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2020/1/8 20:00

「名機」と評判のツインバード「全自動コーヒーメーカー(大)」を検証し尽くす。結論は「購入の価値アリ」

コーヒー豆のミルから抽出までボタンひとつで行える全自動コーヒーメーカーは、挽きたて淹れたての一杯を手軽に味わいたいコーヒー好きのマストアイテム。ただし、「全自動」であるがゆえに豆の挽き方やドリップの仕方には限界があります。ミルの粒度や抽出する湯温を調整できる製品も出ていますが、それでもコーヒーの味にこだわる人には「ハンドドリップのような、コーヒー豆本来の味を引き出せない」という不満がありました。

 

高評価を集めた全自動コーヒーメーカーの大容量バージョンを徹底的にチェック

そんなジレンマを解決したのが、2018年にツインバードから発売されたCM-D457B。東京・台東区の名店「カフェ・バッハ」の店主で、日本のコーヒー界の“レジェンド”として知られる田口 護さんが監修、豆の量や粒度、水量やお湯の温度、ドリップの仕方などすべての工程に「カフェ・バッハ」の流儀が反映された製品として高評価を集めました。筆者にとって、このCM-D457Bはかなり魅力的だったのですが、毎日4~5杯のコーヒーを飲んでいる筆者にとって「最大3杯」という容量の少なさが不満でした。

↑2018年に発売された全自動コーヒーメーカー CM-D457B

 

そして、2019年の11月にCM-D465B(実売価格4万8880円)が登場。こちらは先述の名品CM-D457Bの大容量バージョンで、従来最大3杯だった容量が最大6杯に増加しました。これは試さないわけにはいかない…そして、どうせ試すならとことんやりたい! ということで、本機の実力を6項目にわたって徹底的にチェックしていきます。

 

【今回テストするのはコチラ】

ツインバード

全自動コーヒーメーカー CM-D465B

実売価格4万8880円

日本のコーヒー界のレジェンド・田口 護氏が監修したコーヒーメーカー。使う豆の量によって抽出法を変える技術を一から見直し、1~3杯用と4~6杯用でろ過層の形状が異なる2つの専用ドリッパーを開。大容量タイプで正確なハンドドリップの技術を再現しました。ミルされたコーヒー粉がフィルターに落ち、そこにお湯が注がれる様子が見える製品デザインは、ドリップ中もコーヒー好きの心をくすぐります。

SPEC●定格容量:900mL(6カップ)●消費電力:800W●ミル定格容量:約66g●粒度切替え:粗挽き/中挽き/細挽きの3段階●抽出温度:83℃/90℃の2段階●コード長:約1.4m●サイズ/質量:約W160×H425×D335mm/約4.5kg

 

【テストする内容はコチラ】

その1】カップ数による味わいの違い

【その2】ミルの性能・挽き方による味の違い

その3豆による味わいの違い

その4湯温の違いによる味の違い

その5】使い勝手

テストその6メンテナンスのしやすさと設置性

まずはCM-D465Bの“売り”である1杯~6杯の淹れ分け機能をチェック【その1】。取扱説明書に記載の方法でコーヒー6カップ/3カップ/1カップの3通りで抽出し、ミル~抽出のディテールとともに、出来上がりの味をチェックしました。

 

次にミルの「粗挽き/中挽き/細挽き」の粒度(粒の細かさ)を確認【その2】。中挽きで淹れたときと細挽きで淹れたときの味の違いも吟味しました。

 

また、強い酸味が特徴のコーヒー豆と、苦味の強いコーヒー豆も淹れてみて、それぞれのおいしさをうまく引き出せるかチェック【その3】。さらに、上級コーヒー店で販売されている豆を購入し、その店で淹れてもらったコーヒーの味と、同じ豆を使ってCM-D465Bで淹れたコーヒーの味の違いも見てみました。最後に、83℃で淹れたコーヒーと90℃で淹れたコーヒーの味の違いをアイスコーヒーで確認【その4】

 

そのほか、コーヒーメーカーとしての使いやすさ【その5】、お手入れのしやすさや設置性【その6】も検証しています。

 

テストその1】カップ数による味わいの違いをチェック

3段階の挽き分けや抽出温度の2段階切替えが可能

CM-D465Bの基本性能は最大3杯まで淹れられるCM-D457Bと同じ。豆を挽く粒度を粗挽き・中挽き・細挽きで調整でき、抽出用のお湯の温度は、豆本来の味を引き出すのに最適な83℃、深煎りの豆やアイスコーヒーに適した90℃の2段階で切り替えられます。さらに1~6杯まで、カップ数によって蒸らし湯量などを細かく調整できます。

