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2022/6/2 21:00

『オカルト編集王』刊行記念!? 「月刊ムー」スタッフが激白! あなたの知らない三上編集長の“あやしい”世界

日本のオカルト情報誌の元祖にして最長寿である月刊「ムー」。創刊は1979年で、2022年7月号が通算500号となる。近頃はさまざまな媒体で取り上げられるようになったが、マスコミでの露出となると、雑誌自体よりも五代目編集長を務める三上丈晴氏のほうがはるかに多い。その三上編集長が自ら筆を取り、これまでのすべてについて語る『オカルト編集王 月刊「ムー」編集長のあやしい仕事術』(学研プラス・刊)という本が出版される。

本書は、入社半年後にムー編集部の住人となった三上編集長の経歴をなぞる流れで進む。異彩を放ちながら40年以上も存在し続ける「ムー」という媒体の定義から始まり、“マインドマップ”や“1パーセントのニュートラル”といったキーワードをちりばめながら「ムー」ならではの企画術や編集術が語られ、ジョー・マクモニーグル氏や高野誠鮮氏をはじめとする「ムー」基準の重要人物が紹介され、心霊写真やロズウェル事件など「ムー」が取り扱うミステリアスな事象の裏側に踏み込んでいく。

 

その過程で「ムー」が擬人化されていき、読者は三上編集長という生身の人間と並べて見ているような感覚にとらわれる。それと同時に、 “バーチャル編集部員”のような立ち位置で三上編集長の記憶をたどりながら疑似的追体験の中で遊ぶことができるのだ。

 

『オカルト編集王』は、世間で“ムー的”という表現によって形容されるものをつまびらかにしていく役割も果たしている。独特であやしい響きを感じる“ムー的”という言葉に込められているもの、そして三上編集長がまとう“あやしさ”をよりよく定義するためには、同じ空気を共有してきた人たちの口から語られる話を直接聞くのが一番良いに違いない。そこを出発点として走り出すこの原稿は、『オカルト編集王』のプロローグに記されている次の文章で始めたい。

 

月刊「ムー」の編集を通して感じたこと、考えたこと。もっといえば、月刊「ムー」を通して世間を見たとき、このように観えるんですよとお伝えしたい。世の中、すべて表と裏がある。人間も本音と建前がある。常識で語られる世界と超常識がまかり通る世界では、まるっきり世界観が異なる。

『オカルト編集王』より引用

 

30年の付き合いがある副編集長曰く「編集長は全部あやしい」

まずは直接的なかかわりの中で多くの時間を共にしている現編集部のみなさんからお話を伺うのが順番として座りがいいと思う。本書では語られなかった三上編集長の真の姿を、スタッフ達に語ってもらおう。

 

最初に紹介するのは、入社当時から三上編集長と一緒に仕事をしている副編集長、宍戸宏隆さん。編集長について、あやしいと思うところから話を始めていただいた。

 

あやしいところって、全部あやしいですよ。僕は編集長と30年の付き合いです。最初のころはそうでもなかったんだけれど、どんどんあやしくなっていったことを感じますね。僕自身は、最近のことのほうが知らないという気がしています。昔に比べて会社にいないことが多くなったのは、確実に言えますね。昔は有給もほとんど取らずに、ずっと編集部にいる感じでした

 

そして当時は、仕事が終わっても家には帰らなかった。

 

彼は僕の1年先輩で、若いころは毎晩朝まで飲んでました。そういえば、香港返還の日も飲んでました(笑)。編集長は、自分が好きなものはとことん突き詰めていくタイプだと思います。おそらく、これからの興味の対象はスペイン語になると思います。ただ、ある時期を過ぎると興味がほかへ移ることが多いようです

 

宍戸さんのようにごく身近にいる人たちとのコミュニケーション方法にも、ちょっとしたクセがある。

 

すごく近くにいるのに、メール経由で進める会話のほうがスムーズな場合があります。話しかけてもこっち向かないのに、メールだとすごくレスが早いんです

 

向き合ってご飯を食べているのに、ライン経由で言葉をやり取りするカップルみたいだ。

 

