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2022/4/8 18:45

反町隆史インタビュー「ルールは“頑張りすぎない”こと。バランスよく生きてほしい」

若者の心をつかむ究極の上司像として多くの共感を生み、これまでに累計1億回以上読まれたことでも話題を読んだ吉谷光平さんの人気マンガ『今どきの若いモンは』が待望のドラマ化。寡黙で言動が読めない上司ながら、完璧な振る舞いをする上司・石沢を演じるのは反町隆史さん。自身も「理想とする人間」と語るこの役にはたしてどのように挑んでいったのか。放送を前に、収録直後の心境をうかがった。

 

反町隆史●そりまち・たかし…1973年12月19日生まれ。埼玉県出身。最近の主な出演作にドラマ『相棒』シリーズ(テレビ朝日系)、『リーガル・ハート〜いのちの再建弁護士〜』(テレビ東京系)、映画『みをつくし料理帖』、『ホットギミック ガールミーツボーイ』などがある。公式HP

【反町隆史さん写真一覧】

 

福原さんも中村くんも、今どきの若いモンは本当にすごい

 

──原作や台本を読み、今回演じる石沢課長にはどのような印象を持たれましたか?

 

反町 とても人間味にあふれたキャラクターだなと感じました。仕事ができるし、若者への理解も深くて。それに、ドラマの中では彼の過去も描かれているんですが、昔から完璧な人間ではなかったんですよね。そうした成長の跡にもすごく共感できましたし、人間らしい部分がたくさんあるので、その意味では感情も分かりやすく、演じていて非常に楽しい役でしたね。

 

──石沢課長は誰もが理想とする“究極の上司”として描かれていますが、演じる上で意識されたことはありますか?

 

反町 彼はストレートに物事を言わないんですよ。ちょっとひねってると言いますか……(苦笑)。真面目なこともそんなに言わないですしね(笑)。ただ、同僚にしろ、部下にしろ、分け隔てなく人と人とのつながりをすごく大事にしている。何事にもいろんな目線に立って物事を見て、同じ高さで言葉を発するんです。そこが彼の良さであり、このドラマのテーマでもあるので、意識したのもその部分ですね。

 

──確かに台本を拝読すると、福原遥さん演じる新人社員の麦田や中村海人さん演じる部下の舟木への助言も、直球というより、さり気ないものが多い印象でした。

 

反町 そうなんです。それでいて決して命令ではない。そこもすごく共感しました。僕自身、そうありたいという思いがありますし、特に主演として現場の空気を作る際も、石沢と同じような行動を目標にしているところがありますから。

 

──またドラマの中では、そんな石沢の言葉によって若者たちが成長していきますが、反町さんには麦田や舟木はどのような若者に映りましたか?

 

反町 がむしゃらに一生懸命ですよね。しかも彼らの素晴らしいところは、失敗しても、それを怖がらないこと。まぁ、時には失敗自体に気づいていない場合もあるんですが(笑)、それすらも微笑ましく思えてしまう。それに、打って響かないわけではなく、上司が届けた言葉に対して、きちんと行動で返してくる。エピソードごとにどんどん成長していってるし、まさしく“今どきの若いモンはすごいな!”って思いました(笑)。

──実際に共演された福原さんや中村さんの印象はいかがでしたか?

 

反町 ひと言でいえば、非常に真面目で誠実。僕が若い頃はもう少しいい加減でしたもん(笑)。お芝居にはその人の本質がにじみ出てくるものなので、きっと普段の生き方そのものが真っすぐなんでしょうね。特に福原さんが演じた麦田はすごくストレートで。石沢はわりと砕けた振り幅の多い表現が多かったので、彼女の真っすぐさがシーンの空気を戻してくれることもあり、とても助かりました。

 

──ちなみに、反町さん自身は石沢のように後輩の役者にアドバイス送ることはありますか?

 

反町 僕はあまりそういうことをしないですね。僕自身がそうだったんですが、やっぱり先輩方の背中を見て学ぶことのほうが多いと思うんです。例えば、役の気持ちを考える時は、自分の感情はひとまず横に置いておき、冷静かつ客観的にキャラクターと向き合っていかなければいけない……といったことですね。役をまっとうするとはそういうことなんだと、先輩方から感じたんです。……まあ、今の自分がそれを出来ているかどうかは別ですけど(笑)。でも、だからこそ、自分の方から役について後輩たちに会話を持ちかけるといったことはしないです。ただ、現場の空気って主演を担う役者の行動によって大きく変わっていくところがあるんです。その点については、今回も座長として、みんなに“この現場に来るのが楽しい”と思ってもらえるような雰囲気作りを心がけましたね。

 

言葉では簡単に言い表せないちょっとした人間関係の素晴らしさ

 

──反町さんは普段、石沢のように「今どきの若いモンは……」とジェネレーションギャップを感じることはありますか?

