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2019/8/9 20:30

洗濯機と乾燥機で74万円なり! 「あえてメニューは英語表記」のドイツ発・最新ラグジュアリーモデルを見に行った

ビルトインの食洗機やタフなクリーナーで知られるドイツの家電メーカー、ミーレ(Miele)が、ドラム式の洗濯機と衣類乾燥機を発表しました。「IMMER BESSER(常により良いものを)」という理念のもとで開発されるミーレの製品は、20年使えるともいわれ、世界中に愛好家がいます。果たして、その新製品は実際はどうなのか? 東京・表参道のミーレのショールーム「Miele Experience Center 表参道」で開催された発表会の模様を通してレポートしていきます!

↑新製品のT1衣類乾燥機TCJ680 WP(左) ●サイズ:W596×D636×H846~854mm ●乾燥容量:9.0kg ●ドアヒンジ:右  同じく新製品のW1洗濯機WC1660 WPS(右)●サイズ:W596×D636×H846~854mm●洗濯・脱水容量:9.0kg●ドアヒンジ:右

 

洗濯機、衣類乾燥機のセットで74万円とラグジュアリーな製品

W1洗濯機WC1660 WPS(以下、W1)と、T1衣類乾燥機TCJ680 WP(以下、T1)は、外観がほぼ同じで、それぞれ単体置きとビルトインの両方に対応します。W1は7月1日の発売で、価格は税別38万円(※)。T1は2020年初頭の発売予定で、価格は税別36万円です。W1とT1を両方導入すると税別74万円になります。

※W1は、9月30日まで税別34万8000円で購入可能なキャンペーンを実施中

 

W1やT1はマンションなどに備え付けの防水パンは規格が異なるため基本的に使えず、導入に際しては床下補強工事を勧めているとのこと。工事費用は住居によりけりですが、これらを含めるとトータルで100万円近い導入コストとなりそう。ラグジュアリーと呼んで差し支えない製品ではないでしょうか。

 

発売中の洗濯乾燥機「WT1」のデザインと洗剤自動投入機能を踏襲

なお、W1とT1は、すでに発売中の洗濯乾燥機「WT1」と併売になります。WT1では扉を閉じた時に洗濯槽の中が見えるデザインで、このデザインはW1とT1でも踏襲しています。

↑新製品を紹介する、ミーレのプロダクトトレーナー 和田博明氏

 

同様に独自の液体洗剤自動投入システム「TwinDos(ツインドス)」も引き続き搭載します。本体下部に2種類の専用カートリッジ洗剤をあらかじめセットしておくことで、適切なタイミングに適切な量を自動投入します。これとは別に本体左上にも洗剤の自動投入口があり、こちらにはウールの衣類やアウトドア用の衣類などに向けた専用カプセル洗剤をセットできます。

↑男のロマン、スケルトンモデルも展示していました。こちらは発売済みの洗濯乾燥機、WT1です。本体下部の洗剤自動投入ユニットなどは同じ構造とのこと

 

パネル周辺のボタンを廃し、ダイヤルとタッチ液晶で直感的に操作できる

WT1から変わった仕様の1つが正面の操作パネル。ダイヤルを回すと自動的に電源がONになり、モードを選ぶと液晶画面で細かく調整できる流れは同じですが、操作パネル周辺のボタンを排し、ダイヤルとタッチ液晶だけでより直感的に操作できるようになっています。

 

ちなみに、ダイヤルの周囲はメニューがすべて英語表記になっています。なぜ日本語表記にしないのか聞いたところ、そのほうがユーザーが「ミーレを使っている」という気分になって喜んでくれるため、あえて日本語で表示していないとのことでした。筆者に身近なものでたとえると、英文字しか刻印されていないPC用キーボードを導入し、玄人ぶって喜ぶのと似たような感じでしょうか。

↑W1ではダイヤルを回すと自動的に電源がONになります。現在ダイヤルがセットされている「Express 20」は早洗いのモード

 

もう1つ、大きな変更点として挙げられるのが、国内販売モデルとしては初めて「WiFiConn@ct」(ワイファイコネクト)機能を搭載したこと。スマートフォンの専用アプリ「Miele@mobile」と連携して、洗濯機の状態や電気代を確認したり、遠隔操作したりすることが可能です。

 

「帰宅時に洗濯が終わるようにタイマーをセットしたけれど、帰宅が早まったので洗濯の時間も変更したい」といった場合、スマートフォンから簡単に設定を変更できます。

 

