ハリセンボンの箕輪はるかさんの趣味はミニカー収集。それも、働くクルマや重機のミニカーがお好きで、所有する数はなんと100台以上。しかも、ミニカー収集を入口として、実際の重機を調べて、油圧ショベルの免許を取得するほどどっぷりと深みにハマっているという。ふと手に取った1台のミニカーから始まった、はるかさんのミニカー愛をたっぷりと伺った。

【箕輪はるかさん撮り下ろし写真】
働くクルマが好きだと感じる理由とは?
──はるかさんがミニカーを集めだしたきっかけは何だったのでしょうか。
箕輪 きっかけは、大人になってからトミカの高所作業車を買ったことです。子どものころから働く車のミニカーに興味はあったんですけど、実際に買ってもらったりはしなかったんです。その後、芸人になってから、確か2010年ごろだったと思うんですけど、ふと「買ってみよう」と思いたって、実際に手にしてみたら、これがすごく面白かったんです。動く部分が多くて、例えば作業台が上がったり、作業台のベースの部分が回転したりと動かす楽しさがあるし、そういうところがかわいいなと思いました。高所作業車を買ってから、自分はこういう特殊な車両がすごく好きだっていうことに気づいて、働くクルマのミニカーを集めようと思いました。
──ミニカーを集める前から、働くクルマは気になっていたんですね。
箕輪 子どものころからクルマを眺めたりするのが好きでした。ただ、乗用車は車種の違いがあまりわからなくてどれも同じに見えてたんですけど、トラックとかショベルカーとか大きいものは好きでしたね。ただ、親にミニカーを買ってほしいとは言わなかったです。そもそも家の中でおもちゃで遊ぶより外でサッカーをしたり体を動かすのが好きでした。リカちゃんはいくつか持ってましたけど、「もっと欲しい、集めたい」といった感じではなかったですね。
──1台目の高所作業車のミニカーを手に入れて、すぐ2台目3台目…と集めていったんですか。
箕輪 そうですね、1台買ったあとに他のも欲しいなと思いました。「この子の仲間を集めたい」みたいな感じです。最初はこういう工事系の車両だったり、パトカーとかも買いました。パトカーはシリーズがあって、車種やいろんな都道府県警察のものがあるんです。買ったパトカーのミニカーを自分の周りに並べて置くと、なんだか警察に包囲されてる感じで、「私なんか悪いことしちゃったぞ」みたいな(笑)。働くクルマのミニカーだと、そういう状況を自宅で再現できるんですね。そういったところが、働くクルマのミニカーが好きだと感じている理由です。
はるか流のミニカーの集め方
──パトカー以外にも、トミカからは消防車や救急車なども出ていますが、そういったものも収集の対象に?
箕輪 パトカーは何台か集めたんですけど、その後は工事車両が増えていきました。工事車両を集め出すと、家の中がどんどん工事現場っぽくなって、それが面白いなと思いました。私は徹底して集めるっていうタイプではなくて、自分が気に入ったものを買う感じです。トミカの新作が出たよといった情報があった時は、実際に見に行って、欲しいものだったら買ったりとか。あとは、店頭で見て「これ持ってなかったぞ」みたいな買い方です。
──はるかさんのお気に入りのトミカ売り場はあるんですか。はるかさんくらい集められると、売り場が大きくないと持ってない種類を選べないようにも思いますが……。
箕輪 よく行く家電量販店さんがけっこう充実してますね。でも、確かにトミカはけっこう見たことあるものが多くはなってきてるんです。昔に発売されたのは全然知らないものもあります。
──廃盤になったミニカーを探して買ったりなどは?
箕輪 いえ、どうしても手に入れなきゃみたいな感じでもないので、巡ってきたら買おうかな、という感じです。そんなに徹底して集めているわけではないので。
──ミニカー集めの際にポイントにしている部分はなんですか?
箕輪 色はやっぱり特徴的で、いいですよね。乗用車よりも派手ですし、メーカーによって独自のカラーがあります。色だけでどこのメーカーのものかわかったり、なんかミニカーだと、普段見ないなっていう色に塗られてるものもあります。例えば、コマツだったら黄色が特徴なんですけど、青っぽいカラーの油圧ショベルもあります。実際には見たことないので、もしかしたらトミカだけなのかな。そういう色違いを見つけると、持ってる形だけど買っちゃったりしますね(笑)。
──重機に関して非常にお詳しいですが、そういった情報はどこで?