 

反町 もちろんあります。特にインターネットやパソコンに関する知識なんかは純粋にすごいなと思います。正直、役者業って、やっていることはすごくアナログなので、パソコンを扱えなくても全然困らないんです。だから関心がないというのもあるかもしれませんが、たまにパソコンの使い方で分からないことを娘に聞くと、いとも簡単に説明してくれて。「えっ! その年でそんなことまで分かるの!?」と驚かされることがたくさんあります(笑)。

 

──ネット世代の若い方たちは物心ついた頃から身近にスマホやパソコンがあるため、抵抗なく扱えるんでしょうね。

 

反町 そうなんですよね。でも、そんな時代だからこそ、改めて人と人のつながりを大切にしてほしいなと思います。何度も娘の話になって恐縮ですが(笑)、うちの娘が普段からいろんな国の友達とメールのやりとりをしているんです。もちろん、それも素晴らしいことなんですが、でもやっぱり会話がなくて、文字だけでつながりを持ててしまうことに少し寂しさを感じるんですよね。このドラマでも描かれていますが、実際に口で会話をし、お互いの思いや感情を感じながら、相手を理解することって大切だと思うんです。本当の幸せというのも、実はそういうところにあって。普段生活をしていて、“あ〜、今日は最高に幸せだったなぁ”っていう大きな喜びを得られる日なんてほとんどない。けど、ささいな幸せはいろんなところに転がっていて、それを自分が感じ取れるかどうかが大事なんです。その意味でも、このドラマを通して、言葉では簡単に言い表せないちょっとした人間関係の素晴らしさを感じていただけたらいいなという思いがありますね。

──なるほど。また、ドラマの中で石沢は部下を教育する立場ですが、反町さんが若い世代へ伝えたい特に大事にされているルールなどはありますか?

 

反町 僕が常日頃からよく言っているのは、あまり頑張りすぎるなということです。周りが80点取っているところで100点を取るのも大切かもしれませんが、僕はどんな状況でも確実に60点や70点を取り続けることのほうが大切だと思っていて。つまりは頑張りすぎず、バランスよく生きることを心がけてほしいと思っています。

 

──そうした考えは以前からお持ちだったんですか?

 

反町 ある程度、年齢を重ねてからでした。自分が若い頃はもっとがむしゃらでしたから。生き急いでいたという表現のほうが近いかもしれません。でも、30歳、40歳と年を重ねていくなかで、少しずつ余裕を持って人生や時間を楽しめるようになっていったんですよね。それは多くの経験を積んできたことの結果であり、また、子どもを育ててきた時間が自分自身を成長させてくれたんだと思います。

 

──素敵です。では少し余談になりますが、石沢課長がいつも缶コーヒーを飲んで仕事に向かうように、反町さんにとって仕事のスイッチになるものはなんでしょう?

 

反町 モノではないんですが、ルーティーンがあります。早く寝て早く起きるという、いたってシンプルなことなんですが、これがずっと身に付いてまして。実は、ドラマの『相棒』をやらせてもらっていた7年間、一度も目覚まし時計をかけたことがないんですよ。体内時計がしっかりしているのか、自然と目が覚めるんですよね。

 

──それはすごいです。ちなみに何時に起床されるのでしょう?

 

反町 たいてい6時半ぐらいですね。

 

──そうやって朝起きてからのモーニングルーティーンなどもあるんですか?

 

反町 起きてから30分くらいは台本を読みます。その日に収録する場面のセリフは数日前に既に頭に入れているので、読むのは数話先の台本。それから朝食を食べて、現場に向かう。これを10年くらい繰り返していますね。

 

 

『WOWOWオリジナルドラマ 今どきの若いモンは』

2022年4月9日(土) WOWOWにて毎週土曜 後10・30〜放送/配信[第一回無料放送]

 

(STAFF&CAST)
原作:吉谷光平「今どきの若いモンは」(Cygames/サイコミ連載中)
監督:山田能龍
脚本:アベラヒデノブ
音楽:渡邊崇
出演:反町隆史、福原遥、中村海人(Travis Japan/ジャニーズJr.)、水崎綾女、藤井隆、萩原聖人ほか

(STORY)
三ツ橋商事営業部の課長・石沢一はいつも若い社員の仕事ぶりに対し、「ったく、今どきの若いモンは……」との言葉を投げかけることから、周りから距離を置かれていた。そんな彼の下へ新入社員の麦田歩が配属される。仕事に不慣れな麦田は失敗ばかりを繰り返し、先輩の舟木からもため息をつかれる始末。ところが、そんな彼女の前に突如、石沢が現れ、謎の行動を取る。はたして石沢課長は良い上司なのか、それとも……?

【『WOWOWオリジナルドラマ 今どきの若いモンは』よりシーン写真】

 

撮影/井上琢也(井上美術株式会社) 取材・文/倉田モトキ ヘアメイク/iNOMATA  (&’s management) スタイリスト/吉野 誠 衣装協力/タリアトーレ、スローン、カナ―リ、パネラ