春先から夏にかけては、ハーフ丈のパンツやスカートなどを穿く機会も多くなるため気になるパーツが「脚」。冬の間にため込んだ脂肪を落とすのはなかなか大変そうですよね。しかし、簡単なマッサージを行うだけで、「脚痩せ」は比較的楽に実現できるんです。
今回は、アロマセラピストでマッサージにも詳しい髙橋志保先生に、自宅で毎日できる効果的な脚痩せマッサージを教えていただきました。
<識者紹介>
La Estrella 髙橋志保さん
大学卒業後、会社員を経てアロマセラピストへ転身。英国IFA・英国ITEC・米国NAHAの各アロマセラピストの資格をシンガポールにて取得後、現地サロン及びイギリスにて研修を受け帰国。2012年10月より “インナービューティ”をモットーに心と体のためのアロマセラピールームLa Estrella(エストレーリャ)を開設。アロマオイルを使用したハンドマッサージで美も提供する。
脚が太くなりやすい/痩せにくい理由
脚は痩せるのが難しい部位であるように感じますが、髙橋さんによると脚痩せ自体はそこまで難しいことではないようです。
「そもそも、脚が太くなってしまう理由の一つは血流が悪いことが挙げられます。そのため、冷え性の人はむくんだり脂肪がつきやすかったりする傾向にあるんです。冷えや姿勢の悪さ、また天候によるむくみを放置しておくとリンパ管の流れが低下し、老廃物が身体の外に出ていかなくなって太りやすくなってしまいます。
そのほかにも、年齢とともに基礎代謝が悪くなることや運動不足、運動後のメンテナンス不足も脚が太くなりやすい原因の一つですね。大腿部の付け根である鼠径部(そけいぶ)が硬くなったり、筋肉が収縮している状態で放置してしまったりすると、リンパ管の流れが悪くなってしまい、男性・女性問わず太くなりがちなんです。
ただし、ポイントさえ押さえれば“脚痩せ”は、ほかの身体のパーツよりも比較的簡単にできるんです」(髙橋さん)
「脚痩せ」にマッサージがおすすめの理由
冷え性や運動不足など、基本的な生活習慣の乱れも脚が太くなる原因として考えられると教えてくれた髙橋さん。特に脚を意識して細くするためには、しっかりとしたマッサージを施すのが効果的なのだそう。
「もちろん、マッサージだけではなく適度な運動やストレッチも大切です。しかし、運動もやりすぎは逆効果。脚痩せのため、と思って入念に鍛えてしまうと、想定よりも筋肉がついてしまい、逆に太くなってしまうことも考えられますよね。
だからこそ、マッサージ・ストレッチ・運動のどれも適度に行うことが重要。特にマッサージは特別な準備もいらないので続けやすいですし、血流の流れを良くして基礎代謝が上がるなど、ダイエット全般に効果があります。日々のルーティーンに取り入れると、高い効果を発揮しますよ」(髙橋さん)
マッサージの効果を高めるポイントとは?
基礎代謝を高め、身体の機能を正常化させるためにも大切なマッサージですが、その効果をより高めるために、意識するべきポイントがあります。
■皮膚を傷付けないためにオイルを使う
「マッサージを行う際、摩擦で肌を傷付けないようにするためにはオイルを使うのがおすすめです。クリームよりもオイルのほうが適度に滑るため、ちょうど良い圧でマッサージができます。また、肌に栄養を与えるという意味でもオイルは効果的。リラックスする意味でも、お好みの香りが付いたアロマオイルを使用してみてはいかがでしょうか」(髙橋さん)
■腹式呼吸を意識する
「リンパは、筋肉の動きと呼吸の流れのみで動かしているため、その両方を活性化する腹式呼吸が非常に大切。お腹を膨らませるイメージで深く深呼吸をしながら、マッサージを行いましょう」(髙橋さん)
■お風呂の中でマッサージ
「身体が温まっている状態でのマッサージは、全身の血行を良くするので効果があります。日常生活であれば、お風呂に入ったタイミングがベストですね。10分程度マッサージする習慣をつけるだけで、効果を実感できると思いますよ。また、お風呂の中であればオイルを使わなくても石鹸を使えばOK。肌への刺激もなく、皮膚を傷付けることもないのでおすすめです」(髙橋さん)
■毎日続ける
