デジタル
2024/7/20 10:30

【24年上半期ベストガジェット】一気に増えた「耳を塞がないイヤホン」とは?

2024年上半期に売れたアイテムを、3つの象徴するキーワードで厳選して紹介する本企画。デジタル編では、ガジェットライターの湯浅顕人さんによる解説とともにお送りします。2024年上半期はコロナ禍が一段落しつつも在宅ワークが定着し、本格的な在宅ワークのための機器が盛況でした。

 

キーワード01【耳を塞がないデバイス】

Huaweiのイヤーカフタイプのオープン型イヤホン「FreeClip」(2024年2月発売)は、クラウドファンディングサイトで累計支援額が5800万円超になるなど、大きな注目を集めたヒットアイテム。形状記憶合金を使用した革新的なデザインで、快適な着け心地と安定感を両立しています。では、耳を塞がないオープン型イヤホンのメリットは何でしょうか?

 

「まず、外部の音を聞き取りやすく、外の音が聞こえないと危ない状況で便利です。2つ目は耳穴が圧迫されない、ムレないので長時間つけてても不快感が少ないこと。オンライン会議での用途にも対応します。3つ目は鼓膜に優しい。昨今、イヤホン難聴が問題になってきていますので」(湯浅さん)

 

イヤホン以外にも、耳を塞がないデバイスは売れています。例えば、Soundfunの「ミライスピーカー」は発売こそ2020年5月ですが、この春に累計販売台数25万台を突破してロングセラーに。テレビに外付けすると音量を上げなくても言葉がくっきりと聞こえやすくなる商品です。イヤホンジャックに挿すだけと手軽なのもメリット。3年以内にシリーズ累計100万台の販売を目指す計画も発表され、耳が聞こえづらいご家族がいる家庭でより普及しそうです。

 

【キーワード02】大企業の攻めたデバイス

これまでは奇抜なアイデア商品は、小さなメーカーが手掛けるイメージでしたが、最近はいわゆる大企業が攻めたアイテムを発売する傾向が見られます。例えばキヤノンの「プライバシートーク」(2023年10月発売)は、不織布のマスク形状ながら、イヤホンマイクとファンを搭載したデバイス。自分が喋った言葉が外に漏れにくく、周りに人がいても電話やオンライン会議がしやすくなっています。

 

「(オフィスはもちろん)自宅やカフェでオンライン会議に参加する際に、快適に、他人に迷惑をかけない商品が求められています」(湯浅さん)

 

ほかにも、デジタル家電ではないですが、日立の小型冷蔵庫「Chiiil(チール)」(2022年4月発売)も攻めた商品。サイコロ型の小さな冷蔵庫で、そもそもヒットしていたところに、家具メーカーのカリモクとコラボしたウッディなコンセプトモデルが発表され、さらに人気を呼んでいます。

 

GetNavi web編集部・山田は、同じ日立から飛び出したAR機能搭載のスティック掃除機のコンセプトモデルに熱視線。「掃除機にカメラが付いて(補足:カメラはスマホのカメラを使用)、掃除しながらスマホでどこが綺麗になったのかわかり、敵(ゴミ)を倒したようなゲーム性もありました。特に日立はモノ作りのアプローチが変わってきているかもしれないですね」。

 

【キーワード03】カメラの多様化

編集部の提案として挙げられた3番めのキーワードが「カメラの多様化」。カメラメーカーの新作としては、リコーの「GR IIIx」(2021年10月発売)や富士フイルムの「X100VI」(2024年3月発売)など、ハイエンドのコンパクトカメラが売れています。「GR IIIx」は発売自体はかなり前ですが、今年になってもう一度完売し、4月に出た派生モデルの「GR III HDF」も完売している状況。

 

一方、スマホではカメラ性能に長けたモデルが数多く登場しました。シャープ「LEITZ PHONE 3」(2024年4月発売)、Xiaomi「14 Ultra」(2024年5月発売)、ソニー「Xperia 1 VI」(2024年6月発売)、サムスン「Galaxy S24 Ultra」(2024年4月発売)。なかでも「LEITZ PHONE 3」や「14 Ultra」はライカのレンズを搭載し、まさにカメラにスマホがついているかのような製品です。

 

また、少し違う視点ですが、古いデジタルカメラも爆売れしています。”エモい写真が撮れる”ということで、2000年代に発売された低スペックカメラが中古市場で品薄に。なぜこのような状況になっているのでしょうか?

 

「写真を人に見せる機会が増えて、SNSでもバズりたいという観点から、人と同じ写真ではなく、何らかの差別化をしたいという人が増えているのではないでしょうか。そこに需要が生まれていると思います」(湯浅さん)

 

こうしたカメラの多様化はまだまだ続きそう。さまざまなカメラによって、写真というカルチャーがもっと花開く予感がします。

 

GetNaviTVでは下半期のトレンド予測を7月下旬に公開予定です。そちらもぜひチェックしてください。

まとめ/柚木安津