↑本体台座のダイヤル類で操作します

 

↑ミルダイヤルでミルする際の粒度を3段階に調整。白丸の大きさがコーヒー粉の粒度を示し、左から「細挽き/中挽き/粗挽き」となります。中間の設定はできないので要注意

 

ミルはコーヒーの風味を損なう摩擦熱を抑える低速の臼式フラットミルを採用。さらに、お湯を注ぐ角度にもこだわっており、おいしいコーヒーを淹れるためのハンドドリップの技を再現しています。ほかのコーヒーメーカーはもちろん、少々腕に覚えのある“ハンドドリップ派”もかなわない正確な「挽き・抽出」の技術で、コーヒー豆の味わいを最大限に引き出した1杯を毎回味わえる、というわけです。

↑ミル刃は、従来機の4×4枚から4×5枚にしたことで、大量の豆でも均一に挽けるようになったそうです

 

いつもの豆で6杯ぶんを淹れたら濃厚な味に驚いた

では、さっそくコーヒーを淹れてみましょう。筆者がふだん飲んでいるコーヒーだと違いがわかりやすいということで、今回のテストでは会員制倉庫型スーパーのコストコで販売される「スターバックス ハウスブレンド」を使用します。この商品はコストコの自社ブランドとスターバックスがコラボしたコーヒー豆で、スターバックスの店頭で販売されるハウスブレンドとは味が違いますが、強いロースト感などは共通しています。

↑今回テストで使用した「カークランドシグネチャー スターバックスハウスブレンド」。コストコの人気商品でコスパが抜群。筆者が購入したときは907gで1498円でした(価格は時期によって変動)

 

最初に6杯ぶんのコーヒーをCM-D465Bで淹れてみました。取扱説明書に従い、64gのコーヒー豆と900mLの水をセット。ミルを「中挽き」に設定し、スタートボタンを押して約20秒後にミルが運転を開始。筆者がふだん使っている全自動コーヒーメーカーと比べると音が控えめで(とはいえ深夜に使うのは躊躇する音量ではあります)、コーヒー豆を臼で挽く際の「キュルキュル」という音が特徴的です。なお、低速で挽くぶんミルの時間は約5分24秒とかなり長めでした。

↑天面のミルのふたを開けて計量したコーヒー豆を投入

 

↑豆を挽いている最中、ミル部とドリッパーのあいだの隙間からコーヒー粉が落ちているのが見えます。挽きたてのコーヒーの香りも広がって、リビングに幸せな時間が流れます

 

ドリップでは最初に十秒ほどお湯を注ぎ、30秒ほど蒸らしてから再び十数秒お湯を注いで十数秒待ち、またお湯を注ぐ、というパターンを繰り返していました。

↑山になったコーヒー粉に向けて、6方向からシャワードリップを行います。本来ドリップ前には抽出ムラが起きないように粉を平らにならすのがいいのですが、全自動の場合は「ならす」工程が入れられません。そこで6方向からお湯を注いで、山を崩しながらドリップし、ムラのない抽出を行います

 

6杯ぶんを淹れるのにかかった時間は合計13分強。驚いたのはその濃厚な味で、筆者が日ごろ飲んでいるコーヒーより苦味や甘い香りが強く、それでいてスッキリと雑味のない味わいになっていました。

↑“6カップ”コースで淹れたコーヒー。苦味やコクがありつつ穏やかな飲み口で、何杯飲んでも飲み飽きない味です

 

「3杯」「1杯」の設定だとわずかに味が変わるが、おいしさは文句なし

続いて「3杯ぶん」「1杯ぶん」の設定でコーヒーを入れてみました。すでに触れたように、新モデルCM-D465Bでは1回でドリップできる量が最大6杯まで増えましたが、これは単に1回で挽ける豆の量や給水量を増やし、サーバーを大型化したということではありません。最も重要なのは「1杯淹れても6杯淹れても味に変化がない」ということです。

 

本機ではこの課題を「ドリッパー2つ重ね」で克服。1~3杯用のコーヒーを淹れる際に1~3杯用ドリッパーを4~6杯用ドリッパーに重ねることで、お湯の投入口からコーヒー粉までの距離にできるだけ差が出ないようにしたのです。また、蒸らし時の湯量やお湯を投入するタイミングも1~6杯で微妙に変え、杯数に関わらず、最もおいしいコーヒーが淹れられるようにしたそうです。