「マッサージは毎日継続することで効果を発揮します。面倒くさい準備があるとどうしても続かなくなってしまうので、お風呂に入ったときに1日10〜15分程度のマッサージを習慣づけるところから始めてみてください。自身の身体を自分で触って変化に気付くようになると、さらに脚痩せにつながるので、毎日少しの時間でも良いので継続してみましょう」(髙橋さん)
気軽に自宅でできる「脚痩せ」マッサージ
今回、髙橋さんに教えていただくのは自宅でも簡単にできる脚痩せ効果のあるマッサージ。お風呂に入っているときはもちろん、時間がないときは部屋の中で着衣のまま行っても大丈夫です。
■鎖骨をほぐす
まずはリンパの通りを良くするために、鎖骨に軽く指をかけながら大きく深呼吸を行います。(2〜3回)
「首まわりのリンパがこっていると、身体の外に老廃物が出ていきません。このひと手間をかけてあげることが効果的なマッサージにつながります」(髙橋さん)
■鼠径部を押して揉む
椅子に座り、足の付け根にあたる鼠径部を指で軽く押さえながら前かがみになることで、リンパの流れを良くします。(2〜3回)
「力を加えなくても、自身の上半身の重さが負荷となり、リンパの流れが良くなります。激しい運動をした後などに行うメンテナンスとしても効果的なマッサージ。腹式呼吸がリンパの流れを良くしてくれるので、深く呼吸をしながら行ってみてください」(髙橋さん)
■足の指の間を揉み、足首を右回り左回り双方にゆっくりと回す
足の指の間を開いて軽く揉んだ後に、足首を前後左右に軽く回すマッサージです。(親指から小指に向かって3往復)
「足のむくみを取るうえでも、効果的なマッサージの一つです。いくら身体全体を温めても足が冷たいと意味がありません。足が温かくなれば、身体の血流は確実に良くなりますから入念に行ってくださいね」(髙橋さん)
■膝の裏を揉む
膝の裏にあるリンパ節を指の腹で押さえながら、軽く弧を描くマッサージです。(深呼吸をしながら軽く弧を10回ほど描く)
「膝下リンパ節をほぐしてあげる意味でも大切なマッサージ。疲れていると硬くなりやすい部分ですので、ご自身の体調も把握しやすいです」(髙橋さん)
■膝の上を揉む
膝の皿より指3本分程度上の部分を指の腹で押さえながら、軽く弧を描くマッサージです。(ふっ、ふっと息を吐きながら10回ほど)
「膝上は脂肪がつきやすい部位です。定期的に揉んであげることで、脂肪の定着を防ぐ効果があります」(髙橋さん)
■脚全体を叩く
太もも・ふくらはぎを拳で軽く叩くマッサージです。(ふくらはぎはアキレス腱の上から膝裏まで。太ももは膝の内側から脚の付け根に向かって内もも部分をそれぞれ3往復)
「全体の老廃物を叩くことによって浮かせてあげるイメージで行いましょう。上半身へと向かって叩いていきます。特に太ももは、脂肪がくっついてセルライト(※)になりやすい箇所ですので、入念に叩いてくださいね」(髙橋さん)
※セルライト:お腹や太もも、お尻などに見られるデコボコした肌の状態のこと。
■マッサージのまとめ
両手で足首をしっかりつかみ、鼠径部まで引き上げるマッサージです。(足首から鼠径部まで、どれも呼吸をしながらゆっくり3回引き上げる)
「下のほうにある老廃物を鼠径部まで引っ張り上げるイメージで、密着した手のひらの面が離れないように脚全体に圧をかけてあげましょう。これを毎日行うと、自身でも脚の悪い部分がなんとなく分かるようになると思います。どのマッサージもオイルなどを用意できない場合は、服の上から実施していただけます」(髙橋さん)
「脚痩せ」のために日常生活で意識したいこと
ここまで、脚痩せに効果的なマッサージを教えていただきましたが、最も大切なのは、日常生活を整えることだと髙橋さんは話します。
「当たり前の話ですが、睡眠不足であれば身体のバランスが崩れて太りやすい体質になってしまいますので、しっかりと睡眠をとることが大切。また、水分不足も身体にとっては良い状態ではありません。カフェインが入っていない常温以上のお水(白湯がベスト)を積極的に摂取するようにしてください」(髙橋さん)
また、マッサージはそのほかの運動と組み合わせることで、より効果をより高めてくれます。
「ウォーキングなどの軽い有酸素運動に、身体を整えるストレッチも組み合わせることで、マッサージの効果はより高いものとなります。マッサージだけでなく、適度な運動も取り入れながら健康的な生活を送ることを意識してみてくださいね」(髙橋さん)
撮影/我妻慶一 文/マイヒーロー