家電
冷蔵庫
2017/10/12 20:00

「冷蔵庫の違い、わかんねぇ…」という人に! 500L台・最新5モデルの「冷蔵/冷凍/野菜室」を家電のプロが徹底ガイド

スリム&大容量化、省エネ、食品の鮮度保持……。冷蔵庫は10年前の製品と比べて驚くほどの進化を遂げています。なかでも4人家族にぴったりな約500L台が売れ筋で、各メーカーも力を入れているゾーンです。でも、いざ買い替えるとなると、どれも同じように見えて迷ってしまう人も多いはず。そこで今回は、家電選びのプロ、戸井田園子さんにお願いし、主要5社の2017年新モデルを検証してもらい、その違いを明らかにしてもらうことに。検証項目は、「冷蔵・冷凍」「野菜室」「清潔性・脱臭機能」「設置性・デザイン」「省エネ性能」など8項目。今回は、その前編として「冷蔵・冷凍」「野菜室」の検証をお届けします!

 

【今回のガイド】

家電コーディネーター

戸井田園子さん

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雑誌やテレビなど、数多くのメディアにひっぱりだこの家電専門家。ユーザー目線に立ったわかりやすい解説で、読者の厚い信頼を受けています。

 

検証モデルその1

省エネ性能もアップした、スリムな幅65cmの大容量冷蔵庫

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三菱電機
WXシリーズ
MR-WX52C(517L)
実売価格36万7070円

高性能真空断熱材の採用でさらなる省エネ性が図られた、「置けるスマート大容量」シリーズの新モデル。「クリーン朝どれ野菜室」は、世界初の「ハイブリッドナノコーティング」を使用した抗菌トレイを導入し、清潔さもアップしました。

【SPEC】●サイズ/質量:W650×H1821×D699mm/約118kg●容量:517L(冷蔵室 277L/野菜室 98L/製氷室 23L/瞬冷凍室 30L/冷凍室 89L)●ドア開閉タイプ:両開き(フレンチ)●ドア数:6ドア

 

【三菱 MR-WX52C 検証01 冷蔵・冷凍】

氷点下の3つの温度帯を使い分け、鮮度が長持ち!

「-3~0℃で保存する『氷点下ストッカーD』は、氷点下になっても凍らない過冷却状態を維持する独自の技術で、氷点下でも生のままで保存でき、肉や魚の鮮度が長持ちします。また、ドリップを抑えて解凍できる機能もあって解凍後の状態も良好。

 

↑お肉は約7日間、お刺身は約3日間も鮮度が維持できます
↑こちらが「氷点下ストッカーD」。お肉は約7日間、お刺身は約3日間も鮮度が維持できます

 

-7℃で冷凍保存できる『切れちゃう瞬冷凍』は、解凍しなくても包丁で切れるのが特徴。食材を長持ちさせつつ、必要な分だけ使えるので便利です。熱いままのご飯(約80℃まで)もそのまま入れられ、おいしく冷凍できるのも大きな魅力。

↑「切れちゃう瞬冷凍」イメージ
↑「切れちゃう瞬冷凍」イメージ

 

-3℃(氷点下ストッカー)・-7℃(瞬冷凍)・-18℃(冷凍室)と、さまざまな温度帯で保存でき、例えば、食材を買い込んでもすぐ冷凍せず、3日間くらいは『氷点下ストッカー』で保存。その段階で使わなかった食材は『瞬冷凍』へ移動し、1~2週間の間に使えばOKと、『保存の先延ばし』ができます。買い物の時にきちんと献立を考えなくてもいいし、急な仕事で予定通りに食材が使えなくても、無駄にならないのが人気のポイントですね」(戸井田さん)

 

【三菱 WXシリーズ 検証02 野菜室】

密閉構造と3色LEDが野菜の力を引き出す

「密閉構造で野菜のうるおいを保つ野菜室は、内部に3色LEDを配置。1日の光の変化と同じサイクルを作り、光合成を促すことで野菜の栄養素を増やすという仕組みです。切り花でも花瓶に挿して太陽に当てれば花が咲くように、野菜も水分を逃さず光を当てれば活き活きするんですね! キャベツやレタスなどの葉野菜は、ビタミンCや糖量がアップし、見た目の青さが増すのもうれしいところ」(戸井田さん)

↑3色のLEDが光の力でビタミンCを増やしてくれます
↑3色のLEDが光の力でビタミンCを増やしてくれます

 

検証モデルその2

大容量化を実現した「微凍結パーシャル」搭載モデル

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パナソニック
HPXタイプ
NR-F503HPX(500L)

実売予想価格33万9930円

新たに開発された新形状の薄壁筐体を採用し、本体幅はそのままに冷却部品をコンパクト化した「微凍結パーシャル」搭載冷蔵庫の新モデル。新開発の「フラット冷却システム」と新「エコナビ」で省エネ性能も向上しています。

【SPEC】●サイズ/質量:W650×H1828×D699mm/約118kg●容量:500L(冷蔵室 258L/野菜室 105L/製氷室 17L/新鮮凍結ルーム 28L/冷凍室 92L)●ドア開閉タイプ:フレンチドア●ドア数:6ドア

 

【パナソニック HPXタイプ 検証01 冷蔵・冷凍】

「微凍結パーシャル」はお弁当の作り置きに最適!

