タカラトミーのリカちゃん。子どもの頃、女性なら誰もが一度は遊んだことがあるでしょう。誕生したのは1967年で、なんと今年、50周年を迎えました。これまで女のコたちの手に渡った数は6000万体以上といいますからすごいですね。50年間を振り返りながら、リカちゃんの気になるヒストリーと、「へぇ〜!」とヒザを叩くこと必至のトリビアを紹介していきましょう。
1.現在のリカちゃんは、4代目だった!
リカちゃんの本名は「香山リカ」。フランス人のパパと日本人のママとの間に生まれたハーフで、白樺学園に通う小学5年生、という設定でスタートしました。リカという名前は、ハーフという設定から日本でも外国でも通じる名前で響きがよいこと、そして当時はまだ周りにあまりいない珍しい名前だったことなどから命名されました。名字は加山雄三さんにちなみ、漢字は女優の香山美子さんを参考にしたそうです。
リカちゃんは、この50年間に3回フルモデルチェンジされ、現在が4代目。各時代に合わせてヘアスタイルや、目・鼻・眉といった顔立ちや輪郭、プロポーションに変更が加えられました。もっとも長く販売されているのは4代目のリカちゃんで、1987年から現在まで多くの人に愛されています。
ちなみに、リカちゃんファミリーで最多のモデルチェンジ回数を誇るのが、1969年にデビューしたファッションデザイナーであるママの「織江さん」。リカちゃんよりも多く変遷を重ね、現在で6代目となります。
初代(1967年〜)
2代目(1972年〜)
3代目(1982年〜)
4代目(1987年〜現在)
2.リカちゃんは8人家族の大所帯!
リカちゃんファミリーは、パパ(香山ピエール)、ママ(香山織江)、4才になる双子の妹のミキちゃん&マキちゃん、そして、三つ子の赤ちゃん、かこちゃん&みくちゃん&げんくん(過去・未来・現在に由来する)の8人家族。1974年にデビューした双子の姉妹は当初1才でしたが、1987年に三つ子の赤ちゃんが登場すると、4才の幼稚園児として2代目に代替わり。三つ子の赤ちゃんも2011年にリニューアルされました。
3.リカちゃんのボーイフレンドは6人目!
リカちゃんのボーイフレンドは、現在のはるとくんで6代目になります。小さい頃、「リカちゃんは、小学5年生で彼氏がいるなんてうらやましい〜」と、思っていた人も多いと思いますが、ボーイフレンドとは文字通り“男の子のお友だち”であって、決しておつきあいをしている“彼氏”ではなかったというわけです。
また、ボーイフレンドと一緒にクルマも発売されていたことから、ボーイフレンドはかなり年上と思われたようですが、6人とも“ちょっと年上”という設定です。初めて登場した、わたるくんは、リカちゃんが誕生した翌年の1968年にデビュー。1歳年上の小学6年生で、眉毛がキリっとした熱血風ルックスのスポーツも勉強もできる少年でした。その後、マサトくん、イサムくん(初代・2代目)と続き、2000年には、イヤリングをしたサッカーが好きでバンド活動もしている中学2年生のかけるくんにバトンタッチ。2008年にデビューしたレンくんは、現代のイケメン風にややフェミニンなルックスです。そしてはるとくんは、背の高いスポーツマン。どことなく各時代のアイドルを思わせますね。さて、あなたの時代のボーイフレンドは誰でしたか?