洗濯物が傷まないドラム表面のハニカム模様

ミーレが特許を持つドラムの特徴が、ドラム表面の六角形が並んだハニカム模様です。ドラム表面と洗濯物の間に薄い水の膜ができて衣類がドラム表面を優しくすべり、直接ドラムに触れないので傷まないのだそう。また、ドラム内壁には小さな穴が空いており、突起になる部分がないため、衣類の繊維が引っかかることもありません。

 

また、シワになりにくいのも特徴で、絡み合っている衣類がほぐれてシワが伸びるため、アイロン掛けの手間が半分くらいに減るのだとか。

↑洗濯槽に目を向けると、ドラム表面に六角形が並んだハニカム模様になっています

 

「Delicates」モードだとバラの花がバラバラにならない!

発表会では、デリケートな衣類を洗濯する「Delicates」モードがいかに丁寧な洗濯をしているのかアピールしました。実際にネットにも入れずそのまま洗ったというバラの花を出し、花の形状がちゃんと残っている様子を記者たちに提示。和田氏いわく、「バラを洗っても、バラバラになりません」とのこと……。ダジャレはさておき、冗談抜きに機能はすごい!

↑バラの花を「Delicates」モードで洗濯。ここまで形が残るってすごい!

 

発表会には洗濯家の洗濯王子こと中村祐一氏と、今治市のオーガニックタオルメーカー「IKEUCHI ORGANIC」の社長・阿部哲也氏がゲストで登場しました。中村さんは、欧州では洗濯時にお湯を使うのが一般的で、お湯のほうが汚れが落ちやすいことを実験も交えて紹介。洗濯には機械力、洗剤力、時間、温度の4つの要素が重要で、衣類に適した洗濯は衣類を長持ちさせると力説しました。

↑ゲストで参加した洗濯王子の中村祐一氏(左)と「IKEUCHI ORGANIC」の社長・阿部哲也氏(右)

 

↑左のビーカーには温水、右のビーカーには冷水を入れ、オイルを付着させた布を入れて水をかき混ぜる実験です。洗剤は使っていません

 

↑左の温水に入れた布は油がかなり落ちているのに対し、右の冷水に入れた布は油がほとんど落ちていません。衣類は温水で洗浄したほうが汚れが落ちることがよく分かります

 

衣類乾燥機T1は消費電力を抑え、香りを付ける機能も備える

2020年初頭に発売予定の衣類乾燥機T1についても解説がありました。こちらはミーレの国内販売モデルとしては初めてとなるヒートポンプ式を採用。従来モデルと比べて、消費電力を半分以下に抑えられるとのこと。また、ドラム内にスチームを噴射して洗濯物のシワを伸ばす「SteamFinish」機能を搭載し、アイロン掛けの手間を減らします。「WiFiConn@ct」機能にも対応するほか、別売のフレグランスフラコンというコロンのカプセルを使って、衣類に香りを付ける「FragranceDos2」も備えています。

↑FragranceDos2の仕組み。洗濯物投入口の下部にブーメランのような器具をセットして、そこにある2つの穴に好みのカプセルを2つまで挿入できます

 

W1とT1を同時に使う場合は設置に注意

洗濯機のW1と衣類乾燥機のT1は個別で導入することももちろん可能ですが、2台導入することで、洗濯しながら乾燥することが可能になります。この点は、洗濯乾燥機にはないメリットですね。

 

…とはいえ、2台置く場合は2台分の設置スペースが必要になります。タテに積み重ねての設置も可能ですが、上に載せた方の操作パネルがそこそこ高い位置になるので注意が必要です。もっとも、2台併せて税別74万円。洗濯機が2台置けるくらいスペースに余裕のある家庭がターゲットになりそう。というわけで、これは余計な心配でしょうか?

 

なお、会場となった、表参道のミーレのショールーム「Miele Experience Center 表参道」は、地下1階がミーレの歴史を展示するミュージアム機能を備えています。階段を降りたところには創始者のカール・ミーレ氏とラインハルト・ツィンカン氏の銅像があり、創業間もなくに作られたクリーム分離器や、今では撤退した自転車、最初期の洗濯機や掃除機なども展示しています。一般来場者の見学も可能なので、興味のある人はぜひ一度見学してみては?

↑創業間もないころの自転車や、木製の洗濯機、タイヤではなくソリ式の掃除機、最初期のドラム式洗濯機などが展示されています

 

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