ヘブライ語でビールを注文する

ムー集部に女性が所属していることをご存じない方もいらっしゃるはずだ。そこで、次は女性編集部員お二人に登場していただく。最近は“スー女”と全く同じニュアンスで、“ムー女”というワードが使われる場面も増えている。編集部の内側にいる女性の目線から、三上編集長のあやしさについて語っていただこう。ちなみにここでは、毎号ムー本誌に掲載されている“ムー新聞”や“STAFF ROOM”のコーナーで使われているニックネームでの登場となる。まずはキャリア5年のきび子さん。

 

私が入ったばかりのころ、編集部で出す年賀状に押すためのヘブライ語の印鑑を作って、『俺の名前はこれを押しといて。こっちが上で、こっち周りで読むんだよ』って言って渡されました。わけのわからない文字が刻んである印鑑です

 

20年目のムロミンさんが頷きながら話を受け取る。

 

きっと、自分の中のブームだったんだと思います。その流れで、ある時期からホワイトボードにヘブライ語で行き先を書き始めました。誰も読めないけど、自分の中では楽しいんだろうと思ってました。それに、飲み会の時に店員さんにヘブライ語で注文し始めて、私たちが謝りながら『すみません。ビールで大丈夫です』って言ってたりしました。この人ほっといていいです、みたいな感じですね

ヘ…ヘブライ語で注文だと!

 

きび子さんが言葉を続ける。

 

チャコールにハマってた時期もありましたね。今は納豆にハマってて、納豆食べながらメールをチェックしてます。Amazonで変な種を買ってます。あやしい袋に入ってる海外産の聞いたことないような植物の種。それに、ムー新聞でオリジナルカレーのレシピ載せてたこともありました

 

ムロミンさんにも思い当たるところがあるらしい。

 

半年間毎日、1日1食は絶対にカレーを食べるという時期がありました。ある日雑談していてカレーのレシピの話が出て、ちょっと経ったら『これです』っていうメッセージとオリジナルカレーの画像がメールで送られてきたことがありました。すぐ近くにいるのに

 

すぐ近くにいるのに直接話しかけず、メール経由でコミュニケーションを構築するメソッドは編集業務に限ったことではないようだ。インサイドストーリーはさらに続く。

 

どこで、誰と会っているのかが謎

ムー編集部からの最後の証言者は、現時点ではおそらく編集長と関わる時間が最も長いと思われる望月哲史さん。さまざまな異業種とのコラボ企画、ムーのコンテンツ展開の最前線にいる人だ。

 

昔は『テレビなんか出るか』というスタンスでした。当時のお昼の国民的バラエティー番組に出たことがメディア露出のきっかけになったのかもしれませんが、決してノリノリではなく、周囲に促されてという感じでした。何がきっかけでこれほど露出が多くなったのかな。レギュラー番組的なものが始まったタイミングは7年ぐらい前だったと思います。テレビに馴れ始めたのはあのころです

 

望月さんは、編集長との距離感を次のような言葉で説明してくれた。

 

コミュニケーション遊びみたいな感覚のものを仕掛けてくることがあります。本気でやってるのかボケてツッコんでほしいのか、見極めかねます。ただ、ツッコんだらツッコんだで、そこからの返しはそれほどうまくないんです。昔、上下デニム姿で現れた時に強めのツッコミを入れても、レスがありませんでした

 

編集長は、誰かと顔を合わせる前の時点でその場の自分のあり方を決めているのかもしれない。望月さんは、そう語る。

 

会議の席とかネタの話をしている時は、自分の中ですでにかなり仕上がっていると思います。記事にするという話をしている時点で、しっかり流れができています。これから筆者さんと打合せをするという段階の話はあまりしません。方向性が急展開することもあります。ウクライナの話をしていて、何かのタイミングでものすごい勢いで聖書の記述の解説を始めたこともありました。それに、誰とどこで会っているのかわからないことがあります。これはかなりあやしいと思います。どこで誰と会って、それがどんな記事となって昇華していくのか。そのプロセスはあやしいですね

 

三上ワールドの扉が開くと、普段のワンワードが100ワードに増殖

執筆陣からは、並木伸一郎氏に登場していただく。創刊号から記事を書いていらっしゃる超常現象研究家で、ムーの歴史そのものと呼べる書き手だ。並木氏にも、独特な言い回しで編集長のあやしさを表現していただいた。

 

