アイリスオーヤマといえば、季節が変わる前に季節家電のミニ説明会を行うのが恒例となっています。今回のテーマは冬家電。紹介されるのは加湿器とファンヒーターというのですが、うーん、もうこのジャンルはそんなに進化するポイントはないんじゃないの? …という思いもありました。ところが、製品を見てみたところ「あーなるほど、その手があったかー」と、まんまとアイリスの思惑どおりの反応をしてしまいました。
加湿した重い空気を高く遠くへ飛ばすサーキュレーター一体型加湿器
まずは「サーキュレーター加湿器 RCK-5519 」(参考価格2万5800円・税別)を見ていきましょう。その名のとおり、加湿器とサーキュレーターを合体させたもの。通常の加湿器は本体に内蔵されているファンの力で加湿した空気を排出しているのですが、加湿した空気は水分が含まれて重いため高く遠くまで届かず、部屋の中で湿度のムラができがち。そこで、同社は考えました。「加湿器に、わが社が得意とするサーキュレーターの技術を載せればいいんじゃない?」と。
サーキュレーター部分は、静音・中・強の3段階で風の強さを切り替えでき、首振りスイッチにより左右30°の範囲で自動的に首振りします。上下は手動で2段階に可変できます。サーキューレーターは常時オン状態なので、水を入れなければ夏の間でも通常のサーキュレーターとして使い、エアコン冷房の温度ムラを抑えることも可能。
加湿方式は超音波ハイブリッド式を採用。水タンクからの水を一度加熱してから超音波で振動させて霧状にして放出するため、超音波式の欠点である雑菌の放出を防ぎます。
さらに、加湿プールの中に抗菌カートリッジを搭載し、運転していない時の水中の雑菌繁殖をAg+によって防ぎます。また、加熱式は水道水に含まれるカルシウムなどのミネラル成分が結晶化しやすく、それが悪臭や雑菌繁殖の温床になってしまいますが、本機では水の経路すべてを分解して洗うことができるため、こまめにお手入れして清潔に保てるようになっています。
ただ、加熱式なので消費電力は160W/50Hz(155W/60Hz)とちょっと高めです。適用床面積は木造和室9畳/プレハブ洋室15畳、加湿量は約550mL/h(潤い・連続)。加湿モードは弱・中・強(連続)の3モードで、センサーにより弱運転で湿度50%、中運転で60%をキープします。連続加湿時間は約6.7時間、水タンク容量は約3.7L。
スクエア型で首振りする珍しいセラミックファンヒーター
お次は「人感センサー付き大風量セラミックファンヒーター 首振り KJCH-12TDSW1」(参考価格1万2800円・税抜)。こちらはなんと、約80°の範囲で左右に首振りします。タワー型のセラミックヒーターで首振りモデルは多々あれど、スクエア型のファンヒーターで首振り搭載モデルはあまり見たことがありません。むしろ、いままでなかったのが不思議なくらい。
首振りによって広範囲に暖めることが可能になるのですが、そもそもセラミックファンヒーターで暖を取れるのはせいぜい1mくらい。首を振ったって意味ないよね? …という当然の疑問に応えるべく、本機ではターボモードを新たに搭載し、大風量により温風到達距離を約3倍に伸ばしました。実際に試してみたところ、確かに3mくらいまでは温風を感じることができました。
また、人感センサーの不在感知時間はこれまで90秒だけでしたが、ちょっとトイレに立ったり飲み物を取りに行くだけで切れてしまうだけでなく、目の前にいても動かなければ切れてしまうという不満がありました。そこで、設定時間に5分と10分を新たに加えて使い勝手を改善しています。
なお、首振り機能のない「人感センサー付き大風量セラミックファンヒーター KJCH-12TD4」も同時発売。参考価格はホワイト・ブルー・ピンク・薄木目は1万800円、濃木目は1万1800円(税抜)。
レトロなデザインが目を引くシンプル機能の電気ストーブ
機能としては突出したものはないけど、デザインに特化した「遠赤外線電気ストーブ」の2機種も発売しました。レトロなデザインがおしゃれな感じで、機能としては入/切とヒーターの強(800W)/弱(400W)のダイヤル2つというシンプルさ。ブラックボディの「遠赤外線電気ストーブ 小型 ブラックコートヒーター ブラック KIEHDB-800」(参考価格1万800円・税抜)はブラックコートしたシーズヒーターを採用しており、体の芯まで熱が伝わり暖かさが持続します。ホワイトボディの「遠赤外線電気ストーブ 小型 遠赤外線ヒーター ホワイト KIEHD-800」(同6980円)は石英管を採用しており、スイッチを入れてすぐに発熱する即暖性が特徴。サイズはともに幅400×奥行き156×高さ377mm、質量2.3kg。
加湿器にサーキュレーターがついた、ファンヒーターに首振り機能がついた、レトロなデザインになった……と一見地味な進化ですが、実際に現物を目の前にすると意外にこれはアリだなと感じました。日常の小さな不満を解消してくれるこれらの新製品は、「なるほど家電」の名にふさわしい、アイリスオーヤマらしい家電といえるでしょう。
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