ゲーム&ホビー
2018/12/17 19:41

音と映像のポテンシャルに慄く! プレステ クラシックの「懐かしさ」以外の魅力

「プレイステーション クラシック」が12月3日に発売されましたが、思えば初代PSが発売されたのは今から24年前の1994年12月3日。当時は“次世代機戦争”と騒がれ、セガサターン、3DO、PC-FX、少し遅れてNINTENDO64が次代の覇権を争うまさに戦国時代でした。

 

 

PSはその激戦を、光と音のRPG「アークザラッド」や、抜群のビジュアルインパクトを誇ったアクションパズル「I.Q」、世界累計1000万本を超えるヒットになった「ファイナルファンタジーVII」など、数々の人気タイトルを擁して勝ち抜いたのです。「プレイステーション クラシック」には、そんなPS1の激動の歴史が詰まっています。まずは収録タイトルをご覧ください。

 

 

収録タイトルラインナップ

アークザラッド

アークザラッドII

ARMORED CORE

R4 RIDGE RACER TYPE 4

I.Q Intelligent Qube

GRADIUS外伝

XI [sai]

サガ フロンティア

Gダライアス

JumpingFlash! アロハ男爵ファンキー大作戦の巻

スーパーパズルファイターIIX

鉄拳3

闘神伝

バイオハザード ディレクターズカット

パラサイト・イヴ

ファイナルファンタジーⅦ インターナショナル

ミスタードリラー

女神異聞録ペルソナ

METAL GEAR SOLID

ワイルドアームズ

 

今回は、実際に触ってみた感想などをレポートしていきたいと思います。

 

コンパクトながら存在感はしっかり!

まずはサイズ感から。「幅149×高さ33×奥行き105mm」「本体は縦横で約45%、体積で約80%コンパクト化」とすでに発表されていたので、数字上はわかっていましたが、実際に持ってみると本当に小さくて軽い! サイズも重さもほぼ文庫本くらい。今、本棚にある普通の文庫本を1冊手に取ってみてください。それがプレイステーション クラシックの本体です。

 

 

小さすぎず、大きすぎず、存在感のあるちょうどいいサイズ。テレビ台の下に置いておくにも、コレクション棚に飾っておくにもいい感じです。普段使わないときはゲームキャラのフィギュア台にするのもアリかな……(怒られますね…すみません)。

 

通常、コンパクトになるとチープ感が出るものですが、プレイステーション クラシックはグレーの色合いもあってか、安っぽさは感じさせず、当時の重厚な雰囲気は健在。本体を眺めているだけで、徹夜も辞さずゲームに没頭していたあの頃の思い出が走馬燈のように蘇ってきて、いくらでもお酒が飲めそうです(笑)。

 

コントローラは、アナログスティックや振動機能がないシンプルな初期バージョン。サイズはほぼオリジナルのままで、握った感触も当時と同じでしっくりきます。コントローラは2個同梱されているので、「闘神伝」「鉄拳3」などの対戦格闘ゲームも入手してすぐに対戦が楽しめます。

 

 

ちなみに、コントローラを本体に挿す端子はUSBとなっていて昔よりもサクッと入りました(当時はグイグイ挿していたような……)。そのへんの感触の違いは面白いところ。コントローラの差し込み口の上のメモリーカードスロットはダミーで何も差せませんが、しっかり再現されています。本体後ろ側は電源用のUSB端子と出力用のHDMI端子。ここは今風ですね。

 

 

実際にゲームをプレイ! いつでも途中セーブが可能

本体を眺めてばかりいてもしょうがないので、左側の電源ボタンを押してプレイ開始! 当時と同じ起動画面……かと思いきや、会社名が「Sony Computer Entertainment(SCE)」から現在の「Sony Interactive Entertainment(SIE)」になって、文字の表示位置も変わっていました。といっても、あのなんとも形容しがたい近未来的な起動音はそのまま。「懐かしい!」と思わず声が出ていました。初回起動時は言語設定画面になり、2回目からはホーム画面が立ち上がります。ホーム画面ではリング状に配置された20タイトルのジャケットから遊びたいソフトが選択できます。

 

↑なつかしきロゴが…

 

各ゲームを選ぶと、赤の「P」と青・緑・黄の「S」で構成されたおなじみのロゴマークが表示され、そのあとタイトル画面に。この待ちわびる感じもオリジナル版と変わらず。選んでサクサクとゲームが始まったり、瞬時に切り替えられたり……というお手軽さはありません。各ゲームの内容ももちろん当時のまま。「スクウェア」「ナムコ」など合併前の社名やロゴもそのまま表示されます。

 

画面の見た目は若干ドットが滑らかになっている印象もありますが、違和感はほとんどなし。画面比率は4:3のみで、今のテレビで遊ぶと両サイドが黒く表示され、最初は気になるかもしれませんが、すぐにゲームに没頭してしまい、あの頃の記憶が噴き出してきます。オープニングムービーのワンシーンとか、意外と覚えているものですね。

 

当時と違う部分は中断セーブができること。ゲーム中に本体左にある小さなリセットボタンを押すと、ホーム画面に戻るとともに、そのときの状況が「再開ポイント」として保存されます。再開ポイントは各タイトルごとに1つずつ。いつでも途中セーブができるのは、セーブ場所が限られているRPGなどでは特に便利! もちろんゲーム内のセーブポイントで普通にセーブすることも可能で、仮想メモリーカードが各タイトルごとに15ブロックずつ割り当てられています。

 

 

本体右側のオープンボタンは、残念ながら押してもフタは開かず。こちらは「ファイナルファンタジーVII」や「パラサイト・イヴ」など複数枚組だったゲームのディスクを入れ替える際に使います。パカッと開いてくれたら嬉しかったんですけど(笑)。

 

音楽を聴くだけでも満足感あり!

