家電
加湿器・除湿機・乾燥機
2019/12/6 20:00

「小型化してパワーアップ」の矛盾に挑め! ダイニチ加湿器「LXシリーズ」がワイドリビングを救うまで

2019年8月に発売された、ダイニチ工業のハイブリッド式加湿器・LXシリーズ。加湿量最大1200ml/h(※)のハイパワーを誇りながら、従来の業務用モデルの設置面積比約60%にサイズを抑えることに成功。2019年のグッドデザイン賞も受賞しています。

※HD-LX1219の場合

 

お客様の想いに応えたい

「冬場のワイドリビングの乾燥にお困りのお客様がいる」。それが広い空間をしっかりうるおす加湿器・LXシリーズ開発のきっかけでした。ダイニチの調査によると、プレハブ25畳から42畳までの広さは家庭用モデルがカバーしていない「空白ゾーン」と判明。ふつうの加湿器ではパワーが足りず、しかたなく業務用のものを使っている……。そんな声も寄せられていました。家族みんなが集まるワイドリビングを乾燥から守って、居心地のいい空間にしたい。その想いが新たな一歩への力となったのです。

 

空白ゾーンへの挑戦

開放感があってゆったりとくつろげるワイドリビングは、家の要ともいえるスペース。しかし、暖房の影響もあって、冬は空気がカラカラに乾燥してしまいます。業務用モデルに負けないほどパワフルで、それでいて家庭用の加湿器と同じく、コンパクトでデザインに優れた製品ができないものか……。こうして、ダイニチの「空白ゾーン」への挑戦が始まりました。

 

立ちはだかる壁を破れ

最初に立ちはだかったのは小型化の壁でした。一般の家庭に置くためには、業務用モデルのサイズでは大きすぎる。しかし、小型化するとパワーが落ちてしまう……。「空白ゾーン」をカバーするために必要な加湿量は1000mL/h以上。家庭用加湿器のサイズのまま、1000mL/h以上のハイパワーを実現できるのか……? これまでのノウハウを活かし、試行錯誤を繰り返しました。たどり着いた答えは、「ヒーターの出力を上げること」でした。

 

安全性を最優先に

しかし、ヒーターの出力を上げるというやり方は、過熱などのリスクを伴うものでした。性能を追求して、安全性が損なわれるようでは意味がない。安全性を確保しながら、最大のパフォーマンスを発揮するポイントはどこなのか……? 何度も何度もテストをしては、データのチェックを繰り返しました。

 

「日本庭園」のあるリビングへ

一方、家庭用であるからにはインテリアに溶け込むデザインも重要です。ワイドリビングでの家族の団らんにマッチする、シンプルで気持ちが和むようなデザインにしたい。そう考えたデザイン担当者の頭に浮かんだイメージは、「日本庭園」でした。ひっそりたたずむ石の静けさ、キラキラ輝く水の清らかさ。心のどこかにある癒しの風景が、ワイドリビングの片隅に置けないものか……。

 

パネルで石、タンクでうるおいを表現

本体パネルには凹凸模様をつけるシボ加工を施し、石のような質感に。きれいに仕上がるよう、パネルの面ごとに加工の種類も変えました。ただし、このパネルをただの装飾にしてしまっては、開発段階で決めたサイズに収めることが難しい。そこで、パネルの内部も送風経路として機能させることで、この課題をクリアしました。つや消しのパネルとは対照的に、タンクは光沢のあるクリアタンクに。水槽のような質感を実現し、視覚からもうるおいを感じられるとともに、タンクの水量がわかりやすくなっています。

 

過去からのバトン

このクリアタンクにもひと工夫が。7Lの大容量タンクは、満水にするとそのままでは簡単に持ち運べません。行われたのは、社をあげての給水テスト。すると、手が小さく、キャップを開けるのに苦労する人、タンクを抱え込んで運ぶ人も。男性ばかりの開発チームでは気づけなかった課題がいくつも浮かび上がってきたのです。見えてきた答えは、ファンヒーターでも実績があった「Wとって」の採用。タンクの上下に取っ手を付けることで、力がなくても持ち運びやすくする。過去から積み重ねてきたことが、新たな製品を生み出す力となったのです。

 

最後の課題は“音”

最後に待っていたのは、“音”の問題でした。運転音が、家族の楽しいひとときをじゃまするものであってはならない。目標としたのは、テレビを見るとき気にならない音の大きさです。開発担当者が自宅に試作品を持ち帰り、音の大きさや置き場所を変えながら導きだしたのが「34dB」でした。

 

静けさへのこだわり

夜間は車も通らず、静寂に包まれる新潟本社。音を研究するには絶好の環境のなか、静音性の追求が始まりました。音圧を落とし、耳ざわりな音が出ないよう、風が通る道を工夫します。整流板のかたむきや、枚数も細かく調整……。こうして達成した「標準運転で34dB」と「最小運転音13dB」。それは音と向き合い、ひとつひとつの課題に丁寧に取り組んだ結果なのです。

 

すべては家族の安らぎために

パワー、デザイン、サイズ、音。すべての課題をクリアしたとき、LXシリーズは完成しました。いくつもの課題を乗り越えることができたのは、お客様のためになりたいという信念があったから。ワイドリビングを家族が安心して集い、安らげる空間にしたい。その願いの結晶が、LXシリーズなのです。

 

ダイニチ工業のLXシリーズをより詳しく知りたい方はコチラ

協力:ダイニチ工業