「肉や野菜が凍り始めるギリギリの温度-3℃で保存する『微凍結パーシャル』がウリです。冷凍より食材を傷めずチルドより長持ち。解凍いらずで1週間保存できます。微凍結なら、ペースト状ものも、使うとき必要なぶんだけスプーンですくえて、お弁当や副菜の作り置きにも重宝します。下ごしらえしておいたハンバークや味付け肉なども、解凍せずに調理ができますよ。

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↑「微凍結パーシャル」は、肉も魚もチルドより鮮度を保ちます

 

コンプレッサーが上にある『トップユニット方式』は同社独自のレイアウトになっていて、下方の野菜室スペースが広く取れて使いやすくなっています。また、冷凍室は独自の『ワンダフルオープン』。本当に引き出しが奥までしっかり開き、見やすくて取り出しやすいうえに、2段トレイで小分け収納もラク! 冷凍ヘビーユーザーにはピッタリですね」(戸井田さん)

 

【パナソニック HPXタイプ 検証02 野菜室】

フルオープンの引き出しで大きな野菜もラクラク!

「大きな野菜もラクラク入る、フルオープンの引き出し式収納は秀逸。これもトップユニット方式ならではの利点です。また、密閉度の高い『うるおいシャッター』構造と、適切な湿度にコントロールする『モイスチャーコントロールフィルター』で、野菜の鮮度もしっかり維持。さらに微粒子イオン『ナノイー』を行きわたらせることで、ポリフェノールやビタミンA等の栄養素をアップする効果もあります」(戸井田さん)

↑①がWモイスチャーコントロールフィルター②が小物野菜ケース③野菜室本体ケースの葉野菜コーナー④がボトル&調味料コーナー。野菜室が100%全開になるので、白菜などの大きな野菜を買っても安心です
↑①がWモイスチャーコントロールフィルター②が小物野菜ケース③野菜室本体ケースの葉野菜コーナー④がボトル&調味料コーナー。野菜室が100%全開になるので、白菜などの大きな野菜を買っても安心です

 

検証モデルその3

0.8気圧の「真空チルド」と炭酸ガスで食材の鮮度が長持ち

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日立
「真空チルド」XGシリーズ
R-XG5100H505L
実売価格319760

真空の効果で鮮度を保つ日立だけの「真空チルド」を搭載した冷蔵庫の新モデル。炭酸ガス生成能力を向上させた新「プラチナ触媒(ルテニウム配合)」により、食品表面の酵素の働きを抑えておいしく保存します。

【SPEC】●サイズ/質量:W685×H1818×D699mm●容量:505L(冷蔵室 269L/野菜室 94L/冷凍室 142L)●ドア開閉タイプ:フレンチドア●ドア数:6ドア

 

【日立「真空チルド」XGシリーズ 検証01 冷蔵・冷凍】

独自の「真空チルド」が食材の酸化を防ぐ

「『真空チルド』は、約0.8気圧の真空状態にすることで酸化を防いで鮮度を維持する独自の機能。真空パックの食材が長持ちするのと同じような仕組みですね。さらに、新『プラチナ触媒(ルテニウム配合)』で炭酸ガスを生成し、食材の酵素の働きを抑える機能もあります。お刺身だと3日間も保存が可能。ラップなしでも乾燥しにくいので、食べるまでの間にお刺身を冷やしておくなどの使い方もできます。

↑「真空チルド」の仕組み
↑「真空チルド」の仕組み

 

冷蔵室には、3・4段目のエリアを低温(約2℃)に保つ『スポット冷蔵』を新搭載。温かい鍋が入ると温度センサーが検知して自動で低温モードに切り替わります。周りの食材の温度上昇を抑えることができるため、鍋が冷めるまで待つ必要がないので、忙しい人にはうれしい機能。まとめて作った料理の残りなどを低温で保存すれば、生菌類の繁殖も抑えられますね」(戸井田さん)

 

【日立「真空チルド」XGシリーズ 検証02 野菜室】

炭酸ガスで野菜を眠らせて鮮度をキープ!

