上流気流に乗って空を飛ぶ航空機・グライダーに青春をかける、空に恋をした体育会航空部の大学生たちを描いたアニメーション映画『ブルーサーマル』が3月4日(金)より公開。天真爛漫で、真っすぐな主人公“つるたま”こと都留たまきを演じた堀田真由さんは、本作が声優初挑戦となる。そんな堀田さんに本作への思いやアフレコ収録でのエピソードをはじめ、時間を有意義に過ごせるというある場所やモノについても語ってくれました。
【堀田真由さん撮りおろしカット】
すぐに人と仲良くなることができるところは、私と似ているかもしれません(笑)
──声優初挑戦で演じられた“つるたま”役は、オーディションで決まったとのことですが、役者のオーディションとの違いは?
堀田 役者のオーディションでも、言われたことへの対応力が大事だと思っているので、そこはもちろん心がけました。ただ、これまで受けた声優のオーディションよりも、今回はさらに作品の内容を深く知ることができたこともあり、前もって“つるたま”という女の子について、研究して、自分なりに役作りをしてからオーディションを受けることができました。原作コミックを読み込むことで得るものは大きかったですし、先に頂いた台本は、(航空部先輩の)空知との掛け合いのシーンだったので、「これぐらいのテンション感でやったら面白いかも?」と、自分なりに家で練習して臨みました。
──そんな“つるたま”についての印象は?
堀田 すごく前向きで陽気な性格で、自分が心の中に思っていることを言葉に出せる女の子だなと思いました。大人になるにつれ、いろいろと遠慮がちになってしまうことが多いなか、彼女の持つ真っすぐさ、一生懸命さが素敵に感じました。これまで私が演じてきたのは、どこかクールで強気な一筋縄ではいかない役が多かったですし、実際の私とも違うんです。ただ彼女がすぐに人と仲良くなることができる社交的なところは、私と似ているかもしれません(笑)。
──アフレコ収録時のエピソードについて教えてください。
堀田 第一線で活躍されているみなさんの中に、アフレコ初挑戦の私がいることに対する不安は、確かにありました。あと、私の声は線が細いんです。そのため、できるだけ声量を上げる、声を張るよう心がけましたし、私の芝居の方法が、「みなさんとのバランスを崩してしまうかも?」という心配もありました。でも、コロナ禍の今、みなさんとアフレコブースに入って録ることが難しいと聞いていたんですが、幸運にも今回はそれができたんです。そのため、その場で生まれる空気感を大切にしながら、みなさんとの掛け合いをやらせていただきました。
──橘正紀監督から、特に指示されたことは?
堀田 「監督からいろいろ言われたら、パニックになってしまうかも?」と心配もあったのですが、「まずは楽しく自由にやってください」と言われたことで、とても安心しました。みなさんに支えられながら収録していくなかで、走るシーンでは腕を動かしたり、身振り手振り加えたりしながらできるだけ形も加えて演じていくようにしました。でも、みなさんは、私のようなことはされず、ずっと声だけで対応されていて、「さすがだなぁ」と思いました。
この作品を観ることで、より前向きになってもらえたらうれしいですね。
──完成した作品を観た感想は?
堀田 ふとしたきっかけで、航空部のメンバーが“つるたま”の人生にとって大切な仲間になっていく様や、“つるたま”の存在によって周囲が影響されて変わっていく様など、人間関係がとても素敵な作品だと思いました。どんなことがきっかけになるか分からないですし、人と人との出会いによって及ぼす影響がいい方向に向かっていく感じも良かったです。実際に演じるうえでも、人と人との距離感のようなものを意識しましたし。今まで“つるたま”のようなキャラクターを演じたことがなかったこともあり、作品を観たマネージャーさんからは「こういう声も出すんだ!」と驚かれました(笑)。
──印象に残ったシーンやお好きなシーンは?
堀田 空知との掛け合いのシーンは、かなり好きです。台本に書かれたセリフを言いつつ、その後にアドリブで続けたりしたので、演じていてとても気持ちが良かったんです(笑)。それから、雲海を見るシーンは、バックに挿入歌が流れるとてもきれいなシーンで、空知と倉持先輩との三角関係がちょっと動き始めたりするので好きです。コロナ禍で世の中が不安な状況ですが、上も向いてみようと明るい気持ちになる作品になったかなと思います。また、いろいろ新しいことが始まり、ドキドキしたり、不安になったりする春という季節に、この作品を観ることで、より前向きになってもらえたらうれしいですね。
ひとつの作品が終わった後にお買い物することは、自分にとって大きな気分転換に
──声優初挑戦を振り返っていかがでしたか?
