ゲーム&ホビー
2020/11/19 13:00

31歳独身の筆者が対象年齢6歳からのボードゲームをプレイしたら、結婚願望がかきたてられた話

筆者はかなりのボードゲーム好きだ。世界的タイトルのカタンは大会に出るほど好んでいるし、麻雀にいたってはネット麻雀をほぼ毎日プレイしていて、リアル麻雀の大会にも月1回以上は参加している。

 

そんな筆者のもとに、GetNavi web編集部からある依頼が。toio専用ソフト「大魔王の美術館と怪盗団」メディア対抗先行体験会に、媒体を代表して出てほしいというのだ。

 

toioとは、ソニー・インタラクティブエンタテインメント(以下、SIE)が開発した“あそんで学べる、ロボットトイ”。6歳以上の子どもをターゲットにした、プログラミングなどを学べる知育玩具である。今回の「大魔王の美術館と怪盗団」はそのtoioを利用したボードゲームで、知育というよりゲーム要素が強そうだ。

↑本作では、パズルのような盤面を組み合わせてマップを作る。遠めに見ると、いかにもよくありそうなボードゲームである

 

↑toio本体。一見すると、どうやって遊ぶんだろう? と思わされる外見だ

 

なんとなく面白そうと思った筆者は、編集部の依頼を快諾した。新しいゲームと聞かされると対象年齢なんて関係なく遊びたくなってしまう童心は、31歳になったいまでもしっかり持ち合わせている。

 

デジタルとアナログが交差する「不思議なスゴロク」

まずは「大魔王の美術館と怪盗団」のゲーム内容をザックリ説明しよう。本作では、プレイヤーはスゴロクのようなマップで構成された美術館に侵入した怪盗となり、お宝を盗み出していく。お宝は、彫刻、絵画、王冠の3種類で、それぞれにポイントが設定されている。そのポイントを最も多く獲得したプレイヤーが勝者になるのだが、お宝のポイントは王冠、絵画、彫刻の順に高いため、高ポイントのお宝を効率よく回収することが大切になる。ただし、ポイントの高いお宝ほど美術館の奥のほうに配置されているので、それを回収するには何ターンもかけて移動しなくてはならない。

↑今回採用されたゲームの盤面。画像下側の左右にある黄色いタイルが、高ポイントのお宝「王冠」だ

 

さて、美術館のなかには2人の番人が配置されていて、これがtoioのキューブの力で一定のパターンは持ちつつもランダムに動く。プレイヤーが番人に捕まるとその時点で持っていたお宝を没収されてしまうため、番人に捕まる前に美術館から脱出する必要がある。一度脱出に成功すればお宝の獲得を確定させてから再侵入が可能なので、侵入と脱出を繰り返してコツコツお宝を集めていく確実なプレイングも戦略のひとつだ。また、美術館内には番人に対して仕掛けられる罠などのアイテムが入った木箱が落ちているので、こちらも活用しなければならない。

↑キューブの上に乗っているのが「番人」だ。機械の力で、彼らは気ままに動き回る

 

総じていうと、お宝の回収と番人からの回避を効率的にこなしていくゲームだ。子ども向けの可愛らしいデザインを採用した作品ではあるが、考慮すべきゲーム要素は多く、戦略を立てて挑む必要がある。同じ盤面が起こることはかなり稀なので、臨機応変な対応力も求められるだろう。

 

なお、ゲームの内容や雰囲気については、詳しくは下のプロモーションムービーを見ていただきたい。本作について直感的に理解できる、分かりやすいつくりの動画だ。

 

筆者が本作をプレイした第一印象は「不思議なスゴロク」。その不思議な点は2点ある。まずは、サイコロが存在しないことだ。スゴロクにおいて偶然性をもたらす存在となるサイコロだが、本作ではそれがなく、ランダムで動く番人が抽選の役割を担う。この番人は全部で4種類いるのだが、それぞれ性格が違い、働き者でサボらないが移動範囲の狭いもの、よく移動するがサボることが多いものなど、移動パターンが異なる点が厄介だ。特に、移動範囲の広い番人はどこにいくか予想がつかないため、どんなに回避をしようとしても捕まってしまうことがある。