↑2段重ね式ドリッパー。コーヒー粉の量が少ない1〜3杯ぶんを淹れるとき、ドリッパーのかさが上がるため、粉の位置が4〜6杯ぶんを淹れるときと同じくらいの高さになります。収納時に場所を取らないのもメリット

 

↑左は1〜3杯用ドリッパーでろ過するとき、右は4〜6杯用ドリッパーでろ過するときのイメージ図。4~6杯の抽出で、ドリッパー内により底面に厚みがあるすり鉢状のろ過層を形成、コーヒー粉の量が多くても1~3杯用と同様の味にできるそうです

 

ということで3杯ぶん、1杯ぶんそれぞれの設定でコーヒーを淹れてみました。確かに最初にお湯を投入する時間、蒸らし時間、その後のお湯を注ぐ時間と注ぐのを待つ時間、それぞれ6杯淹れたときも含めて微妙に違いがありました。

↑3杯ぶんの設定で淹れたコーヒー。6杯ぶんで淹れたときよりわずかに色が濃いです。ドリップ中は、6杯淹れたときよりお湯を注ぐ時間と次に注ぐまで待つ時間が少し短くなっていました

 

↑1杯ぶんの設定で作ったコーヒーは3杯設定のコーヒーよりまたわずかに色が濃いです。ドリップ中の蒸らし時間が3杯ぶんよりわずかに短くなっていました

 

3種類の設定で作ったコーヒーを飲み比べてみましたが、厳密に言うとわずかながら味の違いを感じました。特に苦味に関しては、6杯より3杯、3杯より1杯と少しずつ強くなっていきます。ただし、それで味のバランスが崩れるほど苦くなるということはなく、どのコーヒーも雑味のない、文句のないおいしさでした。また、上記のわずかな味の差は、豆の量や水量の微調整で解消できそうです。

 

ちなみに、CM-D465Bのミルで中挽きしたコーヒー粉を使い、自宅のコーヒーメーカー(1万円程度で購入)で淹れて味を比べてみたところ、CM-D465Bのほうが圧倒的に濃厚で芳醇な味だと感じました。コーヒーの淹れ方だけでこれほど味が変わるとは……CM-D465B恐るべしです!

 

【テストその2】ミルの性能・挽き方による味の違いをチェック

粗挽きから細挽きまで、臼式ならではの均一でしっとりした挽き目に

続いてミルの粒度の細かさを見ていきましょう。先述の通り、CM-D465Bは臼式低速フラットミルを採用。コーヒー豆を臼ですりつぶすことで、プロペラ式の豆に比べて豆を均一に挽け、摩擦熱も少ないため、コーヒーの香りを損なわないとのことです。

 

本機では豆を「粗挽き/中挽き/細挽き」の3段階で挽くことができます。下の写真はそれぞれの挽き方による粒度(コーヒー粉の細かさ)を比較したもの。見た目ではそれほど違いを感じませんが、指で触ってみると粗挽きはつぶつぶ感がしっかりある一方、中挽きは粗挽きよりしっとりした触感で、細挽きはかなり“粉感”を強く感じました。

↑粗挽きしたコーヒー粉。臼ですりつぶしながら挽くので、見た目にしっとり感があり、粒も通常の粗挽きより細かく見えます

 

↑中挽きした粉。粗挽きよりわずかに粒が細かくなっています

 

↑細挽きのコーヒー粉。中挽きよりさらに粒子が細かくなり、しっとり度も増しています

 

ちなみに、自宅で使っている他社製コーヒーメーカーで「細挽き」で挽いた粉と比較してみると、粒はCM-D465Bより大きめで、一粒一粒が鋭角にカットされているように見えます。粉のしっとり感も弱めでした。

 

次に、上記のうち中挽きと細挽きで挽いたコーヒーの味を比べてみたところ、細挽きにした場合、苦みがかなり強くなり、やや後味が口の中に残る感じも出てきました。個人的には、コストコのスターバックスハウスブレンドだと、中挽きで挽いたほうがよりバランスの取れた好みの味でした。ただし、苦味の濃いコーヒーが好みなら、「細挽きのほうがおいしい」と言う人も多いと思います。

↑「細挽き」で淹れたコーヒー

 

↑「中挽き」で淹れたコーヒー

 

なお、取扱説明書を見ると、浅煎り・中煎りの豆の挽き方は「中挽き」が、中深煎りや深煎りの豆は「細挽き」が推奨されています。「粗挽き」はよりすっきりした味が好みの人や、本機をミルとして使い、プレス式コーヒーメーカーやネルドリップなどでコーヒーを淹れたい人のために用意された挽き方なのでしょう。

 

テストその3さまざまなタイプの豆で味わいをチェック

豆の種類の特徴をしっかり引き出す抽出の技がスゴい!

