ファッション
2023/11/18 20:30

ファーストリテイリングが描くサステナビリティな未来はどんなもの?「Life=Wear 新しい産業」とは?

11月7日、「UNIQLO」を展開するファーストリテイリングは「Life=Wear 新しい産業」をテーマにしたメディア説明会を実施。今回で3回目となる、この説明会ではサステナビリティの主要領域における2030年度目標の進捗と、持続可能な事業成長を目指す取り組みについての発表が行われました。

 

2030年までに90%削減に取り組む

まず登壇したのは、取締役 グループ上席執行役員・柳井康治氏。2001年から社会貢献室を発足させ、全商品リサイクル活動につながるフリースの回収を開始したことからサステナビリティへの取り組みをスタートさせたという同社。難民の雇用や、ユニクロサッカーキッズなど10年以上にわたる取り組みも多数行なっていることが語られました。

↑サステナビリティ領域における2030年度目標の進捗を語る柳井康治氏

 

また、温室効果ガス排出量削減の取り組みも紹介。「2030年までに90%削減を目標に掲げているが、2023年の段階で45.7%削減まで成功。再生可能エネルギーの調達に関しても今年度で42.4%を達成しています」と柳井氏。環境に配慮したロードサイド店として新たにオープンした、群馬県の「前橋南インター店」では、従来店舗と比較して消費電力を40%削減するなど、目標実現に向け成果を出していることを説明しました。

 

長く愛される服づくりのために掲げる5つの約束事

次に登壇した、グループ上席執行役員・勝田幸宏氏からは「長く愛される服づくり」を目標に同社が掲げるコンセプトである「Life Wear」についての説明が行われました。“究極の普段着”を目指す「Life Wear」5つの約束事に関して、細かく説明するなかで「よくファストファッションと言われるが、どちらかといえばスローファッションなんですよ(笑)」と、話した勝田氏。サンプルを作って、試着をしてチェックを行う細かいフィッティングの過程が最低でも5回あるなど、細部への工夫&チェックを行っているのだそう。

↑同社が掲げるコンセプト「Life Wear」について説明する勝田幸宏氏

 

また、トレンドを追うだけでなく1つの服を長く愛用してもらうための考えとして「物理的なサステナビリティ、情緒的なサステナビリティ。この二軸の考え方を中心に製品を開発している」と勝田氏。

 

物理的なサステナビリティとしては、徹底した品質管理のもと、世界で通用する基準を設定し独自の試験も行うことで耐久性を確認するなどの工夫のこと。1着の服をより長く愛用できる品質を担保しているだけでなく、例えば人気の「オックスフォードシャツ」では横糸に3本の糸を撚ることで、生地表面をなめらかにして着心地を良くするなど、細かいクリエイティブにもこだわっているといいます。

 

一方、情緒的なサステナビリティとしてこだわっているのがデザイン面。「長く使えるデザインと聞くとよりシンプルになっていくことを想像するかもしれませんが、必ずしもそうではない。完成されたデザインは時間が経過しても古く見えない」と勝田氏。自身の娘が、15年前に発売された「アレキサンダー・ワン×UNIQLO」のコラボ商品服を高校生の時に愛用し、大学生、そして母親になっても着ているという実体験を交えながら“長く愛される服とは何か?”を語ってくれました。

 

また、2030年度までに全使用素材の50%をリサイクル素材に切替えるという目標に関しては、2023年現在9%の切り替えを達成していることに加え、天然素材を超える化繊を使用した新たな素材の開発も強化。東レと共同開発した独自の機能性中綿「パフテック」シリーズでは、リサイクルポリエステルを20%使用するなど、リサイクルに関しても企業として戦略的に取り組んでいるようです。

 

Life Wearを活かし続けるために行う「RE.UNIQLO」の取り組み

3番手で登壇した、サステナビリティ部 グローバル環境マネジメントチーム部長の黛 桂子氏からは、循環型社会を目指す上での取り組み「RE.UNIQLO」が紹介されました。「10年以上前に購入いただいた、UNIQLOのジーンズをリペアしていただくなど好評をいただいている」と黛氏が語ったのが、2022年から展開する服のリペア、リメイクのサービス「RE.UNIQLO STUDIO」。現在16の国と地域・35店舗で展開されるなど、1年たらずで大きく拡充。2024年にはグローバルで50店舗以上に、このサービスを導入する予定だといいます。

↑実際の商品を手に取り、循環型社会を目指す取り組み「RE.UNIQLO」を紹介する黛 桂子氏

 

また、服を買う際に古着を選択肢として加えてもらうことを目指した取り組み「UNIQLO古着プロジェクト」も実施。10月に東京・原宿で開催したポップアップでは、丁寧に洗浄を施し新品同様に着用できる古着や、回収した服をヴィンテージ風にリメイクした商品などが発売され多くの反響を得ました。また、今後の取り組みとして、“服から服へのリサイクル”を目指す上で2020年に発売した「リサイクルダウンジャケット」に続く第二弾、回収した衣料からコットン、カシミヤ、ウールを再利用する商品開発も進めているといいます。

 

持続可能な成長に向けたサプライチェーン改革

最後に登壇した、グループ執行役員・指吸雅弘氏からは、生産部門で取り組むサプライチェーン改革について発表。その中で指吸氏は「成⾧すればするほど、社会の持続可能性に貢献する事業を実現させることが究極の目標」と語り、持続可能性を担保しながら、安定的・機動的に生産できるサプライチェーンの構築に取り組んでいく指針を打ち出しました。

↑生産部門で取り組むサプライチェーン改革について発表する指吸雅弘氏

 

生産の全工程で品質、調達、生産体制、環境・人権対応の自社基準を適用、自社でサプライチェーン全体を管理するためにも、最終商品から原材料レベルまでサプライチェーン全体を可視化し、少数精鋭の生産パートナーに取引を集約。今後は、原材料を指定農場や牧場から調達する取り組みを進めていくことも発表されました。

 

なお今回の説明会の様子は海外のメディアにもオンラインで配信され、登壇者による発表の後に行われた質疑応答では、国内はもちろん東南アジアなど各国のメディアからも質問が飛び交いました。同社「Life=Wear 新しい産業」への関心の高さが伺える説明会となりました。

↑環境対策からプロダクト、社会貢献まで。同社の指針が多方面から語られた。質疑応答も活発で有意義なメディア説明会に

 

 

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