短い時間でしたがひと通りタイトルを触ってみて、今でも十分インパクトのあるエッジの効いた“プレステらしい”ゲーム性や演出を随所に感じました。それから今回収録されているゲームは全般的に音楽が素晴らしい! 二十数年前よりもテレビのスピーカーが進化して音響環境がよくなっていることもあるかもしれませんが、「R4」や「アークザラッド」のBGMを聴いているだけで胸が熱くなりました。

 

さて実機レビューはここまでとなりますが、プレステ クラシック発表当時、興奮した勢いで内蔵タイトル予想を行った編集部一同に、あらためて内蔵タイトルでプレイしたい一作についてコメントをもらいましたので最後にどうぞ。

 

【編集長・山田がプレイしたい内蔵タイトル】

パラサイト・イブ

 

 

今振り返ってみると、パラサイト・イヴは色々なことを教えてくれたゲームだ。バイオとは違う恐怖があることを教えてくれたゲームであり、NYPDってなんかカッコいいなとアメリカへの憧れを抱かせてくれたゲームであり、原作小説を読むメディアミックス体験を与えてくれたゲームであり……なのだが、本編が思い出せない。ラスボスがとにかく強くて強くて心が折れそうになったことしか思い出せない。大人になったいまならミトコンドリアとか難しかった言葉たちを理解できるだろうか。という意味で20年ぶりにプレイしたいタイトルだ。

 

【編集部・一條がプレイしたい内蔵タイトル】

闘神伝

 

 

初代PSが発売されたのは1994年の12月3日。当時小学生だった私のお小遣いでは、本体のみで3万9800円、メモリーカードとソフト1本を買うと約5万円という価格はとても買えるものではなかった。なので、まず12月3日の発売日に2P用のコントローラーとメモリーカードを買い、クリスマスとお年玉と貯金の合わせ技で1995年1月1日にPS本体をなんとか購入した。12月にコントローラーを買ってからの1か月間は、毎日新品のコントローラーを握りしめながら、まだ見ぬPSのことを想像して技のエア練習などをしていた。いま思えば、あんなに何かを待ちわびて日々を過ごしたことは、あれ以来ないような気がする。

 

1月1日にPS本体と同時に購入したのは3D対戦格闘ゲーム「闘神伝」だった。内容は同じ3D格闘ゲームのバーチャや鉄拳に遠く及ばないデキだったが、当時は我が家に「ポリゴン」という何かスゴイものが来たことに熱中して、ゲームのデキなどどうでもよく思えた。このゲームにはエリスとソフィアという系統の違う2人の女性キャラが登場するのだが、ゲーム中に一時停止をしてカメラ視点をグリグリ動かし、エグイ角度からまじまじと2人のキャラを愛でたことが、私の性の芽生えであったような気がする。そんな甘酸っぱい思い出のある闘神伝を復刻してくれてありがとうございます。出来ればキングスフィールドI・II・IIIもやりたいです。お願いします。

 

【編集部・我妻がプレイしたい内蔵タイトル】

女神異聞録ペルソナ

 

 

シリーズ2までと3以降で空気感がガラッと変わったペルソナだが、自分と戦い、悪魔と戦い、世界を救う流れは継承されている。 2以降、異聞録じゃないからなのか、なんとなく人知れず戦っているヒーロー的になっているが、この頃は普通にサバイバルというか冒険メインだったので、現代日本風なこともあり、なんとなく緊迫感があったというのが個人的には思い出深い。 ペルソナの名を冠するだけあるというか、時代的なものが強いせいか、キャラクターの内に内に行く感じがとても良かった。 PSクラシック、個人的には一個くらい攻めてるヤツを入れて欲しかったなぁ… せがれいじりとか、レインとか、太陽のしっぽとか、クーロンズゲートとか…。

 

リアルタイムで当時遊んでいた人にとっては、思い出を呼び覚ましてくれるタイムカプセルのようなアイテム。若い世代にとっては、今でも文句なしに遊び込めるゲームも多数入っていますし、ゲーム史の勉強にもなるはず。ではでは、まずは「バイオハザード ディレクターズカット」でナイフクリアを目指しますか。

 

撮影/我妻慶一

©ATLUS All right reserved.

©1998 SQUARE ENIX CO., LTD. All Rights Reserved. /原作:瀬名秀明『パラサイト・イヴ』(角川ホラー文庫刊)CHARACTER DESIGN:TETSUYA NOMURA

©TAKARA CO.,LTD.1995.