筆者はふだんコスパの良いコストコのコーヒー豆を愛用していますが、CM-D465Bでほかの豆を試したらどんな味になるのかも大いに気になります。そこで、カルディコーヒーファームで売られている豆のなかから、酸味の強いグアテマラと、苦味・甘味の強いマンデリンフレンチを選び、その味を試してみました。カルディの紹介によるとグアテマラは「マスカットを思わす甘酸っぱい果実味」が特徴でボディは軽め。マンデリンフレンチは「野性味あふれる香りと強いボディ」が特徴。フレンチロースト(深煎り)にすることでさらに個性を引き出しているそうです。

↑カルディで販売しているマンデリンフレンチ(左)とグアテマラ(右)

 

まずはグアテマラ。中挽きで2杯ぶんを作りましたが、爽やかな酸味が口から鼻に広がります。果実系のフレーバーも印象的。ただし時間が経つと酸味の爽やかさ、鮮烈さが薄れていくので、淹れたぶんはすぐに飲み切るのがオススメです。ちなみに、筆者がふだん使っているコーヒーメーカーでは、酸味の鮮烈さが物足りない印象でした。

↑CM-D465Bで淹れたコーヒー。ローストはやや浅めですが、しっかり“濃い色”に抽出しています

 

次にマンデリンフレンチを試飲。同じく中挽きで2杯ぶんを淹れましたが、CM-D465Bでは苦味とコクがしっかり感じられる力強い味わいでした。さらに、苦味のあとから甘い風味がしっかり存在を主張します。一方、筆者所有のコーヒーメーカーで淹れると、コクと甘い香りはやや控えめながら、苦味とともに香ばしさが強く感じられる味になりました。

↑マンデリンフレンチをCM-D465Bで抽出。色を見てもわかる通り、グアテマラに比べると苦味が強く、フルボディのワインのようなどっしりした味わいがあります

 

カフェ・バッハの流れを汲む店の味と比べたら?

せっかく高級コーヒーメーカーがわが家にきたので、ちょっとお高い豆も試してみたいところ。そこで「カフェ・バッハ」の流れを汲むコーヒー店でブレンドされたコーヒー豆を購入。お店で淹れてもらった同じブレンドコーヒーの味とCM-D465Bで淹れた味を比べてみました。

 

試飲した豆はコロンビアとグアテマラ、ニューギニアのブレンド。お店でいただいた一杯は、酸味と苦味、甘みのバランスが絶妙で、チョコのような風味も感じられ、街のコーヒーチェーン店とはひと味もふた味も違うおいしさでした。

↑お店で飲んだ同店のブレンドコーヒー。表面にうっすらコーヒーのオイル成分が浮いています

 

一方、その同じ豆をCM-D465Bで淹れてみると、コクや味の鮮烈さはお店には負けますが、酸味と苦味、甘みのバランス・存在感はいつも飲んでいるコーヒー豆とは段違いでした。ちなみに、いつも使っている自宅のコーヒーメーカーで淹れると、ミルはCM-D465Bで行なったにも関わらず、かなり薄めの仕上がりに。プロのハンドドリップの技を再現したCM-D465Bの実力が上級な豆のおいしさをしっかり引き出した、ということでしょう。

↑お店のコーヒーに浮かんでいたオイル成分は残っていませんが、すっきりしているのに鮮やかな風味と豊かなコクが感じられる極上の味。自宅で飲むレベルを超えたおいしさです

 

テストその4湯温の違いによる味の違いをアイスコーヒーでチェック

83℃と90℃、淹れる湯温によって味が変わるがどっちも絶品!

