ゲーム&ホビー
2022/11/14 18:30

初代『メトロイドプライム』発売20周年! 開発スタッフがゲームキューブを冷凍した苦労話を語る

任天堂のゲームキューブ専用ソフト『メトロイドプライム』が2022年11月18日に発売20周年を迎えますが、それを祝って本作を手がけたスタッフ達(元レトロスタジオ勤務)が、いくつかの開発秘話を明かしています。

Image:Nintendo/Zoid Kirsch

 

本作と続編で上級エンジニアを務めたZoid Kirsch氏は18日に向けて、毎日1つずつ開発秘話をツイートしています。たとえば一部のドアがゆっくり開くのは、まだ次の部屋のロードをしているため、など。『メトロイドプライム』ではせいぜい2つの部屋しか同時にロードできないため、そうして全体のマップを広く見せていたようです。

 

また主人公の視野をときどき覆う電気ノイズとしては、本物のゲームコード(プログラム)が流用されているそうです。普通であればテクスチャー(3Dオブジェクトに貼り付ける模様や画像)を使うところですが、ゲームキューブの限られたRAMでは難しかったためとのこと。

 

もしもRAMを節約するために低解像度のテクスチャー(64×64)を使うと、ぼやけて鮮明ではなくなってしまう。そこでチームの1人が「コードが入っているメモリーを使えばいいじゃないか!」と思いつき、さっそく試すと素晴らしい結果になったそうです。

 

さらに元リードエンジニアのJack Mathews氏は、「ゲームキューブを冷凍した」話を振り返っています。それはゲームが出荷された直後、任天堂からゲームキューブのCPUに不良品があり、それが本作だけバグを発生するようだと連絡があったときのことだそうです。

 

一般的に半導体の生産ラインでは不良品が出ることが避けられず、本来それらは取り除かれるはず。が、チェックをすり抜けて一部のゲームキューブに実装されてしまったようです。

 

さて、このバグの原因は「コードの実行速度が速すぎて、不良品のCPUでは処理できない」ことでした。そのため不具合が出る部分だけ処理を遅くする必要があったものの、問題を確認するためには開発キットを冷やす必要がありました。

 

そこで文字通りキットを冷凍庫に入れて、ゲームを15分以上テストしてから、また冷やし直さなければなりませんでした。休憩室にある冷凍庫からテレビ(開発環境)まで走って運び、15分以内にできるだけ多くのセーブデータを読み込み、修正したコードを試し、また冷凍庫に戻す。しかも、修正コードを光ディスクに焼く必要があったため、大変な作業だったようです。

 

このバグは最終的に修正されたものの、問題が起こったプレイヤーが修正版を手に入れる唯一の方法は、任天堂のサポートに電話をして新品のディスクを発送してもらうことだけでした。

 

今なら修正版をダウンロードしてもらうだけで済むはずであり、開発者・ユーザーの両方にとって良い時代になったと感謝しつつ、初代『メトロイドプライム』発売20周年を祝いたいところです。

 

Source:Zoid Kirsch(Twitter) 
via:Gamesradar