箕輪 YouTubeや雑誌などですね。YouTubeで家にあるミニカーが実際に動いてるのを見ると、驚きもあったりしますね。なんか、物まねの人を見た後に”ご本人登場”みたいな感じで、「この部分、本当にちゃんと動いてるんだ」みたいな(笑)。あとは本屋さんで売ってる重機のファン向けの雑誌で『世界一のクレーン車』みたいなことが書いてある記事を読んだりして、知識を得たりします。だから、新しくミニカーで出た重機がそういった本で読んだものだったりすると、「これはちょっと欲しいな」と思ったりします。ミニカーと実際の重機、両方の情報収集をしてます。
お気に入りのミニカー紹介。「マイミニカー」も登場
──現在、ミニカーは何台くらいお持ちですか?
箕輪 トミカを中心に100台ぐらいです。いただいた模型とかもいれると、もうちょっと増えるかもしれないですね。
──本日は、数あるコレクションの中でもお気に入りのミニカーをご持参していただきました。一台ずつ拝見しながらお気に入りポイントなどを伺っていきたいと思います。
箕輪 まず、こちらは「カニクレーン」です。形が一番変わってるので好きなんです。移動する際などは足を内側に折りたためて、現場で使うときは足を広げてしっかり地面を押さえて作業できる重機です。この形も特徴的ですけど、「カニクレーン」というネーミングもいいですよね。色もかわいいです。
──脚の可動部など、クオリティーが高いですね。さて次ですが、こちらはトミカに比べてずいぶんと大きめの一台です。
箕輪 除雪車のミニカーです。番組のロケで除雪作業に立ち会わせてもらった時に、その現場の方から頂いたもので、多分販売はしてないミニカーですね。このサイズになるとリアル感が違いますね。本当に模型って感じで、除雪車のつくりがわかるというか、雪を掻き込むスクリューの動きとか、実際はなかなかここまで見られませんから。
──確かに構造を理解するのに非常にいいですね。次のミニカーは、双腕でひときわ特殊な重機です。
箕輪 これは日立建機の「アスタコ」です。アームが2つある重機っていうのは他になくて、開発者の方がガンダムが好きで、ガンダムみたいな重機を作りたいっていうので開発されたのが、このアスタコだそうです。私はそのエピソードを雑誌で読んで知っていて、こうなんだよって人に話したりしてたら、実際にアスタコに乗れることになって、操縦させてもらったことがあります。だから思い出深い重機です。双腕であることで、より人の動きみたいに見えるところもいいです。色違いのほうは、アスタコを開発された方がくださったものです。トミカで出てるものみたいです。
──色違いでお持ちとは、さすがアスタコ好きですね(笑)。さて、お次はトレーラーですか。
箕輪 このトミカのトレーラーはセットだったんですけど、前の部分(トレーラーヘッド)が3つくらいパターンがあって、後ろ(トレーラー)が取り替えられるようになっています。この前の部分だけ走っているのを見かけることがありますけど、すごくかわいいと思うんです。これを自宅で再現できるのがいいですね。たぶん、前の部分だけでは売ってないと思うんです。あと、後ろのダンプの部分のメタリックな青が綺麗です。「横浜」と書いてある、こういう細かい部分もいいなと思います。
──そして最後はこちら、専用の缶に入ったキャタピラーの油圧ショベルですね。こちらはとてもリアルな一品です。
箕輪 これは、YouTubeの『ハリセンボンOfficial Channel』のスタッフの方にプレゼントでいただいたんです。重機の模型を販売しているKEN KRAFT(ケンクラフト)さんに協力してもらって、アームに「はるか建設」って名前を入れてくれたり、私がよく着ているニットの「YES」という文字も入れていただきました。操縦している人も、私をモデルにして作ってくれました。すごく嬉しいです。
はるか流ミニカーの遊び方
──たくさんミニカーをお持ちですが、はるかさんが一番よく遊ぶというか、手に取るのはどれですか?
