温度コントロールを可能とするフラップとファンを新開発
この新しい使い方を実現するため、日立では大開口フラップと大風量ファンを新開発しました。引き出し上下2段を冷凍室にした場合、さらに中段の製氷室と小型冷凍室を加えると256Lの大容量を約-22℃の冷凍状態まで冷やす必要があります。その点、新開発の大風量ファンにより、冷却器の冷気を全体にすばやく回すことでこれを解決しました。
一方、野菜室は約6℃と高い温度にする必要があるため、大開口フラップを閉じて冷気が直接庫内に流入するのを防ぎ、冷却器からの伝熱だけで箱の外から優しく冷却。冷気が直接庫内に流入しないので野菜の乾燥も防げます。
「真空チルド」ではなく、新たな2つの機能を搭載
新モデルにはさらにもう一つの大きな変更点があります。上段の大きな冷蔵室全体を約2℃に保つ「まるごとチルド」機能、冷蔵室最下段には約-1℃の「特鮮氷温ルーム」を搭載しました。
これまで同社では、「真空チルド」機能を一番の特徴としてアピールしてきました。いまや日立冷蔵庫の代名詞となっている「真空チルド」は、密閉したチルドルームを約0.8気圧の真空環境にし、食品の酸化と乾燥を抑えて新鮮さを保つ人気機能。ただ、もともと肉・魚用に開発されたチルドルームにもかかわらず、実際はさまざまな食品が詰め込まれていっぱいとなり、肉・魚が逆に冷蔵室に押し出される家庭も多いそう。一方、冷蔵室では週末に作り置きした惣菜を保存し、少しずつ4~5日かけて使い切るという、チルドルーム向けの使い方をする家庭も多いとのこと。つまり、チルドルームの大型化に対するニーズは高いのです。
そこで、日立では大容量の冷蔵室全体をチルド化。これまでも、約2℃設定の「うるおい低温冷蔵」機能はありましたが、広い庫内にさまざまな食材が詰め込まれるので、冷蔵室全体をムラなく約2℃に維持することは困難でした。しかし今回、風路設計を見直すことで冷却速度を改善。冷蔵室のどこに何を置いてもすばやく約2℃を維持できるようになったのです。傷みが気になる肉・魚は約-1℃の「特鮮氷温ルーム」に、それ以外は全部冷蔵室にと、これからはどこに入れたらいいのか悩む必要がなくなりますね。