【テストその6 独自機能/設置性は?】
「独自機能」は各炊飯器に搭載されている、ごはんのおいしさにつながる独自の機能や技術、炊飯のバリエーションを広げる機能などをチェックします。また、使い勝手向上やお手入れの手間を省く便利機能も見ていきます。
「設置性」に関しては、横幅と奥行き、重さを確認します。また、炊飯中の蒸気の出方もチェック。さらに、設置性を高める独自の工夫があれば、それもチェックしていきます。
<独自機能>
本物の土鍋を使い、「多孔質」の良さを活かしているのが最大の独自機能
本機の独自性は、なんといっても本物の土鍋を使っていること。しかも、伊賀焼の人気炊飯用土鍋「かまどさん」を電気炊飯器用に調整したものを採用しています。先の「食感と味」の項でも触れましたが、本機の土鍋は“呼吸する”のが特徴。三重県の伊賀でとれた古琵琶湖層の土を使用しており、焼成の際に土に含まれた微生物の化石(遺骸)が焼け、土鍋の中に細かな気孔が多く生まれます。この気泡が炊飯時の蓄熱性を高め、同時に炊飯後の土鍋内の湿度を絶妙に調節してくれるのです。
ただし、この土鍋を使うには、課題も多かったとか。ひとつは発熱効率の高いIHが使えないこと。IHを使うには、土鍋の中に発熱するための金属を埋め込んだり、金属を土鍋に溶射したりする必要がありますが、それだと土鍋の孔がふさがれて、呼吸できなくなります。そのため、本機ではあえて昔ながらの加熱機器である「シーズヒーター」を採用。さらに、土鍋内の水温を検知し、適切な炊飯制御をするための温度センサーを土鍋に装着しました。
また、蓄熱性の高さゆえ、短時間で温まりにくく冷めにくい土鍋内を急速に高温化するために、プログラムに予熱工程を加えたり、蒸らし工程で熱が入りすぎるのを防ぐために本体下部に冷却専用ファンを搭載したりしています。このような、他の炊飯器にはない機能を結集することで、本格的な土鍋炊飯の電気化を実現したわけですね。
乾燥モードが便利なほか、玄米が驚くほど美味しく炊ける
一方、使い勝手の面では、土鍋の乾燥機能を搭載している点に注目です。「メンテナンス」の項でも触れたように、土鍋は毎回しっかり乾燥させることが不可欠ですが、本機には「乾燥モード」があるので、ボタンひとつでしっかり乾燥できます。30分経ったら土鍋を取り出して裏返し、残った湿気を飛ばせばOKです。これまで土鍋直火で乾燥の作業を負担に感じていた人こそ、そのメリットを感じることができるでしょう。
もうひとつ、独自機能と言うべきかはわかりませんが、本機は玄米がとてもおいしく炊けます。玄米1合を仕上がり「ふつう」で炊飯すると、炊き上がりまで86分かかりましたが、米を洗ってすぐ炊飯し始めたのに、玄米としては驚くほどふっくら柔らかく炊き上がりました。
<設置性>
本体と土鍋の大きさ・重さが購入のハードルになりそう
本機でメンテナンス性とともに購入の際のハードルになりそうなのが設置性です。3合炊きタイプながら直径は約30cm、重さは土鍋を含めて約7.6kgと、5合炊きタイプと比べても、かなり大きく重いです。本体に取っ手がついていないので、炊飯のたびに収納場所から取り出すのではなく、設置場所をあらかじめ決めておくほうが現実的でしょう。
さらに、本機は炊飯中に蒸気をかなり放出します。特に玄米炊飯の際は、かなりの蒸気が出ますので、レンジ棚など天井の低い場所に置くのは避ける必要があります。ただし、デザインは黒~グレーのモノトーンで統一され、かなりスタイリッシュ。「見せ家電」として、対面式キッチンやテーブルの上に堂々と置いておくのもオススメです。