4.リカちゃんハウスは時代の“ドリーム”そのもの
リカちゃんの誕生した昭和40年代前半は、まだまだ和風住宅がほとんどで、洋室やマンションは子どもたちにとって憧れの的でした。この夢をかなえてくれたのが「リカちゃんハウス」。最初のリカちゃんハウスは、初代リカちゃんと同時に発売された「ドリームハウス」です。中にはレースのカーテンやソファがあり、「こんな部屋に住めたらなあ」という当時の乙女心をくすぐるインテリアも用意されていました。女の子たちの望みを形にした「白い白い家具セット」(1972年)などもヒットします。
そしてリカちゃんの家族が増えると、“部屋”から“家”へと進化した「リカちゃんハウス」が登場。バブル期には「ひろびろオクション」(1988年)や、らせん階段の付いた「リカちゃんファミリーハウス あそびにおいでよ」(1992年)、ヒルズ族が話題になると「ハートヒルズマンション」(2004年)も発売されました。設計や間取り、インテリアに最先端のものが取り入れられているのも面白いですね。
5.“おみせやさんごっこ”も時代とともに
リカちゃんハウスと同じように、女の子の大好きな“おみせやさんごっこ”が楽しめるショップもいろいろと発売されました。1970年代は「ママの洋裁店ハウス」や「おしゃれパーマ屋さんデラックス」といった、街にある憧れのショップがメインでしたが、1980年代になると「マクドナルド」や「サンリオギフトゲート」、「すかいらーくレストラン」など、身近に実在するショップを再現した商品が次々に生まれました。昨年発売された「セルフレジでピッ! おおきなショッピングモール」はなんとエレベーター付き! 音声対応のセルフレジもあり、よりリアルなごっこ遊びが楽しめるんです。
6.リカちゃんのワードローブは時代の鏡
リカちゃんが女の子に愛される大きな理由として、時代の最先端を意識したおしゃれなファッションがあげられます。初代リカちゃんは、当時流行していたミニスカートやホットパンツ、パンタロン、サイケデリックなワンピース、フリル襟のシャツが登場。1970年代に入ると、テニスやスキーなどのスポーツファッションや水着、着物が、1980年代にはちょっと大人のコンサバ系から女子高生の制服スタイル、ドレッシーなドレスも現れました。シューズや眼鏡、アクセサリーといった小物類も豊富で、コーディネートを考えながら着せ替え遊びが楽しめます。
7.“リカちゃん電話”はまだかかる!
リカちゃんがデビューした年、メーカーのタカラ(当時)に「リカちゃんはいますか?」と、女の子から電話が入りました。電話を受けた女子社員が、子供の夢を壊してはいけないと思い「こんにちは、私がリカよ」と対応したところ、女の子は大喜び。リカちゃんとお話しができるというウワサが口コミで広がっていったそうです。反響の大きさから専用回線を敷き、最初はオペレーターが担当していましたが、1968年からはテープ式になり「リカちゃん電話」が正式に開設。リカちゃんの声は、テレビアニメ「アルプスの少女ハイジ」などでもおなじみの杉山佳寿子さんが、1997年まで30年間担当されました。現在でも女の子たちとリカちゃんを結ぶ、素敵なホットラインとなっているんです。
8.リカちゃんの流し目はやさしさから
初代から現在まで、リカちゃんの目は正面向きではなく、左向き流し目になっています。これは初代の開発者によると、昔から人形の目は左右どちらかを向いていることが多かったため、リカちゃんも正面でなく左右どちらかを向かせてください、とお願いしたそう。ではなぜ左向き?発売当初は手描きで顔が描かれていたため、右利きの人が描きやすい目の向きになっているようです。またその後、真正面から見つめられると落ち着かない気分になる場合が多いので、子どもが居心地悪くならないように、という配慮にもつながっているそうです。
9.行方不明のパパとお姉さん「リエちゃん」の存在
リカちゃんが発売された時代、女の子が夢中で読んでいた少女漫画では悲劇のヒロインがブームでした。リカちゃんのプロフィールにもこれが反映された結果、“フランス人のパパは行方不明”というハードな設定に。1989年になるとようやく、音楽家のパパ、ピエールが発売されます。最近では2014年に「イクメン オブ ザ イヤー 2014」を受賞。そして2015年には2代目パパが登場しています。
10.初期のリカちゃんは千葉県の醤油屋さんで作られていた
リカちゃんに限らず、昭和40年代のおもちゃのほとんどが、国内の小さな工場で作られていました。初代リカちゃんを作っていたのは、千葉県の太平醤油株式会社(現:タイヘイ株式会社)。当時発足したばかりの玩具部で、割烹着を着た地元の女性たちが手作業でひとつひとつ作っていたそうです。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「公式 リカちゃん完全読本 50th ANNIVERSARY」(講談社)
¥1,620(税込)
リカちゃん誕生50周年を記念した、タカラトミー監修のクロニクル。貴重な写真や資料とともに、思わず誰かに教えたくなるリカちゃんトリビアがいっぱい。リカちゃんファン必読です。
リカちゃんオフィシャル情報サイト
http://licca.takaratomy.co.jp/official/
協力=タカラトミー ©TOMY
■何気ない日常を、大切な毎日に変えるウェブメディア「@Living(アットリビング)」