 

なお、プレイヤーの移動できる範囲は、そのターンに持っているお宝・アイテム数で決まり、お宝やアイテムをたくさん持っているほど、移動できるマスが少なくなる。低ポイントのお宝を敢えて回収せずに移動速度をキープし、高ポイントのお宝の回収を狙うなど、移動速度をプレイヤー自身がコントロールできる点もまた、本作の戦略性を高めている。

↑プレイヤーが持つ「プレイヤーボード」。数字は1ターンで移動できるマスの数を表しており、最大7(4+1+1+1)マス移動できる。お宝orアイテムを1つ持つごとに移動範囲が1マスずつ狭まる仕組み。お宝とアイテムは、同時に3つまで持てる

 

さて、2つ目の不思議な点は、スゴロクなのに機械仕掛け、というところである。toioの力で動く番人は、プレイヤーが動かさずとも機械の力で勝手に動いて、自らの意志でプレイヤーを捜索する。ボードゲームプレイヤーにとってはこれがとにかく新鮮だ。筆者がこれまでにプレイしたスゴロクやボードゲームにおいて、サイコロの出目などのアナログがもたらす偶然に弄ばれることは、幾度となく経験してきた。しかしボードの上で、機械に弄ばれたのは初めてかもしれない。

↑今回の試合で登場した番人、ゴリ(左)とセレン。ゴリは移動範囲が広いが、全く動かないサボリも多い。行動が読みにくいので、筆者はコイツが嫌いである

 

本作の開発者のひとりであるSIEの斎藤さんも「本作の一番の特徴は、ボードゲームなのにデジタルで動くところ」と語っていた。開発者も太鼓判を押すその新鮮味は、筆者も十分に味わうことができた。

偶然が織り成すドラマ! 練られたゲームバランスで、子どもも大人も楽しめそう

今回は筆者を含む、メディア関係者3人で「大魔王の美術館と怪盗団」の対戦を行った。その模様はSIEさんが動画にしてくれたので、ぜひこちらを見ていただきたい。

 

対戦の結果から書いてしまうと、筆者は3位に終わる惨敗だった。敗因は明らかだ。低ポイントのお宝をキープし確実に得点を稼いでいこうとしたことが裏目に出たのである。実際、低ポイントのお宝の回収と脱出には最速で成功した。しかし一度美術館から脱出して再侵入を図る間に勝利の鍵を握る王冠を他プレイヤー2人が悉く回収してしまい、しかもそのまま美術館脱出を許してしまったのだ。「やばい」と思ったころには全10ラウンドのうち半分以上が経過しており、結局逆転できなかった。

↑マジメに考えていたせいか、思考中の筆者の顔は怖かったらしい。司会を務めた芸人バンビーノさんからは「ボードを麻雀牌だと思っていないか?」「集中しすぎて顔の色がパーカーと同じになっている」などといじられまくったが、決してそういうわけではなく、普通に勝ちたかっただけである

 

ここでひとつ言い訳をさせてほしい。今回の敗因は、上に書いた通り筆者の戦略ミスでもあるのだが、「番人が筆者の(希望的)観測通りに動いてくれなかった」ことが非常に大きい。言い換えれば、筆者には運がなく、他プレイヤーの運が良かったともいえる。

 

