朝、眠りから目覚めたとき、なんとなく身体が重かったり痛みを感じたり、どうも目覚めが悪い、ということはありませんか? また、眠っている最中に肩や首が痛くて起きてしまったり、なかなか体勢が定まらずにゴロゴロと寝返りを打って寝つけなかったり、という人も要注意です。
そういった、寝つきが悪かったり、睡眠時間をしっかりとっているにもかかわらず疲れが抜けなかったりするのは、眠っているときの姿勢に問題があり、“睡眠の質”が下がっている可能性があります。
いつも忙しくて限られた睡眠時間しかとれない人でも、その睡眠の質を上げることで、効率的に心身の疲労を回復することができるのです。そのヒントのひとつに、“枕”があります。そこで、“ピローフィッター”のいる枕専門店「ロフテー枕工房」を訪ね、自分に合った枕の選び方について聞きました。
あなたはどんな姿勢で眠っている?
眠っているときの姿勢でもっとも大切なのは、「身体にいちばん負担の少ない状態でいられること」。そう答えてくれたのは、ロフテー枕工房の笹本志乃さんです。
「これはリラックスして立っているときと同じ姿勢のことで、仰向けでもうつ伏せでも、この状態を保つことが理想と言われています。こう言うと当たり前のことのように聞こえるのですが、実はベッドに体重を預けきれていなかったり、首に力が入ったままの状態で眠っている人、足を縮こめて固まったように眠っている人も、少なくないのです」(笹本さん、以下同)
「特に最近では、スマホやパソコンを使うときに“スマホ首”と言われる首の形に変形してしまっている人が多く見られます。前屈みで猫背になっている姿勢が続くことで、頚椎のカーブがまっすぐになってしまうことを言い、使っていた枕と首や頭部のカーブが合わなくなってしまうのです」
快眠を得られる枕選びの3つのポイント
枕を選ぶときに大切なポイントになるのは、「高さ」「素材」そして「頸部の支え方」です。
1.頭の重さを感じない高さか?
「枕の高さは、頭を支える7つの首の骨である頚椎(けいつい)のカーブに合わせて選びます。実際に寝てみて、頭の重さを感じない高さを選ぶのがよいと思います」
2.硬さや柔らかさ、素材が好みか?
枕の中身となるものは、ストローを細かく切ったようなパイプと呼ばれるものや、マルコビーンズという丸い形のビーズなどの硬いもの、低反発ウレタンや羽根などの柔らかいものなど、さまざまな素材があります。
「誰にとってもよい素材というのはないので、香りや手触り、音などから好みのものを探してください」
3. 頸部を囲むようにして支えられるか?
ひとつの袋に素材が入っているタイプの枕は、使っているうちに中身が偏ってしまうことがあります。
「ロフテー枕工房では、枕の中身を5つに分けて安定した寝姿勢を保てるよう作っています。仰向けで寝たときに首が乗る部分は、首や頭に負担のない高さに設定します。頭の両脇にくる部分はある程度の高さにすると、横向きになっても肩が圧迫されず、楽な姿勢でお休みできます。後頭部が乗る部分は少し低くして、首を支える上下の部分を少し高くすることで、頭全体がちょうど枕に囲まれて支えられている状態になり、首や肩の力を抜いて眠れます」