牛・豚・鶏をジップロックで低温調理してみる
200℃のオーブンに手を入れてもやけどしないことでもわかるように、空気は水に比べて熱伝導率が低いのが特徴です。そのため、水中で行う低温調理と違ってうまく調理できないのではないか……? そんな不安を持ちつつ、実際に作ってみることにしました。
最初に作ったのはローストビーフです。これはレシピのまま70℃で2時間半調理したところ、ちょっと中まで火が通り過ぎた印象がありました。タンパク質は約66℃で変性するため、65℃もしくは60℃でしっかり火が通るまで調理するのがよさそうです。
そこで次は、豚肩ロースのブロック肉と鶏ささみ、鶏レバーと鶏の砂肝を低温調理することにしました。豚肩ロースと鶏ささみはジップロックのフリーザーバッグに、鶏レバーと鶏の砂肝はコンテナーに入れて調理してみます。
中までしっかり火が通らなくても大丈夫な牛肉と違って、豚肉は中まで火が通らないと危険です。ちなみに厚生労働省「食品別の規格基準」の「食肉製品の製造基準」によると、食肉の中心温度が55℃なら97分、60℃だと12分加熱する必要があります。十分安心できるくらい長時間に設定しようということで、今回は60℃で12時間調理することにしました。
ローストポークと鶏レバーの仕上がりに驚いた
調理後の豚肉は、中がピンク色でしたが、火はしっかりと通っていて味は絶品。しっとりかつジューシーで、口に入れるとホロホロととろけるような食感でした。私が常に思っていることですが、ローストビーフはどこでもおいしいものが食べられますし、スーパーでも手軽に購入できる一方で、ローストポークは中まで火を通すためには時間がかかるため、なかなかおいしいものを食べる機会はありません。その意味で、自宅で時間をかけてでも作る価値が十分にあると感じました。
ささみは柔らかく仕上がりましたが、ホロホロになりすぎてしまい、好みが分かれる食感です。素直に鶏むね肉を使ったサラダチキンにした方がよさそうな印象でした。
一方、鶏の砂肝と鶏レバーはなかなかの仕上がりに。砂肝は力を入れなくても歯がサックリと入るような柔らかさが印象的。特に鶏レバーは絶品で、箸で持つだけで崩れるくらいみずみずしく、レバーペーストのようにナイフでそのままパンに塗れるほどの柔らかさでした。