高級ドライヤー市場で人気を二分するパナソニック「ナノケア」とダイソン「Dyson Supersonic Ionic(スーパーソニック イオニック)ヘアードライヤー」。ここまで3回にわたってお送りしてきた両者の検証企画も、今回で最終回。第1回では「乾燥力」、第2回では「使い勝手」、第3回では「独自機能」を検証してきましたが、今回はこれらの結果をまとめたダイジェスト版をお届け。最後に、どちらのドライヤーがどんな人に合うのか、ユーザー像を考察していきましょう。
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エントリーその1
ナノイーとダブルミネラルマイナスイオンで乾かしながら“髪質改善”が可能
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パナソニック
ヘアードライヤー「ナノケア」 EH-NA9A
実売価格1万9520円 ※価格はすべて編集部調べ
ミネラルマイナスイオンを発生させ、髪を乾かしながら“髪質改善”できるヘアードライヤー。パナソニック独自の微粒子イオン「ナノイー」と2つの亜鉛電極から発生するミネラルマイナスイオンがキューティクルを引き締め、髪の摩擦ダメージや紫外線の影響を抑えて、しっとりまとまる髪へと導く。毛先集中ケアモードからスカルプモード、スキンモードなど、地肌から毛先、肌までケアできるモードを搭載。
SPEC●サイズ/質量:W214×D92×H228mm/約575g(セットノズル含まず)●消費電力/1200W(ターボ時/ホット時)●風量/約1.3㎥/分(ターボ時)●コード長/約1.7m●付属品/セットノズル
エントリーその2
高圧・高速気流で髪の根元から毛先まで優しく速乾
ダイソン
Dyson Supersonic Ionic(ダイソン スーパーソニック イオニック) ヘアードライヤー
実売価格4万8600円
コンパクトながら一般的なドライヤー用モーターの最大8倍速く回転する「ダイソン デジタルモーター V9」を搭載。取り込んだ空気を3倍に増幅し、高圧・高速気流の風が髪の根元から毛先まで速乾する。さらに「インテリジェント・ヒートコントロール」機能を搭載し、過度の熱ダメージから髪を守るため、温風の最高温度は100℃に抑えるなど、髪へのダメージを抑える機能があるのも特徴だ。
SPEC●サイズ/質量:W78×D97×H245mm/約630g●消費電力/1200W(最大)●風量/約2.4㎥/分●コード長/約1.9m●付属品/ダイソン スムージングノズル、ダイソン スタイリングコンセントレーター、ダイソン ディフューザー
【検証のまとめ】
<乾燥力>
髪への負担を抑えつつ、いかに速く乾かすか?
ドライヤーを選ぶ際、もっとも気になるのが「しっかり髪が乾かせるか」ではないでしょうか。風量が弱すぎると乾くまで時間がかかり、腕が疲れてしまいます。さらに根元が乾ききらないと、頭皮のニオイの原因になることも。一方で、風温は高いほうが速く乾きますが、髪が傷みやすくなり、頭皮への負担にもなります。髪や頭皮への負担を減らしつつ、「乾燥力」を高めるために両メーカーはどのような機能を搭載したのか。以下でチェックしていきましょう。
パナソニックは想像以上の速乾力で、仕上がりのまとまり感もある
近年、各メーカーのドライヤーの風量も高まっており、2.0㎥/分を超える大風量ドライヤーも珍しくありません。しかし、この「ナノケア」の風量は約1.3㎥/分と一般的であるため、乾燥時間もそこそこかかるのでは? と思いましたが、実際は、髪が細くてセミロングの筆者の髪で乾燥にかかった時間は平均6分~6分30秒。2.4㎥/分と業界No.1の風量を誇るダイソンの乾燥時間(平均5分)の1.2倍程度と、意外な速乾性を発揮しました。
それを可能にしたのが「速乾ノズル」。1つのノズルから、強風と弱風を同時に吹き出すことで、毛束が自然とほぐれ、髪の間に温風が入り込みやすい効果があるようです。一方、髪を乾かすときに使うドライまたはターボ運転でも、温度を測ってみると最高で90℃と、髪を傷めない温度で安心。ただし地肌に当て続けると熱く感じるので、地肌を乾かすときは「スカルプモード」を使えばOKです。
総じて、「ナノケア」は大風量ではありませんが、速乾ノズルの働きで思った以上に髪の乾きが早く、風が広がりにくい印象。ミネラルマイナスイオンの影響か、ブローをしなくてもしっとりまとまりました。
パナソニック ヘアードライヤー「ナノケア」 EH-NA9A
髪を傷めず1秒でも速く乾かしたいなら、間違いなくダイソン!