「『新鮮スリープ野菜室』も、炭酸ガスが自動生成されるすごい技術を搭載しています。新『プラチナ触媒(ルテニウム配合)』で、炭酸ガスの生成をよりアップ。これは、炭酸ガスの濃度が高いと、野菜の気孔が閉じて呼吸活動が低下し、野菜が眠っているような状態になって劣化が止められるという原理です。もともと、炭酸ガスは食材の鮮度維持に使われているものなので、信頼感はありますね」(戸井田さん)

↑のしくみ
↑「新鮮スリープ野菜室」の仕組み

 

検証モデルその4

野菜の鮮度にこだわった、野菜室が真ん中のシリーズ

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東芝
「べジータ」FWXシリーズ
GR-M510FWX509L
実売価格34万3440円

冷蔵庫の中段に使用頻度の高い野菜室をレイアウトした「ベジータ」の新モデル。野菜の乾燥を防いでうるおいを閉じ込める「ミストチャージユニット」を採用した「もっと潤う  摘みたて野菜室」で、野菜の保存性が高まりました。

【SPEC】●サイズ/質量:W650×H1833×D699mm/117kg●容量:509L(冷蔵室 260L/野菜室 112L/製氷室 20L/冷凍室 117L)●ドア開閉タイプ:両開き(フレンチ)●ドア数:6ドア

 

【東芝「べジータ」FWXシリーズ 検証01 冷蔵・冷凍】

「速鮮チルド」の冷却速度がアップし、一気に冷やす!

「新モデルは、凍らせずに鮮度維持ができる冷却モード『速鮮チルド』の冷却スピードをより速くすることで、一気に中まで冷やして鮮度とおいしさがキープできるようになりました。また、新設の『解凍』モードでは冷凍食材を入れておくと30分で切れるようになるので、調理に少量だけ使いたい時に重宝します。『野菜そのまま冷凍』や『ドライモード』など、野菜を下ゆでせずに冷凍できる機能も魅力的。チルド室が上下2段で、収納しやすくたくさん入るのもポイントです」(戸井田さん)

↑上が「速鮮チルド」、下が従来チルド。速鮮チルドが一気に冷えています
↑チルドルームのイメージ。「速鮮チルド」モードは冷却スピードが約20%アップ

 

【東芝「べジータ」FWXシリーズ 検証02 野菜室】

「うるおい自動補給」で95%の高湿度をキープ

「野菜室が真ん中に配置されているのが東芝の特徴で、料理をする人にとっては使いやすい冷蔵庫です。10年以上前は、野菜室が中央の冷蔵庫が主流だったので、買い替えによってレイアウトが変わるのがイヤという人にはオススメ。また、高湿度95%以上をキープすることで野菜のうるおいを保ちつつ、庫内を3~5℃の低温にして、野菜を休眠状態のまま鮮度を維持します。雪室で野菜を保存して冬を越す、という昔ながらの知恵を生かした手法ですね」(戸井田さん)

「ミストチャージユニット」を採用。登山用ウェアなど高機能衣料と同じ働きをする「多孔質フィルムシート」をユニットに搭載しており、乾燥の一因となる冷気が野菜に直接当たることを防いで、野菜を潤す水蒸気だけを通すことで野菜室の保存環境を向上させます。
↑新製品では、野菜室に「ミストチャージユニット」を採用。透湿性のある「多孔質フィルムシート」をユニットに搭載し、野菜を潤す水蒸気だけを通します

 

検証モデルその5

献立を提案してくれるIoT時代を象徴するIoT冷蔵庫

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シャープ

SJ-GX50D

実売価格37万5840円

チルドルーム内を清潔に保つ高密閉構造の「プラズマクラスターうるおいチルド」を新たに採用。人工知能とIoTを組み合わせたクラウドサービス「COCORO KITCHEN」に対応し、献立や食品保存方法などを教えてくれます。

【SPEC】●サイズ/質量:W685×H1833×D699mm/109kg●容量:502L(冷蔵室 259L/野菜室 73L/冷凍室 170L)●ドア開閉タイプ:フレンチドア●ドア数:5ドア

 

【シャープ SJ-WX50D 検証01 冷蔵・冷凍】

「ステンレスパネルなので、扉の開閉により温かい空気が入ると結露が起きやすく、その結露を活用して庫内の湿度を維持する仕組みがユニーク。寿司屋のネタケースのように、食材に冷気を直接あてずに間接的に冷やすので、食材が乾燥しにくく鮮度が維持できます。チルド室は高さ15cmで、500mlのヨーグルトカップもそのまま入れられ便利。『メガフリーザー』と銘打つだけあって、170Lの大容量冷凍室も特徴です。また、冷凍室が自由自在に仕切れる『4切り(しきり)名人』は秀逸! 大容量になっても、食品の整理整頓がしやすくて助かります」(戸井田さん)

↑
↑ステンレスパネルに吸着した湿気が庫内をうるおします

 

【シャープ SJ-WX50D 検証02 野菜室】

「うるおいガード」が野菜の乾燥を防ぐ

「野菜室全体のうるおいを保つ『うるおいガード』で、野菜室の湿度を維持。左右上下背面の5面からの輻射冷却で、雪下保存のような安定した低温高湿を実現し、野菜の鮮度を維持しています。野菜室が真ん中にあり収納がしやすいのも魅力。ただし、野菜室自体の容量はコンパクトなので、野菜はこまめに買いに行く人に向いています」(戸井田さん)

↑「うるおいガード」で
↑「うるおいガード」が野菜室全体をすっぽり覆って乾燥を抑制。野菜をどこに入れても、みずみずしさが約2.5倍長持ちします