編集長のあやしさ。それはなんと言っても、三上ワールドですね(笑)。取材に行くと、別人格が登場します。話しっぱなしで、止まることがありません。そして、すべてを自分で解説します。移動中の車の中では、MCになってすべての会話を回します。MCミカミです。自分で話の流れを構成して、それを展開しながら自分の世界にのめり込んでいきます。構成して、段取りして、落とすまで行って終わり。三上ワールドの扉が開くと、もう止まりません

 

そこにビールが加わると、三上ワールドはいよいよ加速度的に膨張する。

 

ビールしか飲まないんだけれど、ものすごい量を飲みます。飲んでいない時は、自分から話を切り出すことは少ないんじゃないでしょうか。こちらから問いかけてもひと言返ってくる程度です。たぶん、人見知りなんだと思います。まあ、この業界はそもそも人見知りが多いのですが(笑)。三上ワールドの扉が開くと、普段のワンワードが100ワードに増殖します。そうなると誰も介入できなくなります。そこから極めつけのあやしい話が始まって、極秘情報もバンバン出てくるので、それが面白くてみんな聞き入ってしまいます。『え? そうなんだ』なんて合の手を入れると、さらに回転数が上がります

 

ビールが入ると「三上ワールド」の扉が開かれる

 

“あやしい”という形容詞は、編集長という仕事のあり方そのものに当てはまる。

 

一定のテンションで仕事をしていることが感じられるので、編集長としての軸がぶれることはないんじゃないでしょうか。仕事の対象がオカルトなので、そういう姿勢があやしいと言ってしまえばあやしいのかもしれませんね。「ムー」が大好きで編集部に入ったので、仕事ぶりはすごく安定していると思います。世の中で好きなのは、ビールの次に「ムー」でしょう。編集長の話は全部面白いですよ。本当に何でもよく知っています。情報収集能力が高くて、本も相当読んでいると思います。それもこれも、とにかく「ムー」が好きだからです。学生自体にレギュラー投稿者だったという話は有名です。世間レベルで考えれば、それだけで十分あやしいかもしれません(笑)

 

「ムー」のあやしさを体現している男・三上丈晴

フリーライターになる前、筆者はとある通信社で働いていた。渋谷のマンションの一室にあった編集部に出入りし始めたのはそのころだったので、「ムー」との関わりは30年以上になる。渋谷の編集部を満たしていたあの空気。ムーの媒体としてのあやしさは、まさにそれなのだ。出入りしていた人間としては、たとえがちょっと違うかもしれないけれど、言霊めいたものも感じられた気がする。そして、そのあやしい空気を純化させてぎゅっとひとつに固めたような人物が三上編集長なのだと思う。

 

筆者自身のエピソードも紹介したい。フリーになった翌年から書き手として「ムー」に関わっている筆者は、これまで何回も取材で三上編集長に同行した。並木氏もおっしゃっていたが、ロズウェル事件に関してもエリア51に関しても、とにかく知識が広くて深い。そういう背景があるからこそ、筆者はいつも編集長をリスペクトし、無条件かつ全面的に信じる。何か頼まれたら、とにかく動く。同じようなことを感じている関係者は決して少なくないはずだ。

 

この原稿の締め切りの一週間前も、とある取材で石川まで同行した。新幹線できっちり144分、日本という国の裏の構造についての深い知識を次々と繰り出してくる。その姿は、かなり長い付き合いである筆者から見ても、やっぱりあやしかった。こういう時の編集長こそ、まさにムー的と形容するにふさわしいと思う。そしてあやしさという要素は、三上編集長の人間的魅力の一部にほかならない。

 

ムー的と形容されるものを可視化していく『オカルト編集王』は、現代日本のサブカルチャーの先端部分をつまびらかにする一冊となるにちがいない。そして何より、巻頭に書かれているとおり、「あやしい」は誉め言葉なのだ。

 

【書籍紹介】

オカルト編集王 月刊「ムー」編集長のあやしい仕事術

著者:三上丈晴
発行:学研プラス

唯一無二のオカルト雑誌「月刊ムー」編集長が、秘められた舞台裏を初公開! 日本中を驚愕させる「謎」と「不思議」は、どのように創られるのか? 創刊40年を突破、ムーはあんなに怪しいのに、何故、日本中で愛され続けるのか? UFO、UMA、心霊写真、ノストラダムス、ユリ・ゲラー……数々の鉄板記事に隠された「真実」とは!? 日本最強のオカルトマスター・三上丈晴が、今、すべてを明らかにする!

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