ロボットはオムレツも作れるようになったけど、まだまだ修行が必要

ink_pen 2020/8/7
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ロボットはオムレツも作れるようになったけど、まだまだ修行が必要
佐藤まきこ
さとうまきこ
佐藤まきこ

大学時代に細胞培養の研究を専攻した後、メディア・広告の世界へ。雑誌編集者や広告のプランナー、コピーライターとして長年経験を積み、フリーランスのプランナー、エディターとして活動中。ハワイ、オアフ島在住。Instagram: @hawaii_milestone

オムレツはシンプルな卵料理ですが、卵のふわふわ具合やきれいに成形するところがなかなか難しく、初心者では上手に作れない料理のひとつかもしれません。そんなオムレツの全工程を任せられる調理ロボットがイギリスで開発されました。気になる仕上がりは?

↑レパートリーを広げるお料理ロボット。でもお味は?

これまでにもさまざまな調理ロボットが生まれていますが、ロボットが行うのは調理工程の一部だけであるケースがほとんど。調理の最初から最後まで一連の作業をすべてロボットに任せられるものは限られていました。

 

今回、イギリスのケンブリッジ大学の研究者が開発したのは、卵を割るプロセスから始まりオムレツの全工程を担うロボット。彼らがオムレツのロボットを作ろうとしたのは、シンプルだけれど奥の深い卵料理であるオムレツは、料理の味や質感、香り、見た目をよくしロボットの性能を向上させるために最適な料理と考えたからだそうです。

 

研究チームは機会学習でロボットの操作などを設定。卵を割り、塩コショウして混ぜ、温めたフライパンに卵液を流しこみ、泡立て器でやさしく卵を混ぜるという動作をロボットが行います。

 

オムレツの深い世界を本当に学習できる?

このロボットの開発で難しかったのが、味覚部分での調整。人間の味覚はかなり主観的で、相対的に評価する傾向があり、味つけを定量化することが難しかったのです。そこで、この研究者はベイズ推定と呼ばれる統計学を用いて味覚データを抽出し、機械学習アルゴリズムの微調整を行いました。

 

このロボットが作ったオムレツは、「期待以上にいい!」と研究チームでは評価しています。しかし卵を返して丸めていく工程がないため、見た目はパンケーキのよう。日本人が想像する一般的なオムレツからは程遠いかもしれません。

 

それもそのはず、日本ではオムレツというと卵が半熟状態のものが好まれますが、アメリカやイギリスではふわふわのオムレツはあまり無いのが実情。アメリカ在住の筆者も現地では日本のようなソフトな食感のオムレツに出会ったことはありません。アメリカでは生で卵を食べる習慣がないため、火がしっかり通っていない半熟のオムレツは敬遠されてしまうものなのかもしれません。

 

そのためこのロボットが作ったオムレツは、研究チームのメンバーや海外の人が食べたら高評価なのかもしれませんが、日本人からするともしかすると満足する味にはならないのかも……。

 

オムレツの調理工程をすべて任せられるロボットの誕生は、今後の新しいロボット開発にもきっと活用できることでしょう。ただしオムレツの調理という観点で考えると、日本人が好むようなふわふわオムレツを作れるロボットは、さらに高い技術が求められるのでしょうね。これからの修行に期待です。

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