体内時計の整え方
体内時計がバラバラになってしまう理由はさまざま考えられますが、体内時計は前日に起こったことを予想して、翌日も同じリズムで動こうとするので、毎日違う時間に寝起きしたり食事したりと不規則に過ごしたりしていると、乱れやすくなります。
「一般に“不規則な生活”と言うと、夜型生活のようなイメージがあるかもしれませんが、毎日夜型の生活をしているのであれば、それはその人にとって規則正しいと言えます。今のところ、夜8時間眠るより日中8時間寝るほうが体に悪いとか、ぼんやりしやすい、などというはっきりとしたデータはないので、どのような時間帯でも、毎日同じリズムで生活することを心がけると、体に負担がないかもしれませんね」
1. 夕方から夜にかけての時間帯は落ち着いた光で過ごす
朝のような強い光を夕方から夜にかけても浴びていると、体内時計に遅れが生じて、眠くなる時間が遅くなることがわかっています。「朝や日中は光を浴びて生活することがおすすめですが、夕方から夜にかけても同じように光を浴びていると、入眠を妨げることにつながります。夕方以降は強い光を浴びないよう、寝室の明かりを暖色のやさしいものに変えることもおすすめです」
2. ブルーライトカットの商品を使う
ブルーライトとは、文字通り「青い光」のこと。紫外線に近く自然界にも存在しますが、パソコンやスマートフォンから出る明かりも同じブルーライトです。「ブルーライトは、本来は日没後に入ってくるはずのない光です。それが、夕方や夜でもパソコンやスマートフォンから届き続けるので、体内時計に影響が生じてしまうのです。プルーライトの除去には、シートを貼ったりアプリケーションを入れたりするなどの対策ができますから、午後の仕事が眠りの妨げにならないようにしましょう」
3. 週末に寝だめしない
忙しい平日は短い睡眠で乗り切り、週末にたくさん寝る、というのは、睡眠不足の解消にはなるでしょう。しかし体内時計はそのぶん狂ってリズムが乱れ、体調に変化をもたらします。この状態を“社会的時差ぼけ”と呼びます。「睡眠が足りていれば、週末も平日と同じ時間に起きられるはずなのですが、平日よりも週末のほうが起きる時間が遅くなるということは、睡眠不足であると言えます。できれば週末一気に睡眠時間を確保するのではなく、毎日の睡眠時間を少しずつ多くとることで調整できたらいいですよね。週末に寝だめしてしまうと、また早起きしなければならない月曜日に体がだるく、つらくなることもあります」
4. 体内時計によい効果をもたらす食習慣を意識する
最近の研究では、高脂肪の食事が体内時計を遅らせることや、朝食を食べることが体内時計をリセットしやすくなることなど、食事と体内時計の関係が少しずつ明らかになってきています。「夜ご飯を早めの時間に食べて、次の朝ごはんまで14時間以上の絶食を行うと、同じカロリー量を摂取しても太りにくく体もより健康になることが知られています。体内時計と食事のよりよい関係は、健康的な体づくりにつながると思います」
眠りについて悩んでいるときは診断を受けること
うまく睡眠がとれない、寝ているのに眠った気がしないなど、睡眠について悩みがある場合は、きちんと医師の診断を受けることが大切です。ただ眠れていないだけだからと放置しておくと、また眠れなかったとストレスになったり、疲れがたまってきて事故や怪我につながったりする場合があるからです。
「たとえばうつの患者さんでは、ノンレム-レム睡眠の時間が乱れたり、レム睡眠の時間が多くなったりと、眠りのサイクルが乱れることがわかっています。うつ症状の緩和は、レム睡眠の長さが適切になっていくことと相関していると言われていますから、適度のレム睡眠が人にとって重要であると言えるのかもしれません。現代では、不安になると出てくるホルモンを抑えることで入眠しやすくなる薬や、眠りのホルモンと呼ばれているメラトニンを助けてくれる薬など、さまざまな開発が進んでいて注目を集めています」
体内時計は、睡眠だけでなく体全体の健康に関わってくる大切な器官です。運動や食事の仕方なども体内時計の安定につながりますから、寝ている時間に注目するだけでなく、起きている時間をどのように使えばよいか生活のサイクルを見直して、快眠できるよう気をつけて習慣づくりを心がけましょう。
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