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2018/9/18 19:42

文字通りの「逆転の発想」が突破口に! 日立エアコン「白くまくん」が自動おそうじ「最後の牙城」をついに攻略

エアコンはホコリとの戦い。内部にたまったホコリが湿気を含み、それがカビの温床となってあのクサ~い風が吹き出す原因となるのです。いくら空気清浄機を使ったとしても、エアコンから部屋中にカビの菌をばらまいているのであれば意味がない……。そのため、メーカー各社は近年、エアコン内部もクリーンに保つ機能の開発に取り組んでいます。

 

いち早く内部の清潔性に取り組んできた日立「白くまくん」

なかでも、内部の清潔性にこだわってきたのが日立ジョンソンコントロールズ空調の「白くまくん」シリーズです。2000年には、ユーザーが自分でフィルターや熱交換器を掃除しやすいよう「クリーン全開パネル」を搭載。2006年にはエアコン内部のカビを防止するためプラスチック部分にステンレスフイルムを貼り付けるとともに、フィルターの自動清掃ロボットを搭載した「ステンレス・クリーンシステム」を採用。

 

そして昨年2017年の10月、ホコリ・カビの温床である熱交換器を自動でお掃除する「凍結洗浄」を開発・搭載しました。

↑日立の大きな特徴が、ステンレス・クリーン システム。昨年にはついに「凍結洗浄」という画期的なシステムを導入して業界の度肝を抜きました

 

ついに最後の牙城「ファン」の自動掃除に成功!

↑「最後に残っていたファンの自動洗浄に成功した」と日立ジョンソンコントロールズ空調の飯塚COO

 

「しかし、最後に(掃除できないものが)1つだけ残っていたのです。それがファン」と、日立ジョンソンコントロールズ空調の飯塚愼一COO。エアコンに空気を取り込み、冷風・暖風を放出する役目を持つファンは熱交換器の内側に位置するため手が届かず、ユーザーが自分で掃除できない場所です。

 

その最後の牙城ともいうべきファンの自動掃除に、とうとう日立は成功したのです。「これがクリーンの最終形。ファンを自動掃除することでエアコン内部がすべてきれいになる」と飯塚COOは胸を張りました。

↑日立の調査によると、ファンの汚れを気にしている人はなんと59%。目に見えないところだけに不安が高まっているようです

 

↑実際にファンは汚れています。2年間使用したエアコンのファンが発表会場に展示してありましたが、たった2年でこんなにもホコリだらけ

 

ファンを掃除するロボットの設置スペースがないのが課題だった

しかし、この「ファンの自動掃除」の実現にはいくつものハードルがあったそうです。そもそもファンと熱交換器の間隔は狭く、その隙間にファンのホコリを取り、取ったホコリを集め、捨てる、という一連の行程をこなす機械を搭載しなければなりません。さらにはそれらの機器をクリーンに保つシステムも必要。しかし、フィルターに搭載しているような自動お掃除ロボットを組み込むスペースなんてありはしない……。

 

「逆転の発想と、凍結洗浄を進化させた新しい機構、『凍結洗浄 ファンロボ』で解決しました」(飯塚COO)。

 

「逆転の発想」とは何か、「凍結洗浄 ファンロボ」とは何か、開発の経緯を以下で見ていきましょう。

↑狭いエアコン内部でホコリを取って/集めて/捨てて/お手入れするという難しい課題が立ちはだかりました

 

↑課題を克服したのが「凍結洗浄 ファンロボ」

 

掃除するのは、ファンの先端のみでいいことが判明

まず、同社はファンにホコリが付着するメカニズムを解析してみることにしました。ファンを回すと、羽に沿って空気が流れていくのですが、その時、羽の先端に流速がゼロになる淀みが生まれます。そこにホコリが流れてくるとそのまま付着して堆積していき、先端以外は流速が速いのでホコリが付着しません。つまり、ファンの先端だけをきれいに保つ仕組みがあればよいことが分かったのです。

↑ファンのホコリは先端にだけつくことが分かったので、先端だけブラシで掻き取ればよいのです

 

ブラシを設置し、ファンを逆回転させたのが逆転の発想

そこで、ファンと熱交換器との隙間に、ファンの先端を掃除する可動ブラシを設置しました。次に、ブラシが掻き取ったホコリを集める方法ですが、ここからが逆転の発想です。そのままファンを回してしまうと、掻き取ったホコリは風と一緒に室内に排出されてしまいます。これこそ、避けるべき最悪の事態ですね。

 

そこで、ファン掃除のときには「ファンを逆回転させる」ことにしたのです。これにより、ホコリはエアコン内部に吹き飛び、ファンを取り囲む熱交換器に付着するか、その下にある水受け皿に落ちます。

↑ブラシで掻き取ったファン先端のホコリは、ファンの逆回転で巻き起こった風で熱交換器と水受け皿に飛ばされます

 

熱交換器に飛ばしたホコリは「凍結洗浄」で一気に落とす

その後、可動ブラシは熱交換器側に動き、熱交換器と接触。そのタイミングで凍結洗浄を始めると、熱交換器のホコリ、ファンから飛んできたホコリ、可動ブラシ先端についたホコリ・汚れが凍結し、一気に解凍することで洗い流され、ドレン水として屋外に排出されます。これが「凍結洗浄 ファンロボ」の仕組み。洗浄後はしっかり乾燥させるので、ファンおよび熱交換器にホコリ・汚れが再付着することはありません。

↑ファン掃除のあと、ブラシは反転して熱交換器にくっつき、熱交換器と一緒に凍結。解凍した水で熱交換器とファンブラシの汚れを一気に洗い落とします

 

↑熱交換器が凍結した様子。約30分で全面に霜が付き真っ白になっています

 

【動画】

「凍結洗浄」の解凍した水で汚れを洗い流す様子。霜を一気に解凍することで、霜が水となって滴り落ち、ホコリと汚れを一緒に洗い流します。

 

凍結洗浄は自動で行われるのがうれしい

なお、ブラシがファンを掃除する時間はわずか5秒程度。基本的に、その後の熱交換器の凍結には約30分、解凍・乾燥に約60分かかります。凍結洗浄は約42~84時間おきで自動で行われ、独自のセンシングデバイス「くらしカメラAI」により、部屋に人がいない時間帯を見計らって洗浄します。

 

また、「くらしカメラAI」がエアコンとキッチンが近いことを認識すると、エアコン内部の油汚れが多くなると判断し、自動で凍結を2回繰り返し、念入りに汚れを落とします。お掃除のタイミングや頻度もエアコン任せでいいなんてうれしいですね。

そんな「凍結洗浄 ファンロボ」を搭載した「白くまくん Xシリーズ」は10月末の発売。市場想定価格は、冷房能力2.2kWモデルが25万円前後、2.8kWモデルが27万円前後、4.0kWモデルが30万円前後、5.6kWモデルが32万円前後など(いずれも税別)。

 

フィルターお掃除ロボット搭載のエアコンを購入したことで、エアコン内部が全てキレイになったと思っているユーザーは多いはず。しかし、フィルターをかいくぐったホコリはエアコン内部に侵入し、ファンや熱交換器に付着してカビの温床となります。専門業者による定期的なエアコン洗浄が推奨されていますが、白くまくんの新Xシリーズはその手間を大幅に省いてくれそうですね。