最後に湯温83℃と90℃で淹れたときの味の違いもチェック。83℃は通常のコーヒーを淹れる際に最適な温度で、90℃はアイスコーヒーなど濃いめに淹れたいときに最適だそうです。ここでは、アイスコーヒーにも合うというカルディの「マンデリンフレンチ」を使って83℃と90℃でアイスコーヒーを作り、その味を比べてみました。今回は1杯ぶんを抽出。アイスコーヒー用にコーヒー豆はやや多めの18gとし、水も少なめの130mLで淹れました。

 

83℃で淹れたアイスコーヒーはかなり筆者好みの味。苦味と香ばしさとコクのバランスが良く、心地よい後味が残ります。これがお店で出てきても普通に「おいしい」と思える味です。

↑83℃で淹れたアイスコーヒー。冷たくなることで苦味をあまり感じなくなる一方、コーヒーのコクは豊かです

 

これに対し90℃で淹れたアイスコーヒーは、苦味がより爽やかに、香ばしさがより強くなった印象。キレとコクがアップして、これまた抜群のおいしさです。香ばしい風味がより強いアイスコーヒーが好みなら90℃がオススメですが、83℃で淹れたアイスコーヒーが好みの人も多いと思います。

↑見た目はほぼ同じですが、90℃で淹れると味の印象がガラリと変わります。ただ、どちらも甲乙つけがたいおいしさでした

 

テストその5】使い勝手をチェック

どの設定でも「正解」を提示してくれるからユーザーは迷う必要なし

CM-D465Bの使い方はとても簡単。本体上部のミルダイヤルで挽き方を選び、「MENU」ダイヤルを豆のマークにセット、抽出温度とカップ数を設定してスタートボタンを押せばあとは自動でコーヒーが出来上がります。ユーザーが調整できるのは湯温と豆の粒度、挽く豆の量と水量くらい。ただ、それぞれの設定で文句なしの味に仕上げてくれるので、逆にあれこれ迷う必要がないのがメリットといえます。

↑すべての操作は、各種ダイヤルで設定を行ったあとにスタートボタンを押すだけ

 

給水タンクは着脱式でなく本体据え付け型。付属のガラスサーバーでカップ数に応じた水量を計ってタンクに投入します。正確な水量を計れるのは便利ですが、本体を高い場所に置くと水が入れにくいのがやや難点でした。

↑水タンクのふたを取って給水。タンクの開口部は十分な広さがあり、水を注ぎやすいです

 

ひとつ不満だったのはコーヒーが出来上がったあとの「ピピッ」というお知らせ音がとても小さいこと。ちょっと離れた場所にいると聞き逃してしまうでしょう。コーヒー完成後は30分間の保温モードになりますが、コーヒーをおいしく淹れられる製品だけに、出来上がりに気づかず、コーヒーの最もおいしいタイミングを逃してしまうのは残念です。もう少しお知らせ音を大きくするか、音量を変えられるようになっていると良かったですね。

 

テストその6メンテナンスのしやすさと設置性をチェック

ミルが着脱式でメンテの負担は少ないが、コーヒーの粉残りが気になる

全自動コーヒーメーカーのメンテナンスで一番面倒なのはミルのお手入れ。残ったコーヒー粉が長い間たまっていると酸化してコーヒーの風味を損ないますから、数日に一度は掃除したいところ。……ですが、サボっている人も多いのでは?

 

CM-D465Bが採用する臼式ミルは本来掃除がかなり面倒なのですが、本機のミルは着脱式になっていて、掃除がしやすいほうです。下に新聞紙などを引いて、刃の隙間などに詰まった粉も付属のブラシで手早く落とせます。

↑ミル部分は簡単に取り外して分解できます

 

↑ミルの刃の部分などにたまったコーヒー粉は、付属のブラシで定期的に除去しましょう

 

ただし、気になったのが、ミルを外してみるとかなり大量のコーヒー粉が残っていたこと。ミル内を長く掃除しなかったり、6杯ぶんなど大量に挽くと、内部に思いのほか大量のコーヒーの細粉や挽き残しが入っていてビックリ。

↑ミルにコーヒー粉が残っています

 

ミルが横向きに回転するため、臼の内部や挽いたコーヒー粉が出てくる通路に大量に粉が残ってしまうようです。また、ミルをセットする固定部分にもコーヒー粉が残るのでお手入れが必要。本機では、使うコーヒー豆の量が一般のコーヒーメーカーよりやや多いと感じていたのですが、こうした粉残りがその原因にあるような……。この粉残りを減らす工夫がされていると助かるのですが……。

↑ミル固定部の裏側にもコーヒー粉が大量に残っています。メンテナンスダイヤルで透明のシャッターを開けて粉ゴミを下に落として除去します

 

↑本機を使用後、ミル固定部裏のドリップシャワー部に水滴やコーヒーの粉が付くので、それをキッチンペーパーなどで拭き取ります

 

