家電
2017/7/2 10:00

古くて新しい家電「食洗機」ーーその生産ラインは実に現代的だった【パナソニック草津工場見学】

パナソニックの食洗機の累計生産台数1000万台突破を記念して行われ草津工場の見学会。前編ではイメージとは違う食洗機の意外な事実についてご紹介しましたが、後半ではいよいよ工場見学へ出発です。

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↑工場の入り口には「THANKS!1000万台」のプレートが。日本での普及率は海外に比べるとまだまだとはいえ、それでも1000万台突破は誇らしい数字です

 

初代はまるで洗濯機!? 入り口には歴代の食洗機がずらり

工場内に入ると、これまでに発売された歴代の食洗機が。記念すべき第1号はサイズも大きく、見た目も中身も洗濯機のよう。ほかにも初期型の卓上食洗機やビルトインタイプの食洗機などが並んでおり、ひと口に食洗機といってもさまざまなタイプがあることを実感しました。

 

人によっては食洗機はなじみが薄いので「新しい家電」というイメージかも知れませんが、第1号が1960年に登場し、卓上やビルトインタイプも1960年代には発売されているので、電気炊飯器や電気冷蔵庫と比べてもそれほど新しいというわけではありません。

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↑工場を入ってすぐの通路には、歴代の食洗機が並んでいます

 

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↑まるで洗濯機のようなフォルムとサイズの初期型食洗機

 

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↑海外で多いタイプの食洗機。日本のビルドインタイプはすべて箱型の引き出し式になっています

 

オシャレなショールームも併設!

ちなみに、草津工場がある施設内には超オシャレなショールームもあります。ここに訪れる人はビジネス関連の人が多いということもあり、パナソニックセンター東京に負けず劣らずの規模。冷蔵庫や掃除機、洗濯機、炊飯器などの白物家電をはじめ、デジカメやテレビなどのデジタル家電、ドライヤーやシェーバーなどの美容家電、さらには業務用の製品まで多数の製品が並んでいます。

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↑余裕のあるスペースに、パナソニック製品がオシャレなレイアウトで配置されたショウルームを併設

 

冷蔵庫は外国や特定の地域でのみ販売している製品も並んでおり、それぞれの地域の文化や事情が読み取れて、個人的にはかなり面白かったです。また、余談ですが、ショウルームにはスターバックスを併設しています。滋賀ではスターバックスがほとんどないため、こちらはかなりレアな存在なんだとか。

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↑世界各国の事情を踏まえてローカライズされている冷蔵庫。見比べるだけでも面白いです。このほか、多ジャンルにわたる製品が展示されており、同社の製品群の豊富さを改めて実感しました

 

いよいよ工場内部に潜入! 意外に手作業も多い

今回見学したのは、ビルトインタイプの食洗機の生産ライン。ビルトインの食洗機はパーツを流用することで効率化をはかっています。例えば、パーツを使い分けることで、同じラインでも庫内容積が60リットルと40リットルの2タイプを作り分けられるそう。同様に、同じ操作部でも扉の天面につけるか、側面につけるか、グレードに応じて位置を変えるなど、ひとつのラインで複数のグレードの製品を作り分けることができます。これは混流生産方式といって、クルマや精密機器などの製造業では一般化している生産方法。筆者的にそこまで知識のなかった食洗機というジャンルでも、当たり前のように採用されているのが新鮮でした。パーツの組み換えだけでグレードやサイズの変更が可能なので、それぞれのラインでさまざまなタイプの食洗機を生産できるようになっています。

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↑工場内の様子。同じラインでも違うサイズや違うグレードの製品も組み立てられます

 

いくつかの工程ではロボットによる組み立てが行われていましたが、意外にも多くは手作業による工程。うまく機械化と人力が組み合わされて、工場全体が動いている印象です。ネジどめするネジの本数をカウントするシステムや、運ばれてきたパーツのケースを取りやすく、さらに空になったケースを戻しやすくするように工夫されたカートなど、人的ミスを極力少なくするためにもちょっとしたシステムが使われていて、見学中は感心しきりでした。

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↑人力と機械の両方をうまく取り入れ、効率的に組み立てていきます

 

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↑担当する場所ごとにネジを留める数は決まっており、ちゃんと必要な数を締めたかどうかカウントして管理しています

 

「故障しないのが当然」を実現するチェック体制

最後には生産した商品に不具合がないか、それぞれのラインで製作した製品をピックアップし、テストをしていました。食洗機は水を使う製品なので、特に水漏れしないかに重点を置いて確認しています。

 

食洗機をはじめ、キッチン周りのものって、なぜか故障しないのが当然のように感じてしまいがち。ガスレンジやIHクッキングヒーターしかり、シンク周りしかり……。今回の工場見学では、それだけの品質を担保するだけの技術力を持って生産しているということがわかりました。十人並みの感想ですが、さすがメイド・イン・ジャパンといったところでしょうか。

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↑実際に完成した製品を使って、給水水位管理試験をします