ダイソンのドライヤーといえば、圧倒的な風量・風圧で知られていますが、改めて「ナノケア」と比べると、「すごすぎる!」の一言。前述のように風量2.0㎥/分を超える大風量なドライヤーは増えていますが、中には風が広がってしまい、結果的に髪や地肌をしっかり乾かせないものもあります。
その点ダイソンは、気流をコントロールしていて高圧の風がピンポイントで髪や地肌に届くため、ムダがない! 結果的に、圧倒的に短い時間で髪を乾かしてくれます。しかも、ダイソンは、温度が上がりすぎると自動で温度を下げるインテリジェント・ヒートコントロール機能を搭載しているため、多少風が地肌に当たっても熱く感じることはほとんどありません。これなら髪を傷める心配もなさそうです。
先述しましたが、乾燥にかかった時間は平均で5分。筆者にとっては“史上最短”で髪を乾かすことができました。速乾性では文句なしにNo.1です!
ダイソン Dyson Supersonic Ionic ヘアードライヤー
<使い勝手>
取り回しや収納のしやすさをチェック!
ドライヤーはほぼ毎日使うため、取り回しが悪かったり、収納しづらかったりすると、不便さを感じてしまいます。使い勝手がいいのは、どちらのドライヤーなのか、振り返ってみました。
パナソニックはモード選択に慣れが必要だが、コンパクトに収納できる
パナソニック「ナノケア」はオーソドックスな形状で、ヘッド部分がやや大きいため、頭頂部など高い位置を乾かすときは、少々腕が疲れることも。操作面では、普通に髪を乾かすぶんには、ハンドル部の電源スイッチレバーをターボかドライに動かすだけ。取扱説明書を読まなくてもスムーズに操作できました。
ただ「ナノケア」には、温風と冷風を交互に出す「温冷リズムモード」をはじめ、髪や地肌を労わる様々なモードがついているのが特徴。これらを使いこなすには、いくつかの操作の組み合わせが必要になります。レバーの位置によって切り替えられるモードが違うなど、その操作は見ただけではわかりにくく、さらに「こういうときは、どのモードがいいんだっけ」と迷うこともありました。ただし、それも多機能さの裏返し。操作に慣れてしまえば、多彩なモードを使いこなす楽しみがあります。
一方、収納力は優秀で、ハンドル部が折り畳めるため、大きいながらもコンパクトに収納が可能。コードの付け根にフックにかけられるリングもついています。いずれも一般的な仕様のため、前に使っていたドライヤーをしまっていた場所に、そのまま入れられる人も多いのではないでしょうか。
パナソニック ヘアードライヤー「ナノケア」 EH-NA9A
ダイソンは収納スペースの確保が必要だが、重心バランスがよく取り回しやすい
対してダイソンは、電源を入れたら風量と温度をそれぞれ3段階で変えるだけと操作もシンプル。そもそも本体の機能自体がシンプルだから、ということもできますが、いずれにしても操作に迷いはありません。
このユニークな形状は、取り回しやすさにもつながっています。ヘッドがハンドルの中心に乗っているため重心バランスがよく、安定感があります。またヘッドが短くコンパクトなので、頭頂部を乾かすときも大きく腕を上げる必要がなく、しかもドライ時間も短いため、疲れにくいというメリットもありました。
このようにコンパクトなので収納しやすいかと思いきや、こちらはハンドルが折り畳めないぶん、収納場所には「長さ」があるスペースが必要。また、コードが太くて弾力があるため、まとめにくい印象です。また付属している3つのノズルのうち、1つ(ダイソン ディフューザー)がとても大きいので、こちらも収納場所を確保する必要があります。
ダイソン Dyson Supersonic Ionic ヘアードライヤー
<独自機能>
単に髪を乾かすだけではない機能をチェック
パナソニックとダイソンのドライヤーは、スペックだけでなく、付加機能にもこだわりが。髪に潤いを与える機能やアタッチメントなど、単に髪を乾かす以上の独自機能をチェックしてみました。
髪と地肌に潤いが欲しいなら、迷わずパナソニック
パナソニック「ナノケア」の人気の理由は、マイナスイオンの約1000倍以上の水分を含む「ナノイー」とミネラルマイナスイオンが、髪をしっとりと仕上げてくれるから。実際に使ってみても、使った瞬間に髪の手触りが変わり、トリートメントをしたように髪がしっとりまとまるのを実感しました。
さらに「ナノケア」には、ナノイーとミネラルマイナスイオンをベースに、温風でクセを伸ばし、冷風で固める「温冷リズムモード」や、パサつきがちな毛先をケアする「毛先集中ケアモード」など、髪をよりつややかに仕上げるモードも搭載。また髪だけでなく、地肌やお肌の潤いを保つモード(スカルプモード、スキンモード)も備え、従来の“ドライヤー”とは一線を画した「美容家電」であると感じました。
パナソニック ヘアードライヤー「ナノケア」 EH-NA9A
ストレートからゆるふわまで、ヘアセットを楽しむならダイソン
ダイソンのドライヤーは、本体自体の機能はシンプルですが、3つのノズルを使いこなせば多彩なヘアスタイリングが楽しめます。そもそもダイソンは風圧が高いため、髪にテンションをかけながら風を当てると、キューティクルが整ってツヤが出せるのが特徴。「ダイソン スタイリングコンセントレーター」や「ダイソン スムージングノズル」を使えば、ピンポイントを狙って強い風が当てられるので、セット力がアップします。
また、パーマヘア用の「ダイソン ディフューザー」は、実は動きのあるヘアスタイルを作るのが得意でした。ストレートヘアの人も、髪を巻きながらダイソン ディフューザーの風を当てることで、いつもと違ったスタイルも楽しめます。ダイソンは、髪を美しく整える「ヘアセット力が高いドライヤー」といえそうです。
ダイソン Dyson Supersonic Ionic ヘアードライヤー
<検証の結論>
以上、3回にわたる検証の結果から、パナソニックとダイソン、それぞれのドライヤーをおすすめしたいユーザーは以下の通りになります。
【パナソニック】
ダメージケアと自然なまとまりを重視し、オーソドックスなモデルを求める人に
ナノイーとミネラルマイナスイオンが髪に水分を与え、しっとりまとまりのある髪に仕上げてくれる「ナノケア」は、パーマやカラー、エイジングなどによる髪の傷みやパサつきが気になる人にピッタリ。特に髪が長い人は、静電気や紫外線の影響を受けやすいですが、「ナノケア」がこれらの影響を抑えて髪の広がりをセーブし、清潔感を与えてくれます。スキンモードを搭載し、肌のケアができるのも大きな魅力。単なるドライヤーではなく、「美容家電」としての価値を重視する人にオススメです。風量のわりに乾燥時間も早く、基本的な使い方や収納方法は従来通りなので、いままでのドライヤーを手軽にアップグレードしたい人も選びやすいモデルといえるでしょう。
パナソニック ヘアードライヤー「ナノケア」 EH-NA9A
【ダイソン】
速乾性とヘアセット力を重視し、斬新なモデルを求める人に
取り回しがよく、とにかく短時間で髪を乾かしたい人に! その速乾性は、髪が長い人はもちろん、髪が短い男性やショートヘアの女性でも十分に実感できます。また、ピンポイントの強力な送風で髪の立ち上げを促すほか、テンションがかけやすく、ヘアセットに効果的なノズルが付属することもあって、自分でスタイリングを追求したい人には楽しいアイテムとなるはず。また、髪を傷めにくい温度の風で乾かすため、すでに傷んでしまった髪というより、傷みを予防したい人に向いています。このほか、ダイソンならではのスタイリッシュなデザインも魅力で、サニタリー空間をおしゃれに演出したい人にも◎。従来のドライヤーというよりは、「いままでにないモノ」がほしい方にオススメですね。
ダイソン Dyson Supersonic Ionic ヘアードライヤー
こうして見ると、見事に対照的な結果となりました。異なる魅力を持つ両モデル、自分へのごほうびに、パートナーへのプレゼントに、ぜひ検討してみてください!
協力:楽天市場
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第1回 【2018年版】パナvsダイソン 2大高級ドライヤーの「乾燥力」を徹底比較!