水タンクは長く使っていると底の部分にカルキが白く固着してきます。本機はタンクが取り外せないので水洗いはできませんが、その代わりにクエン酸洗浄が可能。メンテナンスダイヤルで「CLEAN」を選び、水とクエン酸を入れてスタートボタンを押すと約90℃で煮沸。汚れが落ちたらメンテナンスダイヤルを「DRAIN」にセットし、タンクの水(お湯)を排水します。

↑メンテナンスダイヤルは、MENUダイヤルで「メンテナンスメニュー」を選んでから使います。「OPEN」はミル固定部下を掃除する際、シャッターを開けるのに使用。「CLEAN」はクエン酸洗浄に、「DRAIN」はクエン酸洗浄後に水を排水したり、途中で運転中止した際に、タンクの残った水を取り出すのにも使います

 

↑ダイヤルを「DRAIN」にセットしてスタートボタンを押すと、タンク内の水がスピーディに排出されます

 

サイズは大きめだが、コーヒー好きならあえて「見せる設置」も楽しい

CM-D465Bは6杯入れられるタイプだけあって本体も大きめ。特に奥行きが33.5cm、高さが42.5cmあり、キッチンやダイニングテーブルに置くとなかなかの存在感でした。コンパクトタイプのコーヒーメーカーから買い替える人は、置き場所に若干苦労するかもしれません。ただ、デザインはシンプルでカラーリングもマットな黒と、とてもスタイリッシュ。あえてその存在感を前面に出した設置を考えれば、毎日コーヒーを淹れるときの満足感もひとしおです。

↑対面式キッチンのカウンターに置くと使い勝手も良く、インテリアにすっきり収まってくれそう

 

↑筆者の場合、カウンターの幅が5cmほど足りず、台座前面が少しはみ出すという残念な結果に……

 

↑これはツインバードが提案する収納の例。確かにキッチンの下の棚に収納するとスマートに使えそうですが、使うたびにいちいち取り出すのは面倒かも。そのまま使える場所にうまく収められれば便利ですね

 

【まとめ】

どんな豆でもどんなカップ数でも、飲みやすく深みのある味わいに

今回様々なコーヒー豆や挽き方でCM-D465Bの味をチェックしましたが、それぞれが豆の味わいを十分に引き出していると感じました。

 

豆を挽く際は室内に鮮やかかつふくよかな香りが広がり、豆の風味をしっかり引き出しているのがわかります。さらにドリップの芸が実に細かい!  コーヒーの味を決めるのはハンドドリップの技術の差だとよく言われますが、コーヒーメーカーでも同じことが言えると実感。どんな豆からどんなカップ数で淹れても雑味がほぼ感じられず、飲みやすいうえに味わいにも深みがあります。

さらに、そうした味のクオリティを保ちつつ、6杯ぶんのコーヒーを一気に作れるのがうれしい限り。2018年発売のCM-D457Bは最大3杯とはいえ、マグカップで飲むと2杯が限度で、二人世帯でもおかわりしたいときはもう一度コーヒーを淹れ直すしかありませんでした。最大6杯作れればそんな不満も解消。日ごろ飲む際は余裕を持って4杯ぶん、友達が来たら6杯ぶん、という使い分けもできるので、大家族ではなくとも購入の価値はあるでしょう。

 

ちなみに本機は、コーヒー粉からの抽出にも対応。専用のミルを購入してより自分好みの挽き方を追求し、ドリップは本機の高い技術におまかせする使い方もできます。余裕のある休日は本機で豆を挽き、自分のハンドドリップの技術を磨く…といった使い方もいいかもしれません。

 

お手入れの頻度はやや多いが、ミルを取り外して掃除できるのは便利

設定さえしてしまえばあとはおまかせなので、使い勝手は良好。ただし、淹れ終わったときのお知らせ音が小さいのと、タンクが固定式で水の入れ方が限定される点に注意が必要です。メンテナンス面では、臼式ミルを使っているため粉が内部に残りがちで、お手入れの頻度は増えますが、ミルを取り外して掃除できるのは便利。給水タンクはカルキ洗浄ができるので、いつまでも清潔に使い続けられます。

 

CM-D465Bは全自動でもよりおいしいコーヒーを楽しみたい人はもちろん、味にこだわるハンドドリップ派が出勤前の慌ただしい朝に使う「サブ機」としても魅力的な製品。お値段は高めですが、家族の毎日のコーヒータイムのグレードが上がることを考えたら、十分に購入する価値がある一品だと思います。

 

協力:楽天市場

 

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