──先日、モンストのカードゲームをプレイしたのですが、カードのようにリアルなモノを使った遊びの提案も続けていくのでしょうか。
木村:IT企業はすべてをデジタル化する傾向にありますが、私たちはモノが重要になってくると考えています。IoTもそうですし、通信環境が5Gになればそれぞれがスマホを携えるのではなく、その場にある通信端末を利用することになるかもしれません。手に触れられるモノ、デジタル化されにくいモノをうまく使いながら、世の中を豊かにしていけたらと思います。遊びに関してもスマホを持たないお子様をターゲットに、カードゲームをはじめ新たな展開にチャレンジしたいと考えています。
──最近はeスポーツも人気ですが、どのようにご覧になっていますか?
木村:きちんとやれば、さらに発展するのではないかと思います。私たちが参入するとしたら、チームeスポーツでしょうね。1vs1で闘うものより、複数vs複数で闘うチームeスポーツのほうが盛り上がると信じています。
──ミクシィ全体の展望をお聞かせください。
木村:ミクシィは“コミュニケーション創出カンパニー”だと考えています。時代の変遷、ITの発達により失われつつあるコミュニケーションを取り戻すことが、私たちのミッションです。モンストのようなゲームはもちろん、スポーツやウェルネスの領域でもこのミッションを果たしていきます。高齢者の生活習慣病の要因として挙げられるのが、社会的孤立です。コミュニケーションが断絶することでモチベーションが低下し、運動しなくなり、身体機能が低下します。高齢者とご家族のコミュニケーションを取り戻すようなアプローチも大切ですし、高齢者のみなさまが一緒に仲良く通えるコンディショニングジムも必要だと考えています。
スポーツに関しても、私たちがコミュニケーションの場を提供することができるのではないかと考えています。海外のスタジアムにはバーや飲食スペースがあったり、ショッピングモールが併設していたり、試合の前後も楽しむことができます。しかし日本では、試合が終わったらパッと帰ってしまいますし、奥さんを連れて「スポーツ観戦に行こうよ」という文化もありません。2025年までにスポーツ市場を15兆円規模まで伸ばそうという政策目標もありますし、アメリカや中国のように成長する余地は大いにあります。
コミュニケーションをずっと見つめてきた企業として、今後もさまざまな領域でコミュニケーションを創出することを目指していきたいですね。
(撮影:我妻慶一)