近年、調理家電の中でも人気を集めているのが、自動調理の無水鍋です。食材の持つ水分を活かし、旨味を凝縮したヘルシーな料理が手軽に作れる製品が各社から登場しています。なかでも「美味しい」と話題になっているのが、シャープの水なし自動調理鍋「ヘルシオ ホットクック」。今回、新たに一人暮らし世帯が使いやすい1.0Lの小容量タイプ「KN-HW10E」が登場しました。発売日は11月28日。市場想定価格は、税別4万5000円前後です。
従来製品の特徴はそのままに、設置幅を40%削減した一人暮らし用のモデル
シャープによると、自動調理鍋の市場が拡大してきたことで、2018年度はヘルシオ ホットクックの販売台数が約6万台に達し、前年比1.5倍の伸びを記録したといいます。2019年度は増税と軽減税率の後押しでさらに成長する見込みで、9月には累計20万台も突破。最終的には約10万台に達すると予測しているそう。
一人世帯や二人世帯の増加する昨今、ジャストサイズの分量が美味しく作れるラインナップの追加で、市場を活性化し、2023年には累計100万台を目指したいとしています。
従来のヘルシオ ホットクックは、1.6Lタイプと2.4Lタイプがあり、一人暮らしの環境では「出来上がりの量が多くて食べきれない」という課題がありました。食べきれない分はタッパーに入れて冷凍保存する手もありますが、美味しさや手軽さにこだわるなら、できたてのものを解凍の手間なく食べたいですよね。
今回発表された小容量タイプのKN-HW10Eは、そんな一人暮らしにピッタリの製品。予約調理できるので夜に仕込んで朝にできたてが食べられたり、食材を煮崩れせずにかき混ぜてムラなく調理したり、AIoTクラウドサービス「COCORO KITCHEN」と連動してメニューを追加したりと、従来製品の特徴はしっかり引き継ぎながら、本体の設置幅は約40%削減。本体をコンパクト化しながら、人気の定番メニューが1~2人向けの分量でムダなく調理できます。
アームを1本に省略するなど部品を工夫してコンパクト化を実現
小容量タイプを開発するに当たっては、コンパクトでも同じ味と使い勝手が実現できるよう、部材や部品の一つひとつまで見直し、工夫と改良を重ねたそうです。
たとえば、ヘルシオ ホットクックならではの特徴である、内ぶたに取り付けられた「まぜ技ユニット」。従来の製品では、「まぜ技ユニット」のアームの数は2本でしたが、新製品ではこれを1本に減らした「新・まぜ技ユニット」を採用しています。なお、アームの数が減っても扱う食材の量も減るので、かき混ぜ機能は従来と同等の性能を維持できるのだそう。
このアームは電動ではなく、重力を利用して降りる仕組みになっています。つまり、装着時はフタを閉めると常にアームが降りている状態に。このため、炊飯のときなどはユニットを取り外して使用します。
内鍋にはフッ素塗装を採用し、炊飯器の内釜とほぼ同じに変更しました。炊飯も可能で、その場合は白米が3合まで炊けます。
操作は基本的に従来のヘルシオ ホットクックと同じです。ボタンは配置が少し違いますが、数や内容は同じ。液晶画面のメニューも同じ内容になっているので、ヘルシオ ホットクックを使っていた人なら、まったく迷わずに使えるはず。
定番メニューが一人分だけ作れるのがうれしい
なんといっても、本機を使うことでうれしいのが、肉じゃがやポトフ、ラタトゥイユなど、一人分だけ作るのが難しい定番メニューが作れる点。自炊したいけれど調理の時間がなかなか取れない、調理が苦手だけれど色々なメニューを美味しく作りたい、そんな単身者には強い味方といえそうです。
また、三人以上の家庭でも、料理の品数を増やしたい、副菜を増やしたいといったニーズは少なくないでしょう。そんな家庭に導入すれば、しっかり作り込まれた煮物など、食卓に上げる「もう一品」が少量から作れます。「ホットクックはほしいけど、置くスペースがね……」という家庭なら、検討の余地がありそうですね。
付属の蒸しトレイを使う「上下2段調理」は、一人暮らしの男性にぴったり
単身世帯に便利な新機能も搭載されました。それが「上下2段調理」。付属する蒸しトレイを利用すれば、上段で蒸し物やおかずを作りながら、下段で汁物や煮物を作るといった使い方が可能です。なお、蒸しトレイを利用する場合、新・まぜ技ユニットは取り外すため、かき混ぜの必要なメニューは作れなくなります。
上下2段調理に対応したことで、アプリと連携するAIoTクラウドサービス「COCORO KITCHEN」で選べるメニューも増えました。COCORO KITCHENを利用すれば、献立の提案や調理手順の表示などのアシストも行うので、料理が苦手という人でも安心です。
シャープでは、KN-HW10Eのメインターゲットを一人暮らしの男性としており、外食を減らしたいけれど調理は苦手、複数の調理機器を一度に使うのは面倒、でも美味しい物が食べたい…というわがままな人にアピールしていきたい考えです。本体が白と黒の二色になったのも、男性を意識したものだとか。
言われてみると、上下2段調理メニューは男性好みのメニューが多いかも(以下写真参照)。当初は7メニュー用意し、ネット配信で順次メニュー数を増やしていく予定とのことです。
美味しい理由は「旨味を活かす」「味が均一に浸透」「火加減の制御」
発表会では、東洋大学 食環境科学部 健康栄養学科 助教/博士の露久保美夏先生がゲストとして参加。ヘルシオ ホットクックで料理が美味しく作れる理由として、「無水で食材の旨味成分を活かす」「かき混ぜて食材と調味料を均一に浸透させ、味を染みさせる」「ゆっくりと温度を上昇させるなど、火加減を上手に制御する」という3つのポイントを挙げてくれました。
このほか、ヘルシオ ホットクックやウォーターオーブンのヘルシオ用にメニュー単位で食材を届けるミールキット宅配サービス「ヘルシオデリ」に、「冷凍ヘルシオデリ」のメニューが加わったことも発表されました。冷凍でないと配達できなかった食材も利用できるようになり、メニューのレパートリーが広がります。
本機は市場想定価格が税別4万5000円前後と安くはありませんが、温かい料理が食べたくなるこれからのシーズン、外食を減らしたい、美味しくヘルシーな料理を自炊したい、少量だけ作りたい……そんな希望を持つ一人世帯、二人世帯では重宝するはず。贈り物にしても老若男女のいずれにも喜ばれそうですね。
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