堀田 初めてのことをやらせていただく高揚感と不安感が入り混じっていましたが、最終的には、とても楽しみながら、学びながら収録することができました。そして、実写とアニメでは違う部分もあると思うんですが、「表現する」という意味では、どちらも同じエンターテインメントだということを痛感しました。
──堀田さん自身、大空への憧れはありますか?
堀田 地元・滋賀県の空は、とてもきれいで、空気が澄んでいることもあり、いろんな表情を見ることができるんです。また、学校の授業でも星座を見る宿題があったりして、昔から空を見上げることが多かったんです。なので、今回空に関わる作品に参加することができてうれしかったです。ちょっと高所恐怖症なので、怖さもありますが、「“つるたま”が見た景色はどんなだったんだろう?」という気持ちが強いので、機会があったら実際のグライダーにも乗ってみたいです。
──“つるたま”がグライダーにハマったように、堀田さんがハマっているモノはありますか?
堀田 時間があったら、本を読みに行く純喫茶があるんですが、その下の階にちょっとレトロな食器を売っているお店があるんです。そこに行くたび、マグカップや箸置きなど、ひと目惚れしたものを買っていたら、食器集めにハマっていました(笑)。料理好きな母親の影響も大きいかもしれませんが、私にそういう趣味があることを知った兄も瀬戸物を送ってくれましたし、清水寺で作った陶芸のコップにも愛着を感じています。あと、靴下を集めるのも好きで、いろんな色を並べたくなったりして、クローゼットの中には靴下専用の棚もあるんです(笑)。食器や靴下に限らず、ひとつの作品が終わった後にお買い物することは、自分にとって大きな気分転換になっています。
──また、撮影のときなどに、必ず持っていくようなグッズなどはありますか?
堀田 保温ボトルは、マストで現場に持っていきます。今使っているものは、去年の秋に撮影の移動中にかわいいさに即買いしたものです。ボトルの中にはノンカフェインで気持ちが落ち着くといわれるルイボスティーを入れているのですが、朝入れたものが夕方ぐらいまで温かいんですよ。サステナブルと言われる時代、環境にも優しいですし、必需品になっています。
ブルーサーマル
2022年3月4日(金)より全国ロードショー
(CAST&STAFF)
出演:堀田真由 島﨑信長 榎木淳弥
白石晴香 大地葉 村瀬歩 古川慎 高橋李依 八代拓 河西健吾
小松未可子 小野大輔 寺田農
原作:小沢かな『ブルーサーマル ―青凪大学体育会航空部―』(新潮社バンチコミックス刊)
監督:橘正紀 脚本:橘正紀 高橋ナツコ
キャラクターデザイン・総作画監督:谷野美穂 音楽:海田庄吾
主題歌:「Blue Thermal」SHE’S(ユニバーサル ミュージック)
挿入歌:「Beautiful Bird」SHE’S(ユニバーサル ミュージック)
美術監督:山子泰弘 色彩設計:橋本賢 撮影監督:若林優 音響監督:山口貴之
アニメーション制作:テレコム・アニメーションフィルム
制作:東映東京撮影所
製作:「ブルーサーマル」製作委員会
配給:東映
(STORY)
高校時代、バレーボール一筋で頑張ってきた都留たまき(堀田真由)。サークル活動や恋愛などで充実した、“普通の大学生活”に憧れ長崎から上京するも、入学早々とある事故でグライダーを傷つけてしまう。その弁償のために“体育会航空部”の雑用係をすることに。思い描いていた大学生活とはかけ離れた環境に不満を抱いていたが…、主将である倉持(島﨑信長)の操縦するグライダーで初めて《空》へ飛び立った瞬間から、一面に広がるその美しさに魅了されていく。
(C)2022「ブルーサーマル」製作委員会
【映画『ブルーサーマル』よりシーン写真】
撮影/干川 修 取材・文/くれい響