エンタメ
2018/10/11 17:30

アニメの劣化版ではない。コミックのリッチ版だ――「ムービングコミック」という新しい表現手法に脚光

花澤香菜さんは原作者のイメージにもぴったり

ムービングコミックという新しい試みが成功した背景には、原作の人気だけでなく豪華声優陣を起用したことも理由のひとつとして挙げられるだろう。

 

福留氏は「マンガのリッチ版というポストを印象づけたかったため、キャストにはこだわりたかった」と解説する。

コミックスマート GANMA!編集部で「人形峠」担当編集の千葉夏紀氏は、「(登場人物の)『野々宮花恋』役には、ぜひとも花澤香菜さんを起用したかった」と語る。「野々宮花恋」は、決して可愛いとは言いがたいインパクトのある容姿ながら、その独特のキャラクター性でGANMA!全体のキャラクター投票で常に上位にいるユニークな存在。「野々宮さんを『まさかこの人が!?』という役者さんが演じたらきっと人気が出るし、おもしろい! と思ったんです」と、その理由を説明する。

 

「ただ野々宮さんの登場は途中話数からということもあり、メインヒロインの支倉宵子役も花澤さんにお願いすることになりました。こちらの役は花澤さんのイメージ通りで、原作を読んだとき、はじめから彼女の声でセリフが再生されていました。驚いたことに、キャストが決まってから方條(ゆとり)先生に伝えたら、『わたしも花澤さんの声をイメージして描いていたんです』と言われて……(筆者注:順番としては野々宮さん役でのオファーが先だったそうです)。ムービングコミックを視聴してくださった方たちからも、『イメージにぴったり』という感想をいただきましたし、原作者の思いが伝わったんだなぁと、少しびっくりしました」(千葉氏)

 

アフレコ時には、花澤さんが実際に2役を演じる際の役の切り替えの早さや、マイクの前で繰り広げられる迫真の演技により、感じる恐怖が限界点を超え、アフレコの様子をガラス越しに見ながらつい笑ってしまったという福留氏と千葉氏。アフレコの様子はGANMA!アプリ内でもレポートされているので、ぜひ読んでみてほしい。

↑原作者もアフレコ収録現場を見学。その1コマ。(c)方條ゆとり+望月菓子/COMICSMART INC.

 

コンパクトさを生かし、新しいことにチャレンジ

コミックスマート内で「ムービングコミックを作ろう」という企画が決まってから配信までにかかった時間は、わずか3か月。IP(知的財産権)と配信メディアを持っていること、動画制作部隊を別にして一社のみで完結していることが、そのスピードの秘訣だろう。

 

福留氏は「ムービングコミックやアニメーションを含め、コミックをより楽しんでもらえるような取り組みをこれからもしていきたい」と言う。その際の体制については「今回の制作体制に加え、従来の仕組み(委員会方式)のなかでもできることはあると思うので、こだわりを持たず、臨機応変にやっていきたい」と語った。

 

また、これにとどまらず、作品の新しい表現方法も模索していきたいという。上質の読書体験を読者に提供するコミックスマートの挑戦はまだまだ続くのだ。

↑会社ロゴの前で、「人形峠」台本を手にする福留氏と千葉氏。なお、現在GANMA!では、スマホアプリからアクセス可能な「人形峠MCイッキ見キャンペーン」を10月14日まで開催中とのこと

 

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