これはフリーランスライター歴約20年の著者が突然の大病に見舞われたときの記録です。仕事は? 家族は? そして生活は? 様々なことが一気に襲ってきました。ゴールデンウィークに倒れ、現在進行中の出来事です。
それは突然のことでした。ゴールデンウィーク前半は多忙な普段とは違い、比較的のんびり過ごしていました。中盤1日だけ入った取材仕事で都内に出かけ、3本ほどのイベント取材を行ったあとは、知人と集まって、飲み語り合い、終電で帰宅。それはまったく普段通りの日常でした。
翌朝、仕事部屋で起きたのは朝10時ごろ。 すでに2階のリビングからは子どもの声や妻が朝食を作る音も聞こえています。普段の週末は自分が朝食を作ることが多いのですが、ゴールデンウィーク前半にしっかりやっていたことと、前日久しぶりの飲みだったこともあり、寝かせておいてくれたようです。
そろそろ起きてリビングに上がらなければと思い、仕事部屋のソファーベッドから起き上がって部屋を出ようとしたとき、異変を感じました。なんだか身体に力が入らないのです。 それは右手と右足。
思い出してみると一昨日の夕方、ホームセンターに行ったとき、 ちょっと調べ物をしようと思って、スマホを右手で持ったのですが、なぜか肘から先が妙に重く感じました。それは予兆だったのかもしれません。このときもそれに近い形で右手、右足に力が入りませんでした。
四つん這いに近い状態で階段を登り、リビングに到着。 ソファに倒れこみながらその状態を妻に話しました。 また、スマホで「力が入らない」と入力して検索もしてみます。しかし、検索結果に出てくるのはちょっと怖い病名ばかり。そんなバカな、と思いながら検索を続けていました。その様子を見ていた妻が「それはまずい気がする」と言い出し、病院に行こうと提案してくれました。
その日はゴールデンウィークの最中ではありましたが、暦上は土曜日。電話してみるとかかりつけの内科が運良く開いていました。子どもにごはんやおやつ、そしてゲームなどを与え、妻の運転で急いで 病院へ向かいます。この時すでに、 午前11時を回っていました。
駐車場から病院までは、妻に支えられながら歩きました。そして、主治医に状態を話し、言われるがままに手を伸ばしたり、四つん這いになったりと検査をしていきます。そこで疑いがあると言われたのは、スマホの画面で見た病気でした。
そして、大きな病院に転院しての精密検査が決まりました。妻に送ってもらおうとしましたが、救急車に迎えに来るとの話。その時は「ちょっとまずいことになったな」ぐらいの感覚で、客観的に感じていました。
そのあとは怒濤のような流れでした。地域の大きな病院に到着するとすぐに車いすに座らされます。簡単な問診と同時に点滴治療も開始。そして、MRIでの精密検査です。検査用のベッドで頭を固定して、磁場を受信するコイルを頭部に装着。トンネルのような超伝導磁石のガントリーのなかへと入って検査は行われます。
グィーン、ゴーンゴーンというMRI独特の音を数分聞いたあと、解放です。控室で待っていると丸坊主の主治医が現れ、こう言いました。
「脳梗塞があるね。しばらく入院です。たぶん2週間ぐらい」
手足の違和感をよそに、そのときはゴールデンウィーク明けに入っていた取材や出張、そして子どもの運動会などのプライベートの予定はどうなるのか、そんなことばかり考えていました。そして、車いすに乗せられ、ICUに向かいます。ここから長い長い入院生活が始まるとはまったく思っていませんでした。
(続きます)
監修:南町田病院 脳神経外科 原島 克之医師
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