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2023/9/22 7:00

EXIT・兼近大樹「キスシーンみたいな撮影の前は照れくさくて……思い付く限りの小ボケをたくさん挟んで挑みました」連続ドラマW-30「アオハライド Season1」

累計部数1300万突破の大ヒットマンガ「アオハライド」が、出口夏希と櫻井海音のW主演で、Season1/Season2の2部作で完全実写化する。そのSeason1となる連続ドラマW-30 「アオハライド Season1」が9月22日(金)よりWOWOWにて放送・配信される。原作の大ファンだと語る、EXITの兼近大樹さんが髪を黒く染め、普段のチャラ男口調も封印して、生徒に人気の高校教師役で出演。生徒役の若い俳優とのジェレネーションギャップも感じたそうで、撮影中のエピソードを笑いいっぱいに語ってくれた。

 

兼近大樹●かねちか・だいき…1991年5月11日生まれ、北海道出身。2017年にりんたろー。とEXITを結成。ボケ担当。2018年4月、ヨシモト∞ホールにて結成最速の単独ライブを開催。現在、EXITとして冠番組『EXITのベルギー行ったらモテるやつ』(テレビ東京系)ほかレギュラー番組多数。個人では、ドラマ「ホスト相続しちゃいました」に出演するほか、2021年、小説「むき出し」を出版し、小説家デビューも果たした。

【兼近大樹さん撮り下ろし写真】

黒髪にして衣裳を着ると陽一のようにかわいいなって思いました(笑)

──兼近さんが演じられた田中陽一は英語教師で、志田彩良さん演じる生徒の村尾修子から想いを寄せられています。高校生に人気の先生を演じると決まったときの心境はいかがでしたか。

 

兼近 面白いなと思いました。オレは女子生徒に嫌われるタイプだったので、今回のようなきれいな感じの人間を演じる日が来るとは思わなかったですよ。しかも英語教師なんて。東京に出てきたとき、オレはローマ字を読めなくて、AからZまで書けなかったんですよ。そういう人間が英語教師の役をやるとは……。

 

──役作りとして4年ぶりに黒髪にされたそうですね。

 

兼近 見た目から入ったところはありましたけど、「黒髪にできますか?」と聞かれたので、できないわけないんで「はい」と黒髪にしました。

 

──見た目から、ということで黒髪にして衣裳を身につけてみたら、すぐに田中陽一になれました?

 

兼近 そもそも原作の陽一がめっちゃ好きなんすよ。かわいいじゃないですか。大人から見た陽一は子供でかわいいから、最初は自分が陽一になれるのかなって思いましたけど、黒髪にして衣裳を着るとかわいいなって思いました(笑)。

 

染み込ませたチャラ男に見えるしぐさをやらないように気を付けました

──原作の陽一は20代。確かに高校生から見れば大人だけど、もっと上の世代から見ると若者です。30代前半の兼近さんから見た陽一のかわいらしさってどんなところですか。

 

兼近 器用で賢そうに見えるけど、実は自分の気持ちを伝えるのがあまりうまくない。そういう部分って年齢を重ねたらうまくなっていくはずなんです。でも陽一は生徒を指導する立場のくせに、そういうことがうまくできないかわいさがあるんですよね。あとはシンプルに感情をストレートに出しているところもかわいい。それも年齢を重ねると隠せるようになるはずなのに、櫻井海音くん演じる洸のお兄ちゃんであり先生なのに、平気で感情を出せる。もしかしてそれがね……大人であるオレがかわいいと思ったのが、陽一の計算だったら怖いですけど(笑)。原作に描かれている感じではそう思わなかったので、今のところ計算ではないだろうと思うとかわいいです。

 

──演じる上でもかわいさを意識しました?

 

兼近 若々しさとかわいさは意識しました。どこか生徒に近い気持ちを持っている感じを意識して頑張ったんですけど……なかなかねぇ(笑)。生徒を演じている子たちが本当に若いじゃないですか。多々分からないノリもありましたけど頑張りました。おじさんだけど、普段から若い人のふりをしているんで、そこはわりとうまくいったかなと。だいぶ(若々しく)カモフラージュできた気がします。

 

──先生役となると普段の兼近さんの話し方とは全く違ってきますよね。

 

兼近 (首を小刻みに揺らしながら)この動きをしないようにしました。今はあんまりやってないかもしれないんですけど、普段はチャラ男になってるんでそのクセがついてるんです。何でもないときも普通に動きながらしゃべっちゃうんです。自分で染み込ませたチャラ男に見えるしぐさなんで、それをやらないように気を付けました。

 

──気を付けないと動いちゃうんですか。

 

兼近 ふとしたときにやりそうになるんです。何のリズム刻んでんだろうみたいな、鳩の首の上下みたいな動きをチャラ男ってやるじゃないですか(笑)。それが出ないようにガチっとはめて、首をすわらせました。

 

わざとすれ違いと起こさないといけないんだなって勉強になります(笑)

──陽一役がくる前から原作はご存じだったのでしょうか。

 