箕輪 よく遊ぶのはこの長いトレーラーですね。タイヤがいっぱいあるので、動かすと楽しいです。あとは、油圧ショベルですくい上げる動作ができるもすごく面白いです。
──どういうシチュエーションで遊ぶことが多いんですか?
箕輪 新しいミニカーが家に来た時に、持っているものを並べて「新しい会社の人が来たよ。お疲れ様です」みたいな感じで、現場を想像して遊ぶみたいな感じですかね(笑)。実はジオラマみたいに工事現場を再現しようかなと思った時期もあったんですけど。またそれは別の技術だなと諦めて、頭の中で想像しようと思いました。
──このはるかさんモデルの油圧ショベルは、先ほど説明していただきながらバケットを取り変えていましたね。
箕輪 そうなんです。アタッチメントを変えられて、結構特殊な形のも付属してるんです。アタッチメントは気分によって変えてます。「今日は基礎工事の気分だな」という時にドリル系のアタッチメントにしたりとか(笑)。
──「基礎工事の気分」(笑)。そこまで世界観が広がりますか!
箕輪 そういう時もありますね。工事現場の車両だと、それが工事でどう使われているのかを実際に見たことがなくて、よくわからないから自分で調べてみたりします。すると、そもそも工事ってこんなことを、こういう工程でやってるんだとかわかるようになったんです。そういうのが楽しいんですね。自分の知らなかった世界を、ミニカーが教えてくれるみたいな感じです。
──重機や建設工事に興味を持つきっかけとして、ミニカーは面白いかもしれませんね。
箕輪 そうですね。ミニカーを集める前は、特殊な形の重機がどんな作業をしてるかわからなかったんですけど、今では「この現場では、この作業してるんだ」ってちょっとずつわかるようになりました。だから、以前は工事をやっていると「道が混むし、なんか邪魔だな」と思っていたのが、作業の役割がわかるようになってからは観察する対象になったので、邪魔だとは思わなくなってきました。むしろ、工事現場を通ることが、実際に働いている車を見るチャンス! みたいな。
──価値観すら変わったというわけですね。実際に働いている車や重機を観察するようになって、ミニカーと比較したり、細かいとこまで眺める楽しさもありそうです。
箕輪 そうですね。重機のミニカーって実物に即したかたちをしているけど、子供が遊ぶおもちゃなので、安全性が考えられていて尖った部分がないんです。そういった制約がありつつ、再現性が高いので眺めていて楽しいですよ。
ミニカー好きはやがて本物の重機、工事への興味へ
──実際、ミニカーを原点として、重機そのものに興味を抱くようになったということで、番組などでも重機にふれるような現場も増えたと思います。はるかさんは、油圧ショベルの免許(小型車両系建設機械免許)をお持ちですよね
箕輪 もともと油圧ショベルが好きで、ミニカーを集めるだけじゃなく実際の重機も気になり出して、免許を取ってみたいと思っていたところ、番組で取る機会があったんです。実際に操縦してみると、運転席からの景色がわかるようになりました。ミニカーも運転席はちゃんとガラス張りになっていて、「座った時の感じはこうだな」とか想像しやすくなりました。あと、本物の重機のパワーを知ると、ちょっと怖さも生まれるんですね。旋回も本当はこんなに速く回るんだと体感したので、気を付けて回そうという視点が生まれました。
──それは実際に操縦してみなければ決して知り得ない視点です
箕輪 以前、アスタコでけん玉をやらせてもらったことがあるんです。その時は片方のアームで剣を持って、もう片方で球を持って、掴んでる球を離せば成功というところで、操作を間違えて、離すほうじゃなくて握る方に操作してしまって球を握り潰しちゃって大惨事になったことがありました。その時は「やっぱりパワーがすごいな」って感じました。操作レバーを1ミリ動かすと、もうそれだけでグワッと動くみたいな感じなんです。エンジンの出力によってもパワーは変えられるんですけど、操作の加減を掴むのはかなり時間がかるものです。
──重機の動きとともに、実際に工事現場で重機を操作している方をリスペクトする機会になりますね。
箕輪 本当すごいです。簡単なように見える作業でも、これは高度な技術なんだろうなって思いながら見たりしてます。それがわかってからミニカーに戻ると、すごく解像度が上がった状態で遊べるから楽しいんです。
ミニカー収集の今後の予定は?
