ドライヤーといえば、かつては温風が出ればよしとされ、価格も3000~4000円で買えるものがほとんどでした。ところが近年は、イオン、大風量、速乾機能を搭載するなど年々高機能化し、今や1万円超えも当たり前に。この流れを牽引したのが、パナソニックとダイソンです。
パナソニックは2005年に発売した高級ドライヤー「ナノケア」シリーズが売れに売れ、2018年4月に国内累計販売台数1000万台を突破。一方のダイソンの「Dyson Supersonic(スーパーソニック)ヘアードライヤー」も2016年の登場以来、4万円を超える高価格にもかかわらず、「ナノケア」に追随する人気を誇っているのです。
この2台はいずれも高機能ですが、見た目も特徴も大きく異なるため、「どちらがいいのかわかりにくい!」と感じている人も多いはず。そこで今回は、この2台のドライヤーを「乾燥性能」「使い勝手」「独自機能」の視点で徹底分析。今回は、基本性能である「乾燥性能」からチェックしていきましょう。
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エントリーその1
ナノイーとダブルミネラルマイナスイオンで乾かしながら“髪質改善”が可能
↑画像と製品名クリックで最新の楽天市場の価格情報ページにジャンプします(以下同)
パナソニック
実売価格1万9520円 ※価格はすべて編集部調べ
ミネラルマイナスイオンを発生させ、髪を乾かしながら“髪質改善”できるヘアードライヤー。パナソニック独自の微粒子イオン「ナノイー」と2つの亜鉛電極から発生するミネラルマイナスイオンがキューティクルを引き締め、髪の摩擦ダメージや紫外線の影響を抑えて、しっとりまとまる髪へと導く。毛先集中ケアモードからスカルプモード、スキンモードなど、地肌から毛先、肌までケアできるモードを搭載。
SPEC●サイズ/質量:W214×D92×H228mm/約575g(セットノズル含まず)●消費電力/1200W(ターボ時/ホット時)●風量/約1.3㎥/分(ターボ時)●コード長/約1.7m●付属品/セットノズル
エントリーその2
高圧・高速気流で髪の根元から毛先まで優しく速乾
ダイソン
Dyson Supersonic Ionic(ダイソン スーパーソニック イオニック)
実売価格4万8600円
コンパクトながら一般的なドライヤー用モーターの最大8倍速く回転する「ダイソン デジタルモーター V9」を搭載。過度の熱ダメージから髪を守るため、温風の最高温度は100℃に抑えつつ、取り込んだ空気を3倍に増幅し、高圧・高速気流の風が髪の根元から毛先まで速乾する。さらに髪の温度が上がりすぎないための「インテリジェント・ヒートコントロール」機能を搭載するなど、髪へのダメージを抑える機能があるのも特徴だ。
SPEC●サイズ/質量:W78×D97×H245mm/約630g●消費電力/1200W(最大)●風量/約2.4㎥/分●コード長/約1.9m●付属品/ダイソン スムージングノズル、ダイソン スタイリングコンセントレーター、ダイソン ディフューザー
ドライヤー比較 テスト内容はコチラ
ドライヤーの基本機能として重要なのが、乾燥力。スピーディーに乾燥できるのはもちろんのこと、頭皮や髪が熱くなりすぎないか、乾燥後に髪がまとまりやすいかなどもチェックしました。
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エントリーその1
風量、風速を上回る「速乾ノズル」の速乾性を実感
「ナノケア」の風量はスペック上では約1.3㎥/分と、決して大風量というわけではありません。しかしノズルに採用した「速乾ノズル」は、内側にある2つの穴から強風を、それ以外の部分から弱風を吹き出すことで、素早く毛束をほぐすため、乾燥性能がアップするといいます。
さっそくターボ運転で髪を乾かしてみると、決して勢いが強いわけではないものの物足りなさもなく、平均的な印象です。顔周りに使ってみたところ、なびくように広がる髪と、勢いよくまっすぐ飛んでいく髪があり、なるほど強弱の風を吹き分ける速乾ノズルの効果を実感しました。