その運を象徴するのが、「影」の存在だ。本作に登場する美術館のマップには影のマスが点在している。そのマスは2種類あり、番人が通ってもプレイヤーを見つけられない「影のマス」、50%の確率でプレイヤーを発見できる「半分の影のマス」だ。確実に番人から逃れられる影のマスは数が限られており、本作をプレイしていると半分の影のマスに頼る必要が必ずといっていいレベルで生じる。今回の対抗戦で1位になったプレイヤーはここで番人からスルーされる幸運な判定を受けたが、筆者はこのマスで番人に捕らえられた。ここで逃れていれば2位まではいけていたのに、理不尽である。そういえば、不運で番人に捕捉されてしまった他メディアのプレイヤーは、このうえなく悲しい顔をしていた。時の運と分かっていても、やはり勝負には本気になってしまうようだ。そういえば「ここで番人が動きさえすれば他プレイヤーを捕らえられる!」と思ったときに限って、彼らが仕事をサボることもあった。このゲームで勝ちたいなら番人は信用しないほうがいいだろう。

↑手前右にあるのが、半分の影のマスだ。ちなみに、木箱のタイルにはアイテムが眠っており、木箱を取るまでその正体は分からない。なお、木箱の下には影のマスがあるので、木箱を取って陰に隠れる、なんてこともできる

 

さて、ここで少し考え方を変えてみたい。どんなに優れた戦略の持ち主でも、この抽選から逃れることはできない。もし大人と子どもでプレイすれば、大人の方が頭脳で上回っているだろう。しかし、どんなに強い大人であっても、50%の機械抽選の前には無力だ。戦略は確実に必要だが、運がなければ普通に負ける。逆をいえば、ミスがあっても運があれば勝てるのが、本作の「知育玩具」としての特徴だと筆者は思う。本作は子どもに対して勝負の楽しみを教えつつ、戦略による成功や失敗の体験をもたらし、さらなる善後策を考えさせる契機になる。もし本作に運の要素がなく負けてばかりでは、子どもはつまらなくなってしまうだろうし、継続してプレイしなければ「次の戦略を考えよう」とはならないはずだ。

 

また、いくら運勝ちであったとしても、それは子どもにとって明確な成功体験になり、自分に自信を持てるきっかけとなる。勝負を繰り返すうち「戦略で大人を出し抜いてやろう!」という思考も芽生えるかもしれない。そして、運の要素が大いに存在するゲームであるからこそ、大人の側も子どもに対しての手加減はほぼ不要に思える。だからこそ、親子で楽しめるのだ。「大魔王の美術館と怪盗団」のゲームバランスは、親子で楽しめるという点で、本当にいい塩梅になっているように思う。

 

我が子との“初の真剣勝負”におすすめしたい

toio本体、そして本作の対象年齢は6歳以上である。「大魔王の美術館と怪盗団」は、その年代の我が子と真剣勝負ができるゲームだ。小学校に上がるくらいの子どもと大人が真剣に争えるボードゲームというのはあまりないし、機械仕掛けで動くそのゲームの仕組みは、子どもの心を掴んでくれるはずだ。

 

本作には、対戦以外に「ひとりであそぶ」モードも搭載されている。子どもの一人遊びの需要も満たしてくれるというわけだ。そして、toioにはほかにも音楽遊びソフト「おんがくであそぼう ピコトンズ」や、プログラミングを学べる「GoGo ロボットプログラミング ~ロジーボのひみつ~」など、多彩なソフトがラインナップされている。楽しさはより広がることだろう。

もし僕が6歳のころに出会っていたら、両親との付き合い方が変わり、ひいては人生にも好影響が出ていたかもしれない。願わくば、本作とはそのころに出会っていたかった。

 

そう思えたからこそ、筆者が人の親になったら、ぜひ我が子と本作を通して勝負したい。そんな日が自分に来ることを祈るわけだが、まずは結婚相手を探す必要がある。

まさかゲームの対抗戦で結婚願望を掻き立てられるとは夢にも思わなかった。本作は筆者の今後の人生を左右する……のかもしれない。

 

【製品情報】

ソニー・インタラクティブエンタテインメント

toio専用ソフト 大魔王の美術館と怪盗団

希望小売価格:5980円+税

 

toio本体セット

希望小売価格:1万6980円+税