、忠実な色味を再現するとしています。画面のリフレッシュレートが90Hz(14インチモデル)または120Hz(16インチモデル)と高く、画面のスクロール表示も滑らか。またディスプレイの縦横比はいま流行りの16:10で、WordやWebブラウザーのような、縦に続くアプリで作業・閲覧するには便利なサイズ感です。
音響は本体にステレオスピーカーを搭載。映像や音楽再生時には、Dolby Atmosの音響効果でサラウンド再生に対応します。
LG gramシリーズでは伝統の“1kg切り”の軽さも健在です。LG gram Styleの14インチモデルが999gで、バッテリー持ちは最大17時間。16インチは約1.25kgで、バッテリーは約14.5時間となっています。
このほか細かなポイントとして、付属のUSB Type-C急速充電器が従来モデルよりもコンパクトな設計に刷新されています。重さも約116gと軽くなっており、持ち運んで使うときの負担を減らしています。
グローバルアンバサダーに韓国の5人組ガールズグループ「NewJeans」を起用するなど、明確に若い世代をターゲットにしているLG gram Style。価格の高さが気にはなるものの、デザイン性でここまで振り切った製品はなかなか見当たらないので、若い人のノートPC選びにおいて、選択肢として挙がりそうです。
LG gram Styleの主なスペック
16インチモデル | 14インチモデル | |
CPU | 第13世代インテル Core i7-1360P プロセッサー | |
メモリー | 16GB(LPDDR5) | |
ストレージ | 1TB SSD(PCIe 4.0×4接続) | 512GB SSD(PCIe 4.0×4接続) |
ディスプレイ | 16インチ(解像度3200×2000ドット) | 14インチ(解像度2880×1800ドット) |
インターフェイス | Thunderbolt 4×2、USB 3.2(Type-A)、ステレオミニジャック、microSDカードスロット | |
通信機能 | Wi-Fi 6E、Bluetooth 5.1対応 | |
本体サイズ/重量 | 約幅355.1×奥行き241.3×高さ15.9mm/約1.25kg | 約幅311.6×奥行き213.9×高さ15.9mm/約999g |
バッテリー | 最大14.5時間(16インチ) | 最大17時間(14インチ) |
予想実売価格 | 32万円前後(税込) | 29万円前後(税込) |
LG gramは堅実に性能向上
メインブランドのLG gramは、前世代モデルの特徴を引き継ぎつつ、堅実に性能を向上させています。
ラインナップは、14インチ、16インチ、17インチの3つの画面サイズを展開。カラーはいずれも「オブシディアンブラック」で、14インチのみ白系色の「スノーホワイト」も販売されます。
マグネシウム合金によってしなやかながらタフなボディに、14インチモデルは999gと、“1kg切り”の伝統も踏襲しています。また、ディスプレイは従来モデルと同様にIPS液晶で、縦長の16:10比率を採用。さらに、ステレオスピーカーを搭載し、Dolby Atmosによるサラウンド再生にも対応しています。
インターフェイスはUSB Type-Cポートを2基搭載しており、Thunderbolt 4による高速なデータ転送にも対応。加えてWi-Fi 6Eもサポートするなど、現代のモバイルPCに求められる仕様は一通りそろえています。
17インチモデルでは、NVIDIA GeForce RTX 3050搭載モデルも販売されます。スリムなデザインはそのままにグラフィックス能力を向上させており、写真のレタッチなどの画像処理を伴う作業に対応できるほか、比較的軽めのPCゲームを動作させることも可能としています。
LG gramの主なスペック
14インチモデル(オブシディアンブラック) | 14インチモデル(スノーホワイト) | |
CPU | 第13世代インテル Core i7-1360P プロセッサー | 第13世代インテル Core i7-1340P プロセッサー |
メモリー | 16GB(LPDDR4X) | 8GB(LPDDR4X) |
ストレージ | 1TB SSD(PCIe 4.0×4接続) | 512GB SSD(PCIe 4.0×4接続) |
ディスプレイ | 14インチ(解像度1920×1200ドット) | |