──これからもミニカーを集めていかれるんでしょうけど、やはりトミカ中心に?
箕輪 トミカは手に入りやすくて集めやすいこともありますし、質もすごく好きです。あと、スケール感が合わせやすいのがいいです。大きさが違うミニカーで遊ぶことにはちょっと課題があって、スケールが違うと、現実をレイヤーしにくいということがあります。トミカに比べて大きいミニカーは、もう「こういう巨大な重機なんだ」と思っちゃえば、そういう遊び方もあるのかなと思いますけど。
──重機以外の働く車にも手を伸ばす予定は? 例えばトミカには自衛隊のミニカーもライナップされていますが、ご興味はありますか
箕輪 自衛隊にはどういう重機があるんだろうとすごく気になって調べたりしますね。橋になる車両とかすごいなと思います。ただ、全部の働く車に興味があるというより、自分の身近にあるような車両や重機に親しみを感じますね。ミニカーで持っているものを街中でふとあるとき目にして、「あれ持ってるやつだ」とか感じるのは楽しいです。
──トミカ以外にも、重機のミニカーや模型はたくさん発売されていますが、そちらはどうですか。ダイキャストの重厚感があるリアルなものもありますよね。
箕輪 そういうものも今後買っていきたいなと思います。ただ、本格的なスケール感なので、そうなると置き場がちょっと……。ミニカー専用の特別な部屋がいるような感じになるので、余裕が出てきたら買ってみたいです。トミカも、箱が捨てられなくて一応取ってあったりするので、増えてくると置き場所が問題ですね。
──メーカーの展示会などに行くと、そのメーカーの重機のミニカーや模型があったりしますね。
箕輪 欲しいなとは思います。以前、日立建機さんのイベントでも販売されていました。ドイツでやっているバウマという重機の見本市ではけっこう買えるという話を聞いたことがあります。もし行ったら、テンション上がって買っちゃうかもしれないですよね(笑)。
──本当にどっぷりミニカーと重機にハマってらっしゃるはるかさんですが、最初に高所作業車を買ったころからすると今は想像できないのではないですか
箕輪 そうですね。自分でもこんなに重機に魅せられるとは思ってもみなかったです。
──これからミニカー収集を始める方や、ちょっと興味を持っていて面白いのかなと思ってる人に、はるかさんはどんな勧め方をしますか。
箕輪 トミカは価格も手に入れやすさも本当に手頃なので、好きな気になるミニカーがあったら1度、手のひらに置いてみてください。実際はすごく重たいものなんだけど、自分の手で持てているっていうことがなんだかすごいかわいく思えます。
それに、ミニカーには人間が乗っていないんですけど、動かす人間を想像すると、ミニカーの世界が動き始める瞬間があります。運転席に乗っている感じとか、この重機は何人ぐらいで作業してるんだろうとか、そういう世界が広がり始めると面白いですよ。
──先ほどおっしゃっていた、このカラーリングも魅力ですね。置いておくだけでもかわいいなって思います
箕輪 綺麗ですから、好きな色のミニカーを集めてもいいかもしれないです。
──はるかさんはこうやってミニカーを集めていって、今後どんな風になりたいかとか、理想だったり夢はあるんですか。
箕輪 そうですね。重機のミニカーは好きなんですけど、ミニカーは自分の楽しみという感じで、重機が社会に役立ってるということを広めたいです。ミニカーがきっかけとなって、重機があるから私たちの生活が便利になっていることを知ったのはすごく楽しい部分です。フラットな道路を走れるとか、ビルを建設したりとか、重機が私たちの社会に結びついてるのを、まだ知らない方に知ってもらえたらいいなって思います。
──働く車のミニカーへの興味から、重機、そして工事や建設へと知識を深堀って、私たちの生活との関わりまで興味を広げていったはるかさん、さすがです。これからもミニカー収集を通じた「重機の伝道師」の活動、頑張ってくだください!
【箕輪はるかさんのコレクション】
構成・撮影/丸山剛史 執筆/牛島フミロウ