ファッション
2018/3/20 11:00

まるで宝石のようなセラミックの磨きに驚愕! GSであってGSでない、スポーツウオッチ

昨年末、ありがたくもグランドセイコーの高級モデルを長期間使用させていただいた。今回はその使用レポートとともに、”150万円を超える国産時計”がアリだと感じさせられたそのディテールに迫ってみたい。

 

 

 

人生初のGSはイメージとは全く異なるものだった。GSなのに大きくてゴツいし、ブラックセラミックはキラキラだし、なんだかギラついた時計だからである。ではそれがマイナスかというと、とんでもなく好印象。GSのデザインコードは踏襲しているから、もちろんスーツなんかにもバッチリ合ううえ、人と違ったものを身に着ける“タダモノじゃない”感が出るからだ。それは、いかなるときも煌く、磨き込まれたセラミックベゼルとケースによるところが大きいだろう。

 

なんといっても、このセラミックの煌きにやられてしまった。非常に硬く、研磨の難しいとされるセラミックをまるでステンレススチールかのように、GSクオリティのレベルにまで磨き上げているのだ。日中は上品に微笑み、夜は妖しく輝く表情の違いはなかなかお目にかかれるものでない。こうした素材にフォーカスした付加価値の付け方は、国産ブランドはあまりしてこなかったように思う。いかにも舶来ブランドの手法であり、GSが国際市場に本格的にアプローチしたのだと改めて実感した。

 

セラミックとチタンを巧みに掛け合わせたケース。ケースサイドはセラミックで覆われているような構造だ

 

 


シャツに合わせても違和感ない。個人的にはもう少し薄いと使いやすいが、スポーツシーンでの使用を考えるとこの厚み(16.2mm)はむしろ存在感があっていいのだろう

 

 

本機はチタンとセラミックを巧みに使い分けたケース構造になっており、縦52.5×46.4mmとやや大型でありながらサイズの割に軽量性にも優れている。このあたりの発想はユーザーからすると最もGSらしくない部分なんじゃないかと思う。こんなスポーティな出で立ちのGSは賛否がありそうだが、独立ブランド化したが故の挑戦的な姿勢そのものだ。

 

いま、市場では高級スポーツウオッチがブランド成功のカギを握り、超老舗と言われるメーカーが積極展開を仕掛けている。100万円超のスポーツウオッチカテゴリは大激選区と言って間違いなく、オーデマ ピゲのロイヤル オークやパテック フィリップのノーチラス、ロレックスのデイトナがその中心で、ジラール・ペルゴがロレアートを復活させてさらに混戦模様となっている。GSがそのフィールドに果敢に挑んだ初期の姿が本機だとすれば、わたしは絶賛を贈りたい。元来、国産時計というと機能で訴求することを作法とし、デザインなどブランド力が大きく作用する要素に弱かった。 GSはここに切り込んだのだ。

 

日中、セラミック部分は、自然光のなかで周囲の環境により黒というよりグレーなどの表情を見せる

 

 

どこか漆のような質感を思わせる艶やかなセラミックの輝きは、不思議と和の場面にもマッチする。スポーツウオッチというとビーチなど夏のシーンを連想しがちだが、広い意味で”旅”に携えたい時計ということであれば、こんな1本があってもいいと思う。光の具合や眺める角度によって真っ黒であったりグレーであったりと、色の表情を変えるこのセラミックは、アクティブではないシーンにもなじむような、繊細な美しさがある。

 

国産デザインの妙なのか、和の空間にもマッチする。隠れ家的な温泉宿などに着けていっても雰囲気を邪魔しない気がする

 

 

少しわざとらしい気もするが、お茶を注いだりもサマになる。あまりにキラキラさせすぎないよう、着け手のセンスが試される

 

ムーブメントにはGS伝統のスプリングドライブを搭載し、もちろん中身も世界に誇るセイコー品質を保っている。が、しかし、どんなシーンにもよりそうような日本人らしい特徴を備えた点をこのスポーツウオッチの最大の魅力として推薦したい。

 

裏側からは抜かりない仕上げが施された9Rスプリングドライブが見える。GSファンが唸るポイントも押さえられている

 

 

/商品詳細

グランドセイコー
ブラックセラミックス コレクション
SBGC223
167万4000円

問合せ セイコーウオッチお客様相談室 0120-061-012

https://www.grand-seiko.jp/