インターフェイス | Thunderbolt 4×2、USB 3.2(Type-A)×2、ステレオミニジャック、microSDカードスロット、HDMI出力 | |
通信機能 | Wi-Fi 6E、Bluetooth 5.1対応 | |
本体サイズ/重量 | 約幅313.4×奥行き215.2×高さ16.8mm/約999g | |
バッテリー | 最大37時間 | |
予想実売価格 | 28万円前後(税込) | 23万円前後(税込) |
16インチモデル | |
CPU | 第13世代インテル Core i7-1360P プロセッサー |
メモリー | 16GB(LPDDR4X) |
ストレージ | 1TB SSD(PCIe 4.0×4接続) |
ディスプレイ | 16インチ(解像度2560×1600ドット) |
インターフェイス | Thunderbolt 4×2、USB 3.2(Type-A)×2、ステレオミニジャック、microSDカードスロット、HDMI出力 |
通信機能 | Wi-Fi 6E、Bluetooth 5.1対応 |
本体サイズ/重量 | 約幅355.9×奥行き243.4×高さ16.8mm/約1.19kg |
バッテリー | 最大30時間 |
予想実売価格 | 30万円前後(税込) |
外付けグラフィックス搭載モデル | 17インチモデル | |
CPU | 第13世代インテル Core i7-1360P プロセッサー | 第13世代インテル Core i7-1360P プロセッサー |
メモリー | 16GB(LPDDR5) | 16GB(LPDDR4X) |
ストレージ | 1TB SSD(PCIe 4.0×4接続) | |
グラフィックス | NVIDIA GeForce RTX 3050 | インテル Iris Xe グラフィックス |
ディスプレイ | 17インチ(解像度2560×1600ドット) | |
インターフェイス | Thunderbolt 4×2、USB 3.2(Type-A)×2、ステレオミニジャック、microSDカードスロット、HDMI出力 | |
通信機能 | Wi-Fi 6E、Bluetooth 5.1対応 | |
本体サイズ/重量 | 約幅378.8×奥行き258.8×高さ17.8mm/約1.45kg | 約幅380.2×奥行き260.1×高さ17.8mm/約1.35kg |
バッテリー | 最大23.5時間 | 最大27時間 |
予想実売価格 | 36万円前後(税込) | 31万円前後(税込) |
OLED搭載の“超薄型”モデルや、ペン対応も2in1も予告
3月15日に実施された発表会では、LG gram ウルトラスリム(仮称)の日本展開も予告されました。
LG gram ウルトラスリム(仮称)は、CES 2023で発表された製品で、15.6インチの大画面を搭載しつつ“1kg切り”に挑んだ意欲的なモデルです。縦横比16:9とやや横長のOLEDディスプレイを搭載し、重さは約998g、厚さは11mmに仕上げています。
正式な製品発表は4月に改めて実施としており、名称も仮のもの。プレゼンテーションでは「15Z90RT」という型番で呼ばれていました。展示会場の試作機の底面を見たところ「Slim」と記載されたシールが貼られており、「LG gram Slim」というモデル名が付けられることになりそうです(あるいは「LG gram Air」や「LG gram Type P」と呼ばれることになるかも?)。
同じく5月に正式発表する製品として、「LG gram 2in1(16T90R)」も紹介されました。キーボードが360度回転できる2in1仕様となっており、ノートPCスタイルで使ったり、閉じてタブレットのように使ったりと、5パターンの開き方ができる製品です。LG gram 2in1はシリーズで唯一、タッチパネルやペン入力に対応しており、ワコムのペン入力技術による4096段階の筆圧検知をサポート。手書きでイラスト制作や、写真編集がしやすいモデルとなっています。
Type-C接続、持ち運びに便利そうなLG gram +view
LG gramシリーズの周辺機器として、モバイルディスプレイのLG gram +viewも2023年モデルが発表されています。発売は4月上旬で、価格は5万円前後(税込)となる見込みです。
