筆者は中学生時代に「若年性高血圧」と診断されてから、上が140台という高めの血圧と付き合って生活しています。一応、お医者さんからは大きな変動がないのなら特に服薬や治療は必要ないと言われていますが、数か月ぶりに病院などで血圧を計測する際には「もしかして上がっているのでは!?」とドキドキしてしまいます。
そんな私にとって非常に気になっていたデジタルガジェットが、「オムロン ウェアラブル血圧計 HCR-6900Tシリーズ(HeartGuide)」(以下HeartGuide)です。
現状、「血圧推定」をできるウエアラブルデバイスは、すでに世の中に存在しています。しかし本機が他デバイスと一線を画するのは、「医療機器認証」を取得している点はもとより、カフを巻いて加圧、減圧する「オシロメトリック法」を実現している点です。さすがは血圧ケアにどこよりも力を入れ、たしかな技術と知見を持つオムロン ヘルスケアの製品です。
今回そんなオムロン ヘルスケアより実機を借用したので、主に使い勝手や計測精度などにスポットを当てたレビューをお届けします。
利用するためにはアカウント登録が必要
セットアップは、スマホ用アプリ「OMRON HeartAdvisor」のインストール、「OMRON connectアカウント」の登録とログイン、身長や体重などの個人データの入力、HeartGuideとアプリのペアリングという流れで進めます。筆者が実際にセットアップしたときには合計7分で終了しました。アカウント作成時にメールで本人確認などが行なわれますが、入力する情報は必要最低限なので特に手間取ることはないと思います。
正確な測定には、正しい姿勢で正しく装着することが必要
初期設定を済ませてしばらく使ってみましたが、計測結果に誤差があることに気付きました。そこでメーカーから上腕式血圧計を借りて交互に計測してみたところ、最高血圧が最大36mmHgの開きがありました。もちろん、説明書をよく読んでHeartGuideを使い始めたのですが、正しく装着・計測できていなかったようです。
その後、いろいろ試行錯誤したところ、ベルトを思っていたよりもきつめに、計測する際にHeartGuideの高さを心臓の位置に厳密に合わせることで、上腕式血圧計とほぼ同じ数値で計測できるようになりました。正しく装着、計測すれば精度が高いことは確認できましたが、その条件がシビアだなというのが正直な感想です。
少なくとも「初めての血圧計」として本製品だけを購入して、血圧を正しく計測するのは難しいと思います。上腕式血圧計を一緒に購入するか、病院などに設置されている血圧計を(ほかの方の迷惑にならないように)使って、HeartGuideで正しい血圧を計測できる方法を納得できるまで試すことを強くオススメします。
最初はうまくいかなかったものの、一度正しい装着位置、ベルトの締め具合、姿勢をマスターしたら、それ以降は正しく利用できるようになりました。
スマートウォッチ的な作りではないが、最低限の通知機能を持つ
HeartGuideは、血圧以外に活動(歩数、距離、消費カロリー)、睡眠パターンなどを計測できるほか、ペアリングしているスマートフォンから電話着信、メッセージ、Eメールの「通知」を受信できますが、その内容は画面で確認できません。「ウェアラブル血圧計」と名付けられているとおり、スマートウォッチ的な用途には作られていないのです。
もうひとつ常用するのに、個人的に気になったのがベルトの厚み。計測時にカフが膨らむのは手首の表側なのですが、裏側にもカフが伸びていて、実測で約10mmの厚みがあります。これだけ厚みがあると、パソコンのキーボードのタイピングに手首が圧迫されて、常にはめておくのは厳しく感じました。もしHeartGuideを装着したままタイピングするのであれば、ベルトがテーブルに当たらないようにキーボード用パームレストを準備しましょう。
しかし、オシロメトリック法を採用した唯一無二のウェアラブル端末
とは言え、上腕式血圧計とは比べものにならないほどコンパクトかつ軽量なHeartGuideは運動後、飲食後、飲酒後、喫煙後などの状況に応じて、自分の血圧がどのように変化するのか幅広いシーンで把握できるようになります。1日の血圧の変化を細かく計測したいという方にとって、オシロメトリック法を採用した唯一無二のウェアラブル血圧計であることは間違いありません。
座る場所さえ確保できれば、いつでも、どこでも血圧を計測できるのがHeartGuide最大のアドバンテージです。上腕式血圧計であれば計測する場所、時間帯が限られます。しかし、HeartGuideであればどこにいても決まった時間に計測可能なので、時間帯、行動ごとにどのように血圧が変化するのか俯瞰することができました。
決まった時間にきめ細かに血圧を計測することで、体調の微妙な変化の兆しをチェックできるということが本製品の最大のメリットでしょう。
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