兼近 知ってたんですけど、話がきたときに改めて読み返して、オレの教材だなって思いましたね(笑)。多分、昔は恋愛の勉強ができる教材として読んでいたので、歳を取ってから読んでも「あ〜いいなぁ」ってなりました。少女マンガって全体にヒロインと好きな人の気持ちのすれ違いを描くのが上手じゃないですか。すぐに想いが合致するわけじゃない。だから日常でもわざとすれ違いと起こさないといけないんだなって勉強になります(笑)。

 

──ほかには、どんな部分が教材として役立ちましたか。

 

兼近 少女マンガって心の描写が上手じゃないですか。「アオハライド」も相手は“どういう気持ちなんだろう、分からないよ~”みたいな描写がありますよね。日常でもあの感じを意図的に作らなきゃダメなんだなって思いました。そのための教材です(笑)。オレはストレートなタイプで、計算や駆け引きみたいなことができないから。

 

──好きなマンガの実写に出演できるのはうれしいものですか。

 

兼近 めっちゃ嬉しいです。オレは原作ものの声や実写とかめっちゃやりたい人なんで。

 

──原作ファンのこだわりもあるでしょうし、実写化ならではの難しさもあるのかなと。

 

兼近 寄せられそうなところは寄せて、無理なところは、自分の中で「原作とは違います」という言い訳をして落とし込みます。だってそのキャラクター本人じゃないから、そりゃそうじゃんって。そこは折り合いをつけてます。

 

演技はコントや漫才に近いものがあるかもしれない

──陽一も少女マンガならではなセリフがありますが、それを言うときの気持ちはいかがでしたか。

 

兼近 いや、照れくさいっすよ。オレだったら。でもスタートがかかったら、ある程度イケてたと思うんですよね(笑)。スタートの声さえかけてくれれば、コントみたいなものなので。コントや漫才中も面白いことをする側は笑ってないですよね。それはコント中もその中の人になっているから、相手に面白いことを言われても笑わないんです。ボケられて笑っている場合じゃない。真剣なんで。そういう意味では、演技はコントや漫才に近いものがあるかもしれないです。

 

──撮影中“陽一”になっていれば照れもないと。

 

兼近 照れないですね。ただ「カット!」って言われたときに、ふと我に返るとめちゃくちゃ恥ずかしいんで、ヘンにボケたりしました。撮影が始まる前と終わった後は、もうずっと照れくさいです(笑)。

 

──照れくさいときはどんなことをしたんですか。

 

兼近 何をやってたかなぁ。それこそキスシーンみたいなことも今回やりまして、始まる前が恥ずかしいんですよ。なのでめちゃくちゃエピソードトークとかしました。そのとき思い付く限りの小ボケをたくさん挟んで、志田さんに話したことを覚えてます。

 

──ということは、志田さんに照れが伝わっていたのでは(笑)。

 

兼近 いや、伝わってないでしょう(笑)。僕も大人ですからね。うまいこといったんじゃないかな。

 

忖度なしのボケツッコミは素晴らしい

──撮影中、印象的だったシーンを教えてください。

 

兼近 僕もいたんですけど、プール掃除をするシーンです。実際は冬の寒い時期で、撮影前にクリスマスだからって出口さんや櫻井くんたちがクリスマスのコスプレみたいな格好して現れたんです。「僕、これ昨日取り寄せたんだ」ってクリスマスツリーの格好していたり、キャッキャキャッキャしていて。オレは遠くからそれを見て、気持ちがほかほかしました。たまらんなぁ〜! と(笑)。演技じゃなくて、全員が素でやってるんだけど、でも登場人物たちが楽しんでるようにも見えるんです。見た目は役になりきってますからね。だからスピンオフ的なエピソードを見せてもらっているみたいな感じでほっこりしました。

 

──一緒にキャッキャしても良かったのでは。

 

兼近 さすがに混ぜてもらえなかった。ちょっと年齢が離れ過ぎてたのかな〜。僕に気を使っていたと思いますよ。みんなでキャピキャピしながら、先生のもあるよってかぶり物を渡されたので、「おー、ありがとな」って一応かぶったんですけど、そこから会話には混ざれませんでした(笑)。それと先生役なので、マインドとして生徒たちとあまり絡まないように、なるべく距離を置くというのは意識していました。見守るような立ち位置で、みんなと一緒にキャピキャピはしていなかったです。ま、できないんですけど(笑)。

 

──生徒役の皆さんを見ていて、どんなときに若さを感じましたか。

 

兼近 お菓子ひとつ食べるにしても、その話題でみんな盛り上がるんです。僕だったら自信がないと話し出さないんですけど。ま、年齢に関係ないのかな。僕がそういう職業だからなのかもしれないんですけど、僕にとっては、勝算のないトークは始めないっていうのが当たり前のことなんすよ。でもみんなお菓子ひとつでかけ合いができるというか。そういう若者特有の円滑なしゃべりを聞きながら、自分には「これはないなー」と。忖度なしのボケツッコミは素晴らしいなって思いました。

 

野球の話ができるの、すごくうれしい

──ここからは兼近さんがハマっているものについてお聞かせください。

 

兼近 野球ですね。大谷翔平はもちろん、プロ野球は常に見てます。

 

──昔からプロ野球はお好きなんですか。

 

兼近 ずっと好きではあったんですけど、全然見てなくて。去年ぐらいから毎日欠かさずに見るようになりました。パ・リーグTVに入っているので、リアルタイムで見られなかったら、VODで日ハム(北海道日本ハムファイターズ)の試合をひたすら見ています。個人の結果もネットの速報でチェックしてます。こういうことを月曜日以外は毎日やってますね。月曜日もメジャーリーグの試合はあるので、千賀滉大やダルビッシュ有、前田健太といったメジャーで活躍する選手たちの結果を追っています。

 

──そこまで追いかけるようになるきっかけは何だったんですか。

 

兼近 もともと好きではあったんですけど、『プロスピ(プロ野球スピリッツ)』や『パワプロ(実況パワプロ野球)』といったゲームで野球熱を消化していたんですよ。でもゲームは時間がかかるからやめたんです。じゃあ何で野球を楽しめばいいんだろうってなり、せっかくならリアルのプロ野球を追いかけようってなりました。今は『パワプロ』のサクセスのように、自分がサクセスしているかのように選手の記録を追いかけるようになりました。

 

──選手の成績を見て一喜一憂されてるってことですか。

 

兼近 そうです、そうです。選手一人ひとりの結果を見てます。日ハムで言ったら万波中正選手はホームラン王になれる可能性を残しているので、その観点から日々チェックして、見逃し三振とかだと「おいおいおい、見逃して終わりが一番ダメじゃん!」って一人で言ったりします(笑)。

──自分が監督であるかのような気持ちで見ているんですね。

 

兼近 いや、監督も自分が雇用しているという目で見ています。「新庄剛志を監督に起用したいんですが」という相談を受けて、オレが「ま、いいでしょ」って受け入れたって感じで見ているので、全部楽しいんですよ。だから新庄の采配が失敗したときも、「あ〜、こういうときもあるよ。大丈夫、大丈夫」みたいな気持ちでいられるんです(笑)。自分のチームとして見てるから。

 

──どちらかというと褒めて伸ばすタイプですか(笑)。

 

兼近 僕はそうですね。挑戦して失敗するのは全然アリです。こうやって野球の話ができるの、すごくうれしいです。野球好きが減ってきたなっていうのを明らかに感じられるから。「THE 突破ファイル」の収録で、サンドウィッチマンさんと話すぐらいなので。あとぺこぱの松陰寺(太勇)さんがロッテ(千葉ロッテマリーンズ)のファンなので、空き時間にギャーギャーわめきながらロッテ対日ハムの試合の話をしたりします。おじさんですよね。

 

──今年はWBC、高校野球と盛り上がっていたように思いますが、野球ファンのとって楽しい年だったのでは?

 

兼近 そうですね。僕もWBCの中継を配信する番組でMCをやらせてもらって、夢が一つ叶った気がしました。こんな日が自分にくるとは思わなかったんで。やっぱり野球といえば中居(正広)さん一強、野球でタレントが前面に出てきていいのは中居さんだけみたいになってるんで、そこにオレが食い込んだんだと思って(笑)。もちろんお叱りの声はいっぱい受けましたが、うれしかったです。

 

──ちょっとずつ野球の仕事に食い込んでいきたいって気持ちはありますか。

 

兼近 もう十分です。WBC中継のMCができて、日本が優勝して、大谷とトラウトの対決が見られたので。野球の仕事に関しては満足した感じはありますね。今は日ハムとEXITがコラボしたグッズを出させてもらったりして、ずぶずぶに絡ませてもらっているので、そこんとこもうちょっと深いところまでいけたらいいですね(笑)。

 

 

連続ドラマW-30「アオハライド Season1」

9月22日(金)スタート(全8話)
WOWOWで毎週金曜午後11:00 放送・配信(第1話無料放送)
TVerでは最新話を見逃し配信。WOWOWオンデマンドでは第1話放送終了後に全8話を一挙配信。

(STAFF&CAST)
原作:咲坂伊緒
監督:木村真人、松田祐輔
脚本:桑村さや香
主題歌:「この雨がやんだら」足立佳奈 feat.竹内唯人

出演:出口夏希 櫻井海音
志田彩良 莉子 新原泰佑 宮里ソル(円神)工藤美桜
堀内敬子 野間口 徹 神保悟志 板尾創路 渡邊圭祐 比嘉愛未
曽田陵介 兼近大樹(EXIT)

(STORY)
吉岡双葉(出口)と田中洸(櫻井)は中学の同級生。ある雨の日を境に2人は互いの距離を縮め、一緒にお祭りに行く約束を交わす。ところが、洸は待ち合わせ場所に現れず、双葉に何も告げぬまま転校してしまう。高校生になり、友達から嫌われないように自身を偽るための“ガサツな女子”を演じる双葉は、クラスで孤立する槙田悠里(莉子)のことが中学時代の自分と重なり、気になり始める。そんな双葉の前に突然、洸に似た男の子が現れる。しかし、彼は“馬渕”と呼ばれていて——。

 

撮影/映美 取材・文/佐久間裕子 ヘアメイク/富樫真綾(Ari・gate)