LG gram +viewは、LG gramのディスプレイパネルをそのまま搭載した、16インチのモバイルディスプレイです。USB Type-Cケーブル1本でつなぐだけで、デュアルディスプレイ環境を構築できます。LG gramのIPS液晶と同じ仕様となっているため、解像度は2560×1600ドット、色域はDCI-P3規格99%準拠とモバイルディスプレイとしては高品位な製品です。
基本的な仕様は2022年モデルと共通ですが、新モデルでは左右に1基ずつ搭載されたUSB Type-Cポートを生かした「USB給電のパススルー」に対応しています。ディスプレイの片側のポートにPCをつないで、もう片方のType-Cポートに電源をつなげば、ディスプレイを通して最大45Wを給電することが可能。電源コンセントが限られた場所で使いたいときや、持ち運ぶ充電器を減らしたいときには活用できるでしょう。
なお、LG gram +viewは、LG gramシリーズの周辺機器という扱いになっていますが、技術的には業界標準のDisplayPort Alternate Modeをサポートしているため、同規格に対応している他社のPCやスマートフォンでも利用できます。
テレビと融合したディスプレイ「LG Smart Monitor」
ディスプレイ製品では、「LG Smart Monitor」やゲーミングディスプレイの「UltraGear」シリーズの新製品が発表されました。
LG Smart Monitorは、2022年12月にMakuakeで先行販売された製品で、目標金額比で5078%の出資を集め、注目された製品です。これはいわば「PCディスプレイとスマートテレビの合いの子」のようなもので、テレビ譲りのスタイリッシュなデザインやテレビ向けOSを搭載しつつ、PCディスプレイ基準の表示品質やアンチグレア仕様を兼ね備えています。
大きさは31.5インチで、ワンルームで扱うにはほどよいサイズ感。解像度も4Kとなっているため、PCディスプレイ/テレビの両面で満足できそうです。
接続端子はUSB Type-C(DisplayPort Alt)やHDMI×2基を装備。AirPlay 2やMiracastもサポートし、スマートフォンからワイヤレスでディスプレイに接続できます。
映像再生では4K HDRに対応。テレビ向けのAI処理エンジン「α5 Gen5 AI Processor 4K」による補完機能も搭載しており、HD映像も4K画質にアップデートして再生できます。またオーディオは5W+5Wのスピーカー内蔵で、バーチャルサラウンド再生機能も備えています。
さらに、LG Smart Monitorはテレビ向けOSのwebOS 22を搭載しており、映像配信サービスもディスプレイ単体で再生できます。YouTubeやAmazon Prime Video、Netflix、U-NEXT、Hulu、Disney+など幅広く対応。テレビ放送をあまり見ない人なら、このディスプレイだけで十分という人もいるかもしれません。
ちなみに、テレビ放送を配信している主要な映像サービスとして「NHKプラス」や「TVer」が挙げられますが、 前者は2022年12月のwebOSの更新で対応済み。後者は2023年3月時点では非対応ですが、関係者によると将来のwebOSの更新で対応される見込みとしています。
ゲームに入り込むような湾曲ディスプレイなど、UltraGearの新製品も
PCディスプレイを数多く展開するLG。その中でも、最高峰の製品がゲーミングディスプレイの「UltraGearシリーズ」です。たとえば、CES 2023で発表された「45GR95QE-B」は、44.5インチで横長の21:9ウルトラワイドOLEDディスプレイを搭載。曲率800R(中心点からの半径が80cm)の湾曲型を採用し、大きく包み込むように画面が配置されます。PC向けのゲームをプレイするときに、臨場感のある画面で楽しめそうです。
ディスプレイとしての機能も高水準で、有機ELディスプレイを採用しつつ、応答速度は0.03msと高速表示を実現。またHDR10規格とNVIDIA G-SYNC、AMD FreeSync Premiumをサポートしています。映像入力はDisneyPort×1とHDMI×2で、どちらも240Hzでの入力をサポート。
音声出力では光オーディオと3.5mmジャックに対応。さらにはピクチャー・イン・ピクチャー(PIP)機能で、ゲーム画面と配信動画などを重ねて表示できるなど、機能面でも充実しています。価格は28万円前後(税込)となる見込みです。
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