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2023/8/31 10:30

岡崎紗絵「大きなチャレンジで悩みつつ撮ったことで、いろいろな新しい発見ができた作品になりました」映画『緑のざわめき』9・1公開

福岡・佐賀を舞台に3人の異母姉妹が織りなす物語を松井玲奈さん主演で描いたヒューマンドラマ『緑のざわめき』が9月1日(金)より公開する。本作で、響子の異母妹・菜穂子を演じている岡崎紗絵さん。ドラマ「ナイト・ドクター」、日曜劇場「オールドルーキー」などで見せた姐御的キャラのイメージはなく、三姉妹を中心とした入り組んだ人間関係に、揺れ動く感情を抱え込む役どころだ。「かなりの挑戦作になる」と感じた本作への意気込みや役づくりなど、難役を演じることへの思いを聞いた。

 

岡崎紗絵●おかざき・さえ…1995年11月2日生まれ。愛知県出身。2015年より俳優として実績を重ね、ドラマ「教場Ⅱ」「ナイト・ドクター」、日曜劇場「オールドルーキー」など話題作に出演。ドラマ「花嫁未満エスケープ」では主演を務めたほか、映画では、今泉力哉監督の恋愛群像劇『mellow』(20)でヒロイン役を好演した。近年の出演作にドラマ「ケイジとケンジ、時々ハンジ」「転職の魔王様」、映画『名も無い日』(21)、『シノノメ色の週末』(21)がある。Instagram

【岡崎紗絵さん撮り下ろし写真】

 

菜穂子を演じるには「理解しきれないんじゃないか?」と悩みました

──今回、出演依頼を受けての感想は?

 

岡崎 夏都(愛未)監督をはじめ、プロデューサーさんも今回は初めましてのチームの作品だったので、菜穂子役のお話をいただいたときは嬉しかったです。プロデューサーさんは、私が出ていた「ナイト・ドクター」を見てくださっていたとおっしゃっていました。

 

──脚本を読んだときの第一印象は?

 

岡崎 私は今まで、どちらかというと陽で分かりやすい、感情が読みやすい役が多かったこともあり、「菜穂子という陰なキャラクターを演じ切るには、自分の考えだけでは足りないんじゃないか? 理解しきれないんじゃないか?」と悩みました。そして、脚本も書かれた夏都監督に直接質問することによって、いろいろなものが見えてくるような気がしました。

 

──実際、夏都監督とは、どのような話し合いをしたのでしょうか?

 

岡崎 脚本には書かれていない菜穂子の出生というか、バックグラウンドだったり、三姉妹を中心とした登場人物の入り組んだ関係性だったり……。それらを夏都監督の口から直接聞くことによって見えてくるものがありましたし、現場に入るまでに疑問や不安が解消されていくと同時に、私にとって「かなりの挑戦作になる」と思うようになりました。

 

──端的に言えば、松井玲奈さん演じる異母姉・響子のストーカーとなる菜穂子の役作りは?

 

岡崎 菜穂子はお姉ちゃんをストーキングしている一面もありながら、しっかり仕事しているし、友だちと一緒に遊びに行ったりするので、ずっと内にこもっているわけでもないんです。そのバランスがとても難しくて、「人間関係をうまくやろうとしている繊細な人」「つかみどころのない、一貫性がない人」というところで演じました。それを表すように、日によって菜穂子が着ている服のコーデも違っているんです。

 

──女優としても活動している夏都監督の演出はいかがでしたか?

 

岡崎 現場では「これは菜穂子が取る行動なのか?」「友だちとはどれぐらいの温度感で話しているのか?」ということが分からなくなったこともあったんです。でも、夏都監督はニュアンスで伝えるのではなく、「それは違う」「それはこうした方がいい」と、明確にハッキリ言ってくださり、とてもありがたかったです。

 

撮影の合間には嬉野温泉にも行くことができて楽しかった

──菜穂子が突然、響子の家を訪れ、お互い対峙するシーンについては?

 

岡崎 とにかく純粋に憧れの存在として、響子を思い続け、響子になりたいという気持ちで臨んだのですが、松井さんご自身も、神秘性がある方なので、そこにズレはなかったです。そのため、とてもやりやすかったのですが、いきなり家に上がり込むという、自分の気持ち先行の普通じゃない行動を取るので、撮影前に松井さんといろいろお話しましたし、いろいろな意見の下、時間をかけて撮りました。菜穂子のすべてを理解して、肯定するのはなかなか難しかったですが、そこはできるだけ彼女に寄り添えるよう心がけました。

 

──佐賀でのロケにおける撮影エピソードを教えてください。

 

岡崎 佐賀には初めて行ったのですが、とても自然が豊かな場所が多かったです。撮影の合間には嬉野温泉にも行くことができて楽しかったです。あと、福岡ですが、響子の好きな場所として、劇中にも出てくる海中鳥居が神秘的で、とても印象的なシーンになりました。

 

──『シノノメ色の週末』と同様、女性監督が3人のヒロインの物語を描いた作品ですが、作品を観た後の印象は全く異なります。

 

岡崎 あのときは、しっかり者の役柄でしたから(笑)。今回は三姉妹それぞれの人生がありつつ、「本当はこうなってほしかった」という思いや心の機微が描かれた、とても繊細な作品になったと思います。ハッキリと答えが出ているような作品ではないですが、3人それぞれの心の動きを感じ取ってもらえたら嬉しいです。

 

これからもどんどん気持ちが熱くなってくる作品に携わっていきたい

──岡崎さんが本作に出演されたことで学んだこと、勉強になったことは?

 

岡崎 現場でもたくさん支えていただき、座長の松井さんにも引っ張っていただき、お互いが影響し合うことを強く感じました。相手の演者さんの行動やセリフ回しひとつで、こちらのお芝居が変わってくることは、とても面白くもあり、勉強になりました。もちろん、大きなチャレンジで、悩みつつ撮ったことで勉強になったこともありました。私の感情が揺れていたからこそ、出てくるものもこれまでと違ったと思いますから。そういう意味では、いろんな新しい発見ができた作品でした。

 

──二期にわたって放送された初主演ドラマ「花嫁未満エスケープ」などでも活躍されている岡崎さんですが、ヒロインを演じられた20年公開の『mellow』(20年)は大きな転機作だったかと思われます。

 

岡崎 初めてヒロイン役をいただいたことも大きかったと思いますが、「私も作品にかかわっている・携わっている」という強い気持ちというか、私の動きひとつ、気持ちひとつで、いろんなものが変わっていくことを最初に知ることができた作品です。座長の田中圭さんの胸を借りる気持ちで飛び込んだんですが、田中さんもそれを受け入れ、支えてくださったのもありがたかったです。また、今泉(力哉)監督とも密にお話できたことで、迷いなくやれたのも大きかったですし、現場に流れる時間が映画のままで優しかったんです。『緑のざわめき』もそうですが、これからもスタッフ・キャストが一丸となった現場で、どんどん気持ちが熱くなってくる作品に携わっていきたいです。

 

──撮影に必ず持っていくモノやグッズを教えてください。

 

岡崎「SIXPAD」のマッサージガン(パワーガン)です。メイクさんが持っているものを貸していただいたのがきっかけなんですが、今ではこれなしではいられない状態になっています(笑)。撮影でヒールを履くことが多いので、足が疲れやすいんです。ふくらはぎとかに当てると、むくみがすごく取れますし、美容というよりは筋膜を剥がして、リンパの流れを良くするような感じですね。

↑岡崎さん愛用のマッサージガン。足のむくみ対策に欠かせないとのこと

 

 

 

緑のざわめき

9月1日(金)よりヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国順次公開

【映画「緑のざわめき」よりシーン写真】

(STAFF&CAST)
監督・脚本:夏都愛未
出演:松井玲奈、岡崎紗絵、倉島颯良、草川直弥(ONE N’ ONLY)、川添野愛、松林うらら、林裕太、カトウシンスケ、黒沢あすか

(STORY)
東京で暮らす28歳の女優・小山田響子(松井)は多忙な日々に疲れて仕事を辞め、生まれ故郷である九州の佐賀県嬉野市に近い福岡県に移住する。いっぽう、響子の異母妹である24歳の本橋菜穂子(岡崎)は、地元に帰ってきた響子をストーキングするように。ある日、偶然を装って響子に接触した菜穂子は彼女の手帳から盗んだ情報を通し、もう1人の異母妹で佐賀の集落に暮らす18歳の小暮杏奈(倉島)と電話でつながる。

公式サイト:midorinozawameki.com

(C)Saga Saga Film Partners

 

撮影/関根和弘 取材・文/くれい響 ヘアメイク/サイオチアキ(Lila) スタイリスト/稲葉有理奈(KIND)