今度は根元に風を当ててみました。すると、角度によっては髪がかき上げられて地肌が見える部分はありますが、必ずしも根元にピンポイントにアプローチするわけではなさそう。根元をしっかり乾かしたいときは、手を使って髪をかき分けるか、「スカルプモード」を使うといいかもしれません(続編記事にて詳述)。
乾燥時間は平均で6分~6分30秒で、風がやや熱く感じる
風速計を使い、ドライヤーの先端から10㎝離した状態で計測すると、平均で12m/秒を記録しました。また頭皮が熱く感じることが多かったので温度を測ってみると、もっとも高いときで90℃。髪が傷み始める温度が100℃~125℃といわれているため、髪への影響はなさそうですが、やや熱く感じたため、同じ場所を当て続けず、こまめに動かしたほうがよさそうです。
なお髪が細くてセミロングの筆者の髪の乾燥時間は、平均で6分~6分30秒。手ぐしで乾かした後、ブラッシングしたところ、トリートメントしたようにキレイにまとまりました。
エントリーその2
ダイソン
地肌丸見え! 乾きにくい根元を一気に乾かす風速がスゴすぎる
「スーパーソニック」の風量は2.4㎥と圧倒的。モーター部が取り込んだ空気を3倍に増幅し、高圧・高速気流を生み出すほか、吹き出される風に20度の傾斜をつけることで、狙った場所に風を送ることができるのが特徴です。
実際に髪を乾かしてみると、とにかく風速がスゴい! 2㎥/分を超える大風量ドライヤーはほかにもありますが、この速さは経験できません。顔周りに当ててみると、髪が勢いよく後ろに飛び、広がらずにうねっています。続いて、髪の根元に当ててみると、ぱっくり割れて地肌が丸見え(笑)。手でかき分けることなく、完全に根元まで乾かせました。
乾燥時間は5分と圧倒的! 熱さを感じることはほとんどなし
こうなってくると楽しみなのは風速の数値。風速計で測ってみると、さすが! 21.4m/秒と、20m/秒を超える数値を記録しました。一方で温度は、上がっては下がり、上がっては下がりを繰り返し、もっとも上がっても70℃前後止まり。インテリジェント・ヒートコントロール機能が働いているようで、熱さを感じることはほとんどありません。なお本機は、風量は3段階で設定が可能なので、強すぎると感じたら調節すればOKです。なお、温度は3+1(コールドショット)段階で設定が可能。
肝心の乾燥時間は、筆者の髪で平均5分前後と、筆者の中で新記録! ただし細くてもつれやすい髪質のため、手ぐしだけで乾かした後にブラッシングすると、ブラシが引っかかって大変でした。風量を調節して、乾かしながら整えていったほうがよさそうです。
ドライヤー比較 検証のまとめ
乾かす速さではダイソンが圧倒的! パナソニックはまとまりやすさが際立つ
もともと風量で約2倍の違いがあったパナソニックとダイソンですが、実際に使ってみても、その差は歴然。ダイソンは風量だけでなく風速も強いため、根元までしっかり乾かすことができ、大きな時短につながりました。とはいえパナソニックも、風量が平均的だったにもかかわらず、「速乾ノズル」の効果か、短時間で乾かせたのは驚きです。
乾燥の過程にも大きな違いがありました。ダイソンは根元がしっかり乾かせる半面、風が全体に広がりにくいため、根元が乾いたあとも毛髪が湿っていましたが、パナソニックは速乾ノズルが髪をほぐしながら乾かすため、根元より毛髪全体が乾かしやすいようです。乾燥後にまとまりやすかったのはパナソニック。これはミネラルマイナスイオン(続編記事にて詳述)の影響か、または速乾ノズルが髪をほぐしながら乾かした効果でしょう。
「速乾性」と、スタイリングに立体感をもたらす「髪の根元の立ち上がり」を重視する人はダイソン、多少時間はかかっても、「髪の毛全体の乾燥」と、「まとまり」を重視する人はパナソニックを選ぶといいようです。
パナソニック ヘアードライヤー「ナノケア」 EH-NA9Aの最新の価格情報はコチラ
ダイソン Dyson Supersonic Ionicの最新の価格情報はコチラ
次回は、「使い勝手」編。使いやすさや収納しやすさ、お手入れのしやすさを検証します!
【以降の連載記事はコチラ】
第2回 【2018年版】パナvsダイソン 2大高級ドライヤーの「使い勝手」を徹底比較!
第3回 【2018年版】パナvsダイソン 2大高級ドライヤーの「独自機能」を徹底比較!
第4回 【2018年版】パナvsダイソン 2大高級ドライヤー「3項目徹底比較」の最終結論
協力:楽天市場