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2019/7/18 21:15

日本酒のプロたちの思いが実った! 「あえて小さく開発した」日本酒セラー「SAKE CABINET」がついにお披露目

市場規模を考慮してクラウドファンディングを活用した

本機は先行して、クラウドファンディングサービスの「Makuake」でプロジェクトを開始(支援は現在終了)。1193万6080円と、目標の400%近い金額を集めたとのことです。では、なぜクラウドファンディングを活用したのでしょうか? その理由には、日本酒が置かれている状況も関係していました。

 

「それは、マーケットのサイズによるものです。私たちのリサーチでは、日本酒がすごく好きな方は約5万人。そのなかで、セラーを利用いただける超愛飲家の方は、1万5000~1万6000人ぐらいではないかと想定しました。弊社のような企業がその規模に向けた機器を作るとなると、なかなか実現は難しいのです」(アクア・経営戦略本部の永井千絵ディレクター)

↑アクア社・経営戦略本部の永井千絵ディレクター。「SAKE CABINET」開発チームのひとりです。新規事業として「日本らしい、日本から海外に発信できる家電を作れないか」という思いが、日本酒セラー開発のきっかけだとか

 

ワインセラーであれば、多くのメーカーから様々な機器が販売されています。一方、個人が購入できるクラスの日本酒セラーはこれまでありませんでした。それはワインに比べると、日本酒のディープな愛飲家が少ないから。そこで、発売前に需要を予測できて開発費用も補える、クラウドファンディングを活用したというわけです。

 

「これまで日本酒セラーがなかった理由には、技術的な部分もあるでしょう。セラー自体は、フリーザーの開発技術があれば作れます。ただ、マイナスの温度帯を一定に制御することは簡単ではありません。弊社はこれまで数々の筐体を作ってきましたから、その技術を日本酒向けに応用することで、小さなマーケットでも日本酒セラーを作ることができたのです」(永井さん)

↑一升瓶の縦置きが可能な構造になっているのもポイント。今後、庫内にQRコードを設けてアプリから読み込むことで、所有者限定の日本酒を購入できるシステムを構築していくそうです

 

マイナス5℃は研究者と蔵元が推奨する温度

設定温度に関しても聞いてみました。マイナス5℃が最適とのことですが、どうやって調べたものでしょうか。

 

「開発にあたっては、日本酒のプロフェッショナルの方にご協力をいただきました。ひとりは酒類学の最前線のひとつである東京農業大学醸造科学科微生物工学研究室の、数岡孝幸准教授。マイナス5℃で日本酒を保存するという方法は、日本酒の酒質、特にフレッシュさを維持するために有効であると教えてくれました。もうひとりは『伯楽星(はくらくせい)』や『愛宕の松(あたごのまつ)』などの人気銘柄を醸す宮城の老舗・新澤醸造店の蔵元杜氏である新澤巌夫代表。マイナス5℃での管理を実践している方で、本機の開発や『Makuake』での販売に際して多大な協力をいただきました」(永井さん)

↑新澤醸造店の代表・新澤巌夫さん。写真はSAKE COMPETITION